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2024年11月15日 第659号

東京都に予算要求書提出
東借連など8団体が85項目を要求
家賃補助の早期実施を
都として地上げ問題規制せよ

東京都住宅政策本部に要求書を提出する東京の住宅運動団体の代表(右端は細谷会長)

 東借連をはじめ都内の8つの住宅運動団体の共闘組織である東京住宅運動連絡会は、2025年度東京都予算要求書を10月29日の午後、都庁第2庁舎において各団体の代表者5名が参加して東京都住宅政策本部に提出した。都側からは荒木広報担当課長等が対応した。
 要求書は(1)新規公共賃貸住宅の大量建設等に関する要求、(2)新型コロナウイルス禍における住居確保・保証等に関する要求、(3)住宅の公的融資の拡充に関する要求、(4)木造を含む個人住宅への耐震診断・改修助成制度等の要求、(5)住宅建設の公共工事の分離分割発注の促進等に関する要求、(6)住宅弱者に対する総合的な住宅政策の拡充に関する要求、(7)住宅行政の組織の拡充・強化に関する要求、(8)都営住宅に関する要求、(9)公社住宅に関する要求、(10)公団(UR)住宅に関する要求、(11)住環境整備等に関する要求、(12)住宅にかかわる助成・家賃・更新料等についての要求、(13)住宅行政の基本姿勢に対する要求以上85項目の各団体の要求を提出した。

 各団体から主な予算要求の内容について説明し、東借連の要求について細谷会長が発言した。「東京では土地や住宅価格が高騰し、地代・家賃の値上げ問題が多発し、物価高の中で家賃の支払いに困窮する賃貸住宅居住者が増えている。都営住宅の供給を増やし、家賃補助などの施策を都として検討すべきである。また、地上げ底地買い事件が多発し、借地借家人の住まいの権利が脅かされている。都として地上げ問題に対する規制をしてほしい」と訴えた。
 その後、都知事秘書の廣田担当課長に面談。小池都知事に予算要求書を手渡し、子育て支援世帯への家賃負担の軽減等の実現を求めた。最後に都議会各会派を回って申入れを行った。


東京都2025年度予算要求

1、都営住宅の応募倍率は他の都道府県と比べても著しく高倍率で、住宅のセーフティネットの機能を果たせなくなっています。低額所得者。若者・高齢者・子育て世帯・障害者等の居住貧困を解消させるため、また将来予測される首都圏大地震対策上も都営住宅の大量なストックが必要です。都営住宅の新規建設を始めとする供給戸数を今後大幅に増やして下さい。
2、都営住宅条例を改定し、住宅に困窮している子育て世代や新婚世帯も都営住宅に入居できるよう収入基準を緩和して下さい。住宅に困窮している若年単身者も入居できるように入居の要件を見直して下さい。
3、物価の高騰等によって生活が困窮し、家賃の支払いに困窮する世帯が増加しています。東京都としてこれらの住宅困窮世帯に対する住宅支援策を抜本的に強化して下さい。高家賃負担で苦しむ若年単身世帯や母子世帯、高齢者等に対する家賃補助(住宅手当)等の施策を実施して下さい。
4、住宅に困窮している高齢者のために、単身者向け公営住宅の量的な確保とシルバーピアなど低家賃で安心して自立して暮らせる高齢者向け賃貸住宅の建設を促進し、困窮度順に入居できるよう制度を充実させてください。また、大田区等で実施している区が民間から借り上げたアパートを生活に困窮している高齢者に提供する「高齢者アパート」制度の普及を図って下さい。
5、契約の更新や契約の終了時に、宅建業者や管理業者が更新手数料を借主に請求したり、家主に代わって敷金の返還を拒んだり、明け渡しを強要するなど弁護士法違反の悪質な行為が横行しています。こうした悪質な不動産業者への指導を強化して下さい。
6、借地借家人に対し、バブル時代と同様な「悪質な地上げ行為」が都内で多発し、借地借家人の大きな脅威となっています。地上げ行為そのものを規制できるよう宅建業法の抜本的見直しを国に要請して下さい。他


風呂釜故障で入浴できず家主は修繕に応じてくれない
通知書を何回送っても家主に無視されてしまう
江戸川区

 江戸川区内に部屋を賃借している花山さん(仮名)は風呂釜が故障してしまい困っている。
 家主宛に修理修繕をお願いする通知を送っても全く返答がない。
 最近改めて修理修繕の通知を送ったがやはり返答はなかった。
 困って組合に相談をしてきた。
 組合のアドバイスは、まず修理修繕は設置物であれば家主が費用負担すると民法にかかれているが協議段階では拒否もできると伝え、拒否されたら一旦借主が費用を立替えて修繕することができ、その後家主に費用負担の通知を送ることになると説明。
 ただし工事完了後家主に明細を送って費用負担を求めても拒否してくることも多く、調停から裁判にする法的措置や家賃で相殺するなど方法はいくつかあると説明。
 今現在できることは、もう一度通知を送り、1週間以内に返答がない場合は当方で立替え修繕を行う、その後家主に費用負担をお願いする明細を送ると書いてみてはどうかとアドバイスした。
 簡単に費用負担してくれない家主だと思うと花山さんは言っていたが、修繕でかかった費用を何回かに分けて家賃から差し引いた金額を支払い相殺するか、借主から調停裁判を起こして法的に解決することになると説明した。