2021年9月15日 第640号
国土交通省の昨年10月の調査によると、賃貸借契約のさいの家賃債務保証業者の利用は8割と急増している。
大手仲介業者に十数年勤務するAさんは「ほぼ100%の物件で保証業者必須になっている」と話し、さらに増加していると思われる。
組合が、賃貸借契約時に保証業者の「審査」を受けたことがある、という方に聞いたところ(99人が回答)、約3割が「落とされたことがある」と回答。うち約半数は別の保証業者か保証業者なしの物件で契約できているが、残りの半数近い方(全体の約14%)は転居を諦める、または現在も困っているという状況である。
この「審査」についても「直近3か月分の預金通帳のコピーを提出」など、行き過ぎていると思わざるをえないものも少なくない。賃借人からは「出自不明な1企業に貯蓄額まで差し出すのは悪用される心配もあり、恐怖しかない」という声もあがっている。
実際現状では、保証業者の設立、運営にあたり何の規制もなく、過去に傷害や脱税事件を起こした業者も営業を続けている。
さらに国交省の調査では、賃借人の35%が、自分が契約した賃貸借契約の保証形態について「わからない、覚えていない」と答えている。
前述のAさんは「保証業者についての説明マニュアルは、ありません。説明せずに申込書を書かせて、重要事項説明もサラッとやっている仲介業者が多いのではないか」と話す。
保証業者の契約について、現状では賃借人は業者を選べない。まともな説明もなく、賃貸借契約と紐づいて保証業者と契約させられ、結果的に反社会的と思われる業者にも賃借人の個人情報や契約金が流れてしまうのも問題である。
こうしたことからも、保証業者の法規制は急務だ。同時に営利目的である以上、弱者は保証業社から契約を拒否されると、部屋を借りることができない。今こそ、公的な保証人制度の創設が急がれている。
足立区内(写真と記事は関係ない) |
足立区内で宅地20坪を賃借する城の内さん(仮名)は借地権付き建物を不動産屋に譲渡するに当たり地主の土地を管理する地元不動産屋に承諾料200万円と借地の地積測量をするように言われた。城之内さんは簡単に地主でもない土地を管理する不動産屋から承諾料の金額を提示されたため借地借家人組合に意見を求めるため尋ねた。
組合ではなぜ、地主に承諾を求めないのか、確かに地元の不動産屋で地主からは借地全般について管理を依頼されて賃料も持参払いしているので聞いたのだと思うが、やはり地主には借地権譲渡にあたっては事前の承諾が必要である旨を説明した。仮に地主が借地権譲渡について承諾しない場合、借地人は裁判所に地主を相手方として、「地主の承諾に代わる許可」を求める申し立て(借地非訟手続)をすることができる。この場合裁判所は許可するにあたって、財産上の給付(名義書換料)を借地人に命じることになっている。その金額は借地権価格の1割位と考えて於いて下さいとも付け加えた。
城之内さんはもう一度家族ともよく話合って譲渡する場合は必ず地主に話を持って行き承諾を求めるといって借地借家人組合が近くにあって相談できてよかったと帰った。