2018年9月15日 第618号
夏季研修会で挨拶する佐藤富美男東借連会長 |
東借連夏季研修会は、9月2日午後1時30分から足立区学びピア21会議室で48名の組合員が参加して開催された。
東借連の斉藤勝理事の司会で開会され、佐藤冨美男会長が開会の挨拶を行った。
今回の研修会は、東借連常任弁護団の西田穣弁護士(東部法律事務所)より「親子で学ぶ借地の相続対策~実践事例を学ぶ」とのテーマで約1時間講演が行われた。
講演の前半は、相続に対する法律知識について、後半は借地における相続対策として具体的に説明がされた。
相続の法律知識では、代襲相続によって、被相続人の子が相続開始以前に死亡等したときは、その子が代襲して相続人となり順次相続が発生し、相続の手続きを放置しておくと大変な数に相続人が増えていくことを図例に基づいて説明され、結論として、遺言を作成したり、相続の手続きは放置せず早めにやっておくことが強調された。
借地の相続に関する実践事例では、建物を使い続けたい場合は対地主の問題では、今まで通り賃料を払い続ければ問題はないし、名義変更料や地主の承諾は不要であることが指摘された。
講演する西田穣弁護士 |
建物を使う予定がない場合について、建物を取り壊して更地にして地主に返還する必要はなく、接道条件が満たされていないなどの不利な条件がなければ、東京近郊ならば売れる可能性はある。地主が買い取らなければ、第三者に売却できる(但し地主の承諾が必要)。その他注意点として建物の登記名義と借地人の名義は一致させておく方がトラブルが起こらない等が指摘された。
休憩後17人から質問が出された。借地人と建物所有者との関係、借地非訟手続き、地代の支払い方法、相続人以外の孫に借地権を遺贈する場合等について、西田弁護士は時間一杯まで一つ一つ丁寧に回答した。
石垣さんが住む足立区内のアパート |
足立区内で42年間にわたりアパートの一室を賃借する石垣さん(仮名)は口約束で、修繕は借主が行うとのことで、自分で修繕してきた経緯がある。この度、家主から耐震不足と老朽化を理由に明渡しを要求される。
家主から区の耐震不足を証明する書類を示された石垣さんは困惑し、ネットで借地借家人組合の電話番号を探し出し、今後の家主との交渉方法を相談した。
組合では、立退料を決定する前に移転先を探すのは手順が逆でまずいやり方である。立退料を一円でも払いたくない家主からは取りようがないお金である。また、自分から出ていくのが明らかな人にお金を出す家主はいない。まず、家主には「引き続き住み続けたいので明渡しには応じられない」旨の通知を出す。それに対して家主から明渡しの条件を打診してきたら、引っ越し費用、新たに賃借する建物の礼金・敷金・不動産屋への仲介手数料等の初期費用など最低限の必要費用。建物収去するため原状回復は発生せず敷金の全額返還。40年以上居住し強制的に立ち退くので賃料補償分の立退料などを請求できる。交渉は焦る必要はないと助言をした。
■城北借組「西武デパート相談会」
10月17日(水)・18日(木)午前11時~午後5時まで4時半受付終了(昼食休憩午後1時~2時)、池袋西武百貨店7階くらしの相談コーナー。
江東支部「学習交流会」10月13日(土)午後1時からカメリアプラザ(江東区亀戸文化センター)会議室。連絡・(3982)7654。
■多摩借組「定例法律相談会」
10月13日(土)午後1時30分から組合事務所。相談者は要予約。
「借地借家問題市民セミナー」
10月20日(土)午後6時30分から小金井宮地楽器ホール(小金井市民交流センター地下1階和室。JR中央線武蔵小金井駅南口徒歩1分)。
「御岳渓谷と玉堂美術館の旅」
10月14日(日)午前10時青梅線沢井駅改札口に集合。連絡・042(526)1094。
■葛飾借組「定例相談」
毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
毎月第2日曜日午後1時から組合事務所。連絡・(6806)4393。
■住まいの貧困に取り組むネットワーク「住宅支援を考え、実践をめざす集い」
10月5日(金)午後6時30分から新宿区戸塚地域センター地下集会室1.非正規シングル女性のピアグループKIBIの茂木直子さんから問題提起。終了後同ネットワークの定例会。