2024年5月15日 第656号
25年連続新規建設ゼロを継続する都営住宅教授 |
東京住宅運動連絡会が提出した2024年度の予算要求書に対し、東京都住宅政策本部は3月1日付で回答書を書面で提出した。同連絡会に参加している東借連は、今年度27項目を要求した。東京都は都内8団体から提出された都民の切実な住宅要求に対し、協議する場も設けず回答に対する再質問も文書で回答するなど回答の内容も含め、小池都政の冷たい姿勢を反映している。
(1)都営住宅の新規供給の25年間ゼロ計画を改め公営住宅の大量建設を
(回答)今後とも都営住宅について既存ストックの有効活用を図りながら、真に住宅に困窮する都民に公平かつ的確に供給していく。
(2)住宅セーフティネット登録制度の抜本的改善と要配慮者専用住宅の供給促進策を
(回答)区市町村や不動産業団体等の意見を踏まえながら、国の補助制度の改善に向けて国に働きかけを行うとともに、国の補助制度を活用して貸主に対する補助を行う区市への財政支援や、補助制度を導入していない区市へ戸別訪問し、制度の導入を働きかける。
(3)高家賃負担で苦しむ若年単身世帯や母子世帯、高齢者等に対する家賃補助(住宅手当)等の施策の実施を
(回答)家賃補助については、国も対象世帯の範囲、民間家賃への影響、財政負担の問題点を指摘しており、また生活保護制度との関係等、多くの課題があると認識している。都では東京ささエール住宅において家賃低廉化する貸主を補助する区市町村の取組に対して、国と併せて財政支援を行っている。
(4)高齢者が民間賃貸住宅の入居を拒否されている。高齢者が民間賃貸住宅で安心して住み続けられるよう、孤独死・孤立死問題を貸主任せにせず、見守り機器の設置補助や孤独死保険などの対策を
(回答)高齢者を含む住宅確保要配慮者の居住安定のために、東京ささエール住宅の登録を着実に進める。見守りサービスや残置物処理等に関するモデル契約条項の普及促進などにより、貸主の不安軽減を図る取組みを進める。
(5)家賃保証業者や管理会社等を法的に規制するため国と連携した取り組みを。保証業者を任意の登録制度ではなく許可制にして国や自体が保証業者を指導できるように。
(回答)住宅政策本部・産業労働局に保証会社への法的な指導権限がないため回答できない。管理業法は国の所管であり、都は国の動向を注視していく。
(6)契約の更新や契約の終了時に宅建業者が更新手数料を借主に請求したり、敷金の返還を拒んだり、明渡しを請求する等弁護士法違反の悪質な業者への指導の強化を
(回答)賃貸住宅に関しての更新手続きや退去時の原状回復のような管理業務において、更新時に高額な更新手数料を要求し、過大な原状回復費用を請求する例も見受けられるが、これらは宅地建物取引業法の規制の対象外である。令和3年6月「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が施行した。こうした動向を踏まえ、都においても国と連携しながらトラブルについて個別の相談に対応し、講習会等を通じて引続き適切に対応する。
(7)地上げ行為を規制できるよう宅建業法の抜本的見直しを国に要請を。
(回答)宅地建物取引業法による規制は、賃貸では代理・媒介業務が対象であり、自ら賃貸を行う行為は対象外となるが、底地の買取りを執拗に求める行為は、売買の勧誘行為に当たり、迷惑な勧誘行為等につき勧誘の相手方からのご相談や調査などに基づいて認定できた違反に対しては、行政指導・行政処分等厳正に対処する。
(8)賃貸借契約の更新時に宅建業者から請求される更新手数料は管理業務を依頼した家主から取るべきである。
(回答)更新事務手数料は賃貸の管理業務において生じるものであり、業者に対して指導することはできない。
令和5年11月の都営住宅の一般住宅の定期募集では、区部では平均10・3倍、多摩の市部が3・9倍、平均8・2倍。豊島区で47倍、大田区32・3倍と高く、今年2月の単身者向では、平均34・4倍である。それでも東京都は都営住宅の新規建設も新規供給もしようとしない。空家になった住宅の僅かな戸数を募集するだけである。小池都政は東京を「稼ぐ都市」にするために、超高層ビルによる明治神宮外苑や築地市場跡地の再開発に税金を使う予定であり、都営住宅や都民の切実な住宅要求に背を向けている。