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2017年11月15日 第608号

住宅保障を問いなおす
2017年住宅研究・交流集会開催

報告する平山洋介神戸大学院教授
報告する平山洋介神戸大学院教授

全ての住宅困窮者対象に
住宅政策の枠組みの転換を

 住まい連、住まいの貧困ネット、日本住宅会議など3団体の主催で2017年「住宅研究・交流集会」が10月14日台東区内で開催され、50名が参加した。
 主催者を代表して住まい連代表幹事の坂庭国晴氏が開会挨拶し、コーディネーターを和洋女子大学名誉教授の中島明子氏が司会進行を行った。
 基調講演は「住宅政策の枠組みとセーフティネット」と題して神戸大学大学院教授の平山洋介氏が講演した。平山氏は日本の住宅政策は市場の中で住宅を供給するという新自由主義の住宅政策が70年代以降強まり、持ち家促進の政策に傾斜し、公的住宅建設が減少し、かつてあった階層別住宅政策も解体させられた。低家賃の民間借家も減少する中で、若者は世帯内単身者となり家族に依存せざるを得なくなっている。セーフティネット法の改善の前に、住宅政策の枠組み自体を問い直すべきではないか、公営住宅を建てなくていいのか、家賃補助の必要性にも言及し、住宅困窮者を限定するのではなく、全ての住宅困窮者を対象にした普遍的な住宅政策に枠組みを変えていく必要があると強調した。
 次の講演は、市民団体ARCH(アーチ)の共同代表河西奈緒さんより、市民399名による路上ホームレスの深夜調査「東京ストリートカウント」について報告。東京都が行う昼間の調査と比べ東京中心部の調査結果では約2・5倍の1412名が路上ホームレス状態であると報告した。さらに、土肥直人・東京工業大学准教授は「エコロジカル・デモクラシーという暮らし方」について講演。活発な質疑応答が行われた。


全借連50周年・第32回定期総会

 全借連50周年記念講演・祝賀会と第32回定期総会の開催。
◎記念講演と祝賀会
12月2日(土)午後2時から主婦会館・プラザエフ地下2階クラルテ(四ツ谷駅徒歩1分)。講師は中島明子氏(和洋女子大学名誉教授)『住宅危機と住宅セーフティネット』、講演会終了後午後4時30分からプラザエフ7階カトレア会場で祝賀会を開催。
◎第32回定期総会
12月3日(日)午前10時~午後4時まで同会場で。


老朽化理由にアパート明渡し
保証人の兄と調停申立てられる

転居決断 調停外で協議
組合立合いの下で移転条件を協議

老朽化を理由に明渡しの請求されている
豊島区長崎のアパート
老朽化を理由に明渡しの請求されている豊島区長崎のアパート

 豊島区長崎に住む白川さん(仮名)は20数年前からこのアパートに住んでいた。昨年の12月に老朽化を理由に明渡しを請求された。引越し先もないので、家賃を期日通り支払い、無視していたところ、今年の10月になって、保証人の高齢の兄とともに明渡し請求の調停をおこされた。
 老朽化と20年前の更新時に契約書から更新料の支払い特約削除の交渉で恫喝され、信頼関係が破壊されたと主張し、正当事由があると言ってきた。体調が悪い上に調停に出席することができないので、欠席して不調に終わらせることも考えたが、老朽化したアパートの部屋は急な階段を二階に上がらなければいけないことなどを考慮し、調停外で明渡しについて話し合いすることにした。
 弁護士と不動産屋と組合役員が立ち合いのもとで、いくつかの物件の紹介と補償について話をした。近隣の紹介された物件を見学することと併せて補償については、引越しの移転費用や入居の際にかかる費用プラスアルファということで提案した。


組合の催物とお知らせ

■城北借組「西武デパート相談会」
 12月13日(水)・14日(木)午前11時~午後5時(午後1時~2時昼食休憩)まで、池袋西武百貨店7階くらしの相談コーナー。連絡・(3982)7654。
■多摩借組「定例法律相談会」
 12月9日(土)午後1時30分から組合事務所。相談者要予約。
■大田借組「理事会」
 12月21日(木)午後6時30分から大田区消費生活センター。連絡・(3735)8481。
■葛飾借組「定例相談」
 毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
 毎月第2日曜日午後1時から組合事務所。
 「学習相談会」
 11月19日(日)午後1時から足立区梅島住区センター。連絡・(6806)0055。
■東借連「常任弁護団会議&忘年会」
 12月4日(月)午後6時から城北法律事務所。