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2024年3月15日 第655号

消費者被害に遭わないために
高めようメディアリテラシー!
情報の真偽を見極めよう
自分で考え確認するスキルを

メディアリテラシーで講演する中橋雄日大教授

 私たちが毎日のように接するインターネットのウェブサイトやSNSなどで飛び交う情報の中には、感動させるものがある一方で、逆に人を傷つけたり、騙したりするものがある。とりわけ、消費者トラブルに遭わないためには、情報の真偽を見極め、取捨選択することが求められる。メディア・リテラシーを高めるための講演会が東京都消費生活センターの主催で昨年11月に開催された。

 講演会の講師は日本大学文理学部教授の中橋雄氏で、「コミュニケーションの多様化とメディアリテラシー」と題する基調講演が行われた。
 メディアリテラシーとは「メディアから得た情報を見極めるスキル」であり、「メディアの情報をそのまま受け取るのではなく、自分で考え確認するスキル」という。ソーシャルメディアの特徴とは、フォローする情報を選び、フォローする情報を勧める機能がある。その結果、コンピューターが、検索履歴などからユーザーの好みを判断して情報を勧めることで、それ以外の情報に触れる機会が失われる「フィルターバブル」という現象をもたらす。同時に自分と同じ意見に囲まれることで、実際以上に感じられる(自分の意見が世の中の大半の考えと誤解する)「エコーチェンバー現象」に陥りやすい。

おすすめ情報に落とし穴も

 2020年のコロナ禍で「トイレットペーパーが無くなる」という噂がSNSで広がった経験などフェイクニュースが拡散する問題に対し、情報の受け手、送り手の課題として「情報の真偽を見極める」、「真偽が判断できなければ保留をする」ことが強調された。
 また、ソーシャルメディアの急速な普及によって、商業主義的な力学が強まり、消費者トラブルが生じやすい状況が生まれている。例えば、クリックして広告が表示させる工夫が巧妙であったり、ネットの記事が実は広告であったり、コンピューターがお勧めする情報には落とし穴があるので気を付けた方がよいと指摘した。

情報の真偽や疑う力を持つ

 メディアリテラシーを高めるためには、情報の真偽を見抜く力と、自分が勝手な判断をしていないか疑う力も必要である。自分が発信した情報を受け手は勝手な判断をするものという前提で考える。メディアの構造の特性を理解することが必要であると強調した。


オンライン学習会と
組合活動のIT化で議論
東借連第6回理事会

あかつき印刷で開催した東借連理事会と学習会

 2月23日渋谷区内において東借連第6回理事会並びにあかつき印刷によるオンライン学習会が開催された。
 学習会はZOOM会議の基礎知識や今後のホームページ作成について講師よりアドバイスがあった。その後、東借連理事会が行われた。
 細谷紫朗会長の司会で進行し、高橋雅博事務局長から前理事会以降の経過報告と拡大集計報告、新規相談者報告がされた。また若色栄一会計より1月度収支報告があった。引き続き議題に入り、(1)東借連春季研修会の取り組み。日時は5月12日(日)午前9時30分から12時まで、会場はイケビズ6階第3会議室。テーマは借地借家の相続。(2)生活困窮者自立支援等の一部を改正する法律案について、通常国会に上程、令和7年4月1日施行予定。(3)全借連全国理事会、日時3月10日(日)午後1時Zoomによるオンライン会議、議題は全借連の財政改革(会費、新聞代の改定等)、全借連総会の開催、組織の拡大強化他。(4)組合活動のIT化、東借連新聞の改定等。各組合ではどのように組合費を徴収しているのか。自動引き落としなどの例が紹介された。次回理事会は3月17日午後1時半全借連本部事務所を予定。


契約不備がある定期借家に普通契約であると通知
文京区

 文京区内に居住する羽田さん(仮名)は定期借家契約で長年賃借している。
 契約期間は6カ月で今まで再契約で住み続けてきた。今回令和6年2月末日までの契約なので6カ月前に再契約した際次回の再契約はしない旨を通知しなければならないがそれはなく、令和5年12月中旬になって再契約しないと通知してきた。
 しかも借主の合意なくオンラインでの再契約や通知をしてきており、別紙での説明はされたことがなかった。
 明らかに定期借家契約とは言えないものだった。
 組合に相談に来た羽田さんに対しこれは定期借家契約であるが理解できているかと尋ねると理解しておらず、ずっと住み続けられると思っていた。
 組合のアドバイスは、家主あてにこの契約は定期借家契約の定めを満たしておらず普通借家契約であること。
 令和6年3月1日以降は普通借家契約の法定更新となり期限の定めのない契約になる、明渡し請求するならば改めて正当事由を主張するよう通知書を書くようアドバイスした。
 組合の説明で定期借家契約とは家主借主共にきっちり守らなければ成立せず普通借家契約になるということに羽田さんは驚いたとともに相談してよかったと笑顔で入会した。