2023年5月15日 第650号
テントで借地人宅を覆う嫌がらせが… |
人がやっと通れる狭い通路に |
4月3日(月)NHKのクローズアップ現代で地上げ問題が取り上げられた。
東京借地借家人組合連合会常任弁護団会議の模様が放送され、常任弁護団の種田和敏弁護士がインタビューに答えていた。東京借地借家人組合連合会会長細谷紫朗氏、事務局長高橋雅博氏も映し出されていた。
番組内では東京都内とだけ紹介されていたが、生魚を吊るした建物は港区のマンションで、業者の社員が居座って嫌がらせをするのが練馬区の借地の現場である。
組合では昨年独自に取材をしており、現在の社員が居座る前の様子をカメラに収めている。
屋根の高さにまで達する白いビニールシートで建物を覆い、青のビニールシートと工事用のバリケードで作った幅50cm程度の曲がりくねった通路を作り嫌がらせをした。番組内でも紹介されたが、業者のその嫌がらせに耐えかねて老夫婦の借地人の奥様が自ら命を絶ってしまった。
また、解決済みの件になるが北区内では、東京都内で初めて練馬、港区と同じ業者が地上げを行い、60cmほどの生のサワラを吊るして腐らせ、臭いを発生させて嫌がらせをしていた。
この時はなにわナンバーのワンボックスカーで乗り付け12人くらいの社員が大きな声で「出て行くなら金は出してやるぞ」などと怒鳴っていた。近隣住民が警察を呼ぶと、業者は独り言で「自分たちの土地で散歩をしていた」と言い訳したという。東借連ではブラック地主に対する対策を検討している。
東借連第38回定期総会は、新型コロナウイルス感染症の影響で4年ぶりに対面で5月28日に開催される。
アベノミクスの異次元の金融緩和の影響で、土地やマンションなど不動産投資が活発になる中で地上げ底地買い問題が都内各地で発生し、借地借家人に深刻な影響を与えている。また、コロナ禍で仕事と住まいを失い、家賃の支払に困窮するなど貧困と格差が拡大している。東借連総会の運動方針案では、「運動の成果と課題」では(1)底地買いと地上げ問題に対する取組み、(2)家賃保証会社に対し法規制を求める取組み、(3)更新料・一時金を根絶させる取組み、(4)賃料増額請求に対する取組み、(4)明渡し・原状回復・修繕に対する取組み、(5)契約書のデジタル化に対する取組み、(6)家賃補助と公営住宅の新規建設を求める運動を重点課題として取り組む。
「組織拡大強化と組織改革」では、組合が社会情勢の変化に対応し、退会者を減らし、持続的拡大を追求し、役員会や総会を定期的に開催し、組合運営のマンネリ化を改めるなどが提起されている。とくに、組織改革では組合役員が高齢化し、次の組合事務局を担う後継者の育成が差し迫った課題である。持続可能な組織にしていくために、行政区単位の組合を統合し、連合会から単一組織に改革することが提起されている。