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2016年12月15日 第597号

賃料増額と減額をテーマに

東借連第3回連続学習会開催
貸主の増額請求に対し 借主は相当額を支払う
減額請求は減額できる金額をよく検討

第3回学習会で講演する長谷川正太郎弁護士
第3回学習会で講演する長谷川正太郎弁護士

 東借連第3回連続学習会は、11月20日午後2時30分から足立区千住の東京芸術センター会議室で開催され、30名が参加した。
 地元足立借組の梅澤組合長の司会で始まり、東借連の細谷事務局長が「今年3回の連続学習会は第1回が池袋、第2回は吉祥寺、今回は千住と地元の組合が参加しやすいように地域を変えて行っている。また来年3月には東借連創立50周年の定期総会が開催される」と開会挨拶した。
 今回講師を務める東借連常任弁護団の長谷川正太郎弁護士が紹介され、「賃料増額と減額問題」のテーマで用意したレジメに沿って1時間にわたって講演した。
 長谷川弁護士は増額請求があった場合は借地借家法第11条の条文に照らして地主の一方的な通知によって金額が決められるわけではなく、借主は「相当額」を支払えばよく、受領を拒否されたら供託をする。
 ただし公租公課を下回ることを知っていた場合や下回る金額を長期的に供託している場合は契約解除される恐れもある。また契約書に定期的、自動的に賃料を増額する旨の記載があっても、内容と事情により著しく不相当になれば無効になる。賃料減額請求については減額できそうな金額と費用の兼ね合いをよく検討し、貸主側が増額請求したタイミングで行うのが良いと強調した。
 講演後休憩をはさみ、参加者から活発な質疑応答があり、最後に足立借組事務局の若色氏が閉会の挨拶を行い、今回の学習会の知識を活用してほしいと訴えた。


地主の提訴は不法行為!

東京地裁が明渡請求を棄却
土地購入直後の訴訟
損害賠償の反訴請求認められる

 足立区本木南町で宅地約10坪を賃借する岸田さん(仮名)は昨年12月、地主代理人弁護士から建物収去土地明渡請求の訴訟を申し立てられる。地主からの訴えに困窮し、浅子区議の紹介で組合に相談し、入会して組合顧問の長谷川弁護士に委任した。平成16年1月に岸田さんは建物と借地権を相続し、同年8月に旧地主と合意更新した。新地主は平成27年3月に旧地主から土地を買い取り所有権を取得した。
 地主側は裁判の途中で旧地主が平成27年3月に無断増改築を理由に契約解除を意思表示し、契約は終了していると主張。長谷川弁護士は旧地主と平成16年に合意更新し、旧地主は増改築を承諾し、契約解除の意思表示の事実はない。新地主は、登記建物が存在していて、訴訟を提起する前に賃貸借契約の存在を容易に認識でき、旧地主から土地を取得して1年も経たっていないのに、契約終了についても曖昧な主張をしていると反論した。さらに、提訴は不法行為に該当し慰謝料請求の反訴を申し立てた。10月の判決言い渡しで地主の請求は棄却され、損害賠償が認められた。


組合の催物とお知らせ

■城北借組「西武デパート相談会」
 1月18日(水)・19日(木)午前11時~午後5時(午後1時~2時昼食休憩)まで、池袋西武百貨店7階くらしの相談コーナー。連絡・(3982)7654。
■多摩借組「定例法律相談会」
 1月14日(土)午後1時30分から組合事務所。相談者要予約。連絡・042(526)1094。
■葛飾借組「定例相談」
 毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
 毎月第2日曜日午後1時から組合事務所。連絡・(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。連絡・(3801)8697。