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2025年1月15日 第660号

残置物処理モデル契約条項と解説
単身高齢者の死亡後の事務委任契約等

モデル契約条項活用ガイドブック
神奈川まちづくり協会の事業スキーム

 国交省の補助を受けて社会空間研究所主催による第2回残置物の処理等に関するモデル契約条項の解説セミナーが12月12日にオンラインで開催された。国交省住宅局の参事官(マンション・賃貸住宅担当)の課長補佐の船田一元氏が、残置物の処理等に関する国土交通省の取組みを報告した。民間賃貸住宅における65歳以上の入居者の割合が30年間に約2倍に増加し、一人世帯の割合も2018年で約6割と増えている。自宅で亡くなるケースも増加傾向にあり、賃借人の死亡後、居室内に残された家財(残置物)の処理や賃貸借契約の解除などについて賃貸人の不安を払拭するために、これらの問題を円滑に処理するための事務委任契約のひな型として残置物の処理等に関するモデル契約条項を作成し、モデル契約条項の活用ガイドブックを作成し、今後単身高齢者等の賃貸住宅への円滑な入居を支援していきたいと述べた。
 次に、モデル契約条項の解説を佐藤貴美弁護士が行った。契約の終了・残置物の処理に係る法的な問題や各モデル契約条項の内容等について詳しく解説した。契約書の条項で賃料の滞納を原因として部屋の入口を施錠し、賃借人の動産類を勝手に処分する行為は違法な自力救済行為に当たると指摘した。
 次に、公営財団法人神奈川住まいまちづくり協会事業部担当部長の入原修一氏がモデル契約条項の活用事例を報告した。


地主代理人弁護士が不当通知
法定更新中に更新料請求!
合意更新に戻せと主張
地代増額の根拠は不明 世田谷区

 世田谷区内に土地約60坪を賃借している神城さん(仮名)は地主代理人弁護士より通知書が届き、再契約の締結と更新料支払い並びに賃料増額を請求された。組合員の神城さんは予約を取り相談に来た。
 通知を見ると、現契約が法定更新中だが合意更新に戻し、更新料を支払い、賃料を倍近くに上げるよう綴られていた。地主代理人弁護士の主張は更新が締結されていないとのことだが法定更新になっているので遡っての合意更新は必要なく、更新料も前回の契約書には特約も明記されていないため支払いは拒否できると説明。
 難解な計算式を記載してきたが更新料は法で定められたものではなく計算式や相場や目安もなく契約書等での明確な金額や計算式の特約が必要だと説明した。賃料増額に関しては現在若干だが坪単価が安く、地主代理人弁護士に増額の根拠を示してもらい、僅かな値上げで決着できるよう交渉するという方針で行くことを確認した。
 地主代理人弁護士は賃料増額の根拠として駐車料金も現在は1台3万円ほどするから地代も上げるべきとの主張には疑問を感じると言っていた。