2022年3月15日 第643号
地代値上げの根拠を示さない
課税証明を改ざんする事例も
足立区内の住宅地 |
都内23区の賃料増額は以前とは違う請求をしてくる傾向がある。
まず第一に、賃料増額の根拠を明確に示さなくなった。賃借人が根拠を示すよう通知書を送っても、20年前の課税証明や直近の評価証明などを提示することが多く、例え根拠を示してきても課税証明を改ざんしたり、一部分のコピーしか提示しない。ひどい例では課税額を書き換えていることもある。
しかもほとんどの賃貸人が200平方メートル未満の宅地であれば受けられる小規模宅地の税額減免措置の額を示さず、課税標準額を示すことが多い。そのため法外な賃料増額になる。そもそも根拠がないのではないかと思う増額請求が急激に増えている。
なぜこのような傾向なのか分析すると、新型コロナ感染の終わりが見えず、賃貸人も利益を確保したいという考えから根拠なき増額請求をするように感じる。しかし、根拠が明確ではないことから交渉段階では、賃料増額に応じなければ法的措置を取ると裁判での決着をほのめかしている。実際には裁判にせず賃料増額を諦める賃貸人も増えている。賃借人は賃貸人の強硬な主張には簡単に屈せず、じっくり協議し、合意できないのであればはっきり拒否をして賃貸人を恐れないことである。
協議し合意に達しなければ、法律つまり裁判で判断し、判決を貰うことも必要である。
権利金を地代上乗せ6倍に増額
底地転売繰り返された挙げ区に
足立区内でも地代増額を要求する地主がいる。なかでも不動産業者から底地を購入した新地主は資本投下した分の収益を短期間で回収する必要上、近隣の借地より高額な地代を要求し、数年後の地代額まで値上げ要求している。
コロナ禍で経済の先行きも分からない中で、組合では組合員には自分が相当と考える地代額の支払いを助言している。前地主が底地を売却してから3社の不動産業者が関わり転売が繰り返された。最後の業者から底地の一部を購入した個人の新地主は思うように収益を上げられず地代の増額を請求してきた。さらに、借地の契約面積以外の通路の使用を制限してきている。ブラック地主にほかならない。
2月になり、20年間の借地契約満了に伴い、組合員に更新料の支払い請求はもとより、土地賃貸借契約時に権利金を払っていないという理由で、権利金を地代に上乗せし、現行地代の6倍以上の支払いを求め、20年分の土地価格の上昇分の差額まで求めてきた。
組合員は、地上げ業者の昨年8月の増額請求には、相当の地代額で対応した。しかし、業者は毎月の地代の集金を約束したにもかかわらず、底地の購入及び借地権付建物の売却に応じず現行のままの契約の継続を要望すると、業者は地代の集金に来なくなった。
期日までに地代の集金に来るよう依頼しても実行されないため、結局地代を法務局に供託手続きを取るなど対応している。