2019年5月15日 第626号
講演する瀬川宏貴弁護士 |
東借連春季研修会は、4月7日午後1時30分から吉祥寺の武蔵野公会堂で17名の参加で開催された。
多摩借組の寺崎敏明氏の司会で開会され、東借連常任弁護団の瀬川宏貴弁護士より「よくある借家の相談事例と民法改正」とのテーマで約1時間にわたって講演が行われた。
瀬川弁護士は、民法改正で敷金の規定が追加され、原状回復と敷金の問題では「賃借物に損傷が生じた場合については、原則賃借人が原状回復の義務を負うが、ただし通常損耗や経年劣化については原状回復義務なしとされた」ことを指摘。国交省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で通常損耗・経年劣化に当たる例と当たらない例が紹介された。
実際の実務では、特約により経年劣化、通常損耗について賃借人に負わせるものが多いが、どんな特約でも有効となるわけではなく平成17年の最高裁判決で特約が有効になる要件が絞られている。また、仮に賃借人に原状回復義務がある場合でも、賃借人は常に設備等を新品にする費用を負担する必要はなく、壁のクロスについては耐用年数6年で負担金額は1円になることがガイドラインの資料に基づき説明された。また、「修繕と民法改正」、「明渡しと正当事由」、「耐震性と正当事由」、「賃料増額請求」などについて詳しく説明された。
質疑では、「賃借人の隣人の騒音で困っている場合は明渡しの正当事由に当たるか」、「法定更新した場合の更新料を支払う特約は有効か」、「民法改正後連帯保証人の『極度額』にどう対応したらよいか」等の質問が出され、瀬川弁護士は一つ一つ丁寧に回答した。
杉並区の阿佐谷商店街 |
杉並区阿佐ヶ谷で借地をしている本間さん(仮名)は店舗として大手外食チェーン店に建物を貸している。
今回地主から公租公課の上昇に伴う地代増額請求があった。
10年以上前に一度減額しているが、今回の増額には応じず、今までの地代を振込んだ。
ところが督促状として不足分の請求がきた。
今まで支払ってきた地代は公租公課の2・94倍で今回は3・158倍にアップするとのことだ。
土地の価値上昇に伴う増額に応じないということは、借地人が利益を100%独占することで不条理であると綴られていた。借地上の建物は店舗として貸しており、利益が上がっているので地代増額に応じたほうが良いのか迷って組合に相談に来た。
組合は、増額には合意しておらず、店舗を貸して利益が上がっていても地主の一方的な増額請求には応じる必要はない。不足分を払う必要がない。
支払っている金額がすべてですと回答し様子を見ることにした。
■城北借組「西武デパート相談会」
6月12日(水)・13日(木)午前11時~午後5時まで4時半受付終了(昼食休憩午後1時~2時)、池袋西武百貨店7階くらしの相談コーナー。
「定期総会」
6月30日(日)午後1時30分からとしま産業振興プラザ(IKE・Biz)。連絡・(3982)7654。
■多摩借組「定例法律相談会」
6月8日(土)午後1時30分から組合事務所。相談者は要予約。
「第35回定期総会」
5月26日(日)午後1時開場、1時20分開会、立川市柴崎会館2階集会室(多摩都市モノレール柴崎体育館駅徒歩5分、立川駅南口徒歩15分)。連絡・042(526)1094。
■葛飾借組「定例相談」
毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
毎月第2日曜日午後1時から組合事務所。連絡・(6806)4393。