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2024年7月15日 第657号

残置物、処理等のモデル契約
単身高齢者の死亡後の契約解除と残置物処理
高齢者の円滑入居進むのか
不明確な賃借人の費用負担など

 単身の高齢者が増加する中で、民間賃貸住宅においては、相続人の有無や所在が明らかでない単身者が死亡した際の賃貸借契約の解除や居室内に残された残置物の処理の不安感から、高齢者の入居の申込を賃貸人が拒否することが増えている。
 国交省と法務省は、賃貸人のこのような不安感を払拭し、単身の高齢者の居住の安定を図る観点から、単身高齢者が死亡した際の賃貸借契約の解除、残置物を円滑に処理するために、「残置物の処理等に関するモデル契約条項」策定し、不動産業界に普及するための周知を図っている。
 モデル契約条項によると、まずは(1)賃借人(委任者)は、受任者となる推定相続人、居住支援法人、管理業者等の第三者と「賃貸借契約の解除」、「残置物処理」に関する委任契約を締結する。その上で(2)賃借人は賃貸人との間で2つの委任契約条項を盛り込んだ賃貸借契約書を締結する。なお、こうしたモデル契約条項は原則60歳以上の単身者に限定される。
 受任者となる居住支援法人は住宅セーフティネット法に基づき、居住支援を行う法人として、都道府県知事が指定する。居住支援法人の行う業務は、登録住宅の入居者への家賃債務保証、住宅相談など賃貸住宅への円滑な入居に係る情報提供・相談、見守りなど要配慮者への生活支援とされている。残置物処理の委任に当たっては居住支援法人との間で相続人に残したい家財(廃棄しない家財)を指定残置物として指定し、本人死亡後指定先に送付する。非指定残置物は一定期間経過後に廃棄することになる。
 賃借人が亡くなった後には賃貸人が解除事務委任者である居住支援法人に賃借人の死亡を通知し、受任者である居住支援法人が代理権を基に賃貸借契約を解除する。残置物の処理についても居住支援法人が残置物を確認し、金銭があれば賃借人の相続人に返還する等残置物の処理作業を行う。モデル契約条項はあくまで任意の契約だが、相続人がいるにもかかわらず残置物処理委任契約を強制され、モデル契約と同時に家賃債務保証、見守りサービス等の費用を家賃以外に請求される問題も浮上している。


借地権を売るか底地を買うか二者択一を迫られる!
担当社員が関西弁でまくしたてて恫喝する
足立区

改修工事中の西新井駅西口

 足立区内西新井駅近くで約25坪の宅地を賃借する千葉さん(仮名)は、地主が底地を不動産業者に売却すると、早速担当社員が訪ねてきて、話をすると曖昧な返事をした途端関西弁でまくし立てられ委縮してしまった。連合会のホームページで足立の組合を知り電話で相談した。千葉さんははじめに担当社員の交代と地代を振込みにして欲しいと訴えた。
 組合では社員は毎月地代を集金し「底地を買うか借地権を売る」かの二者択一を言って借地のままは認めないとの営業活動をしていて、担当社員の交代と地代の口座振込は難しいのではないか。長時間居座られて嫌な思いをするような場合は直ちに警察に連絡し対応することが大事である。
 あくまでお願いされている立場なので、底地の購入を検討する場合は、業者の提示する金額を考慮するのではなく、経済状況を踏まえて家族と話合い、生活に無理なく購入できる金額を提示し、交渉が調わない場合は直ちに交渉を打ち切る。
 お願いされている立場であり千葉さんの提示する金額で折り合わない場合は、売買協議を打ち切ることは商法の原則である。賃借人として地代の支払を継続することを伝えればよく、重要なのはイエス、ノーをはっきり伝え毅然と対応すべきと助言した。