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2016年1月15日 第586号

50周年に向け強大な組合を!
東借連会長 佐藤富美男

全借連第31回定期総会で挨拶する田中祥晃会長

 新年明けましておめでとうございます。
 昨年9月、安倍内閣は国民の多くの反対を押し切って戦争法を成立させました。戦争法反対の世論と運動は、法律成立後も、戦争法の廃止を求める2000万署名としてこの運動にかかわってきた政党団体の共同のよびかけとして取り組まれています。
 組合でも戦争こそが命と住み続ける権利を奪うものであり、日本を戦争の出来る国にしてはならないという立場から、今年もこの署名運動に大いに取り組んでいきたいと思います。
 昨年は、2020年の東京オリンピックと金融緩和の影響で土地や建物の投資へと向く中で、土地や建物の明渡し問題でブラック地主・家主との相談が増えてきました。東借連は、常任弁護団と協力してブラック地主家主対策弁護団を結成し、被害者交流集会や被害110番などに取り組んできました。多数のテレビや新聞の報道で紹介され、組合への期待も高まっています。今年は、このようなブラック地主や家主から住み続ける権利を守っていくことがますます大事になっています。
 昨年の東借連および全借連の総会では、来年の組合結成50周年には組合員が参加する組合活動と強大な組合をつくりあげ、憲法25条の健康で文化的な生活・住み続ける権利を守るために全力をつくす方針が決まりました。その実現のために先頭に立って奮闘している組合役員と組合員に敬意を表するとともに、ともにがんばる決意を述べて新年のご挨拶とさせていただきます。


日本住宅会議が総会とシンポ 
憲法・戦争・居住の権利

国交省へ申し入れを行うブラック地主家主対策弁護団の田見高秀弁護士(左)
基調講演する木村草太首都大准教授

 日本住宅会議の2015年度総会とシンポジウム「憲法・戦争、居住の権利」が、12月12日東京大学法文1号館において60名の参加で開催された。
 総会では塩崎賢明理事長より2016年度の活動方針が提案され、来年はエクアドルでハビタットⅢが開催され、住生活基本法10年の検証と連続講座の開催等が提案された。
 シンポジウムでは、木村草太・首都大学東京准教が「憲法と住宅」とのテーマで基調講演を行った。
 木村氏は、国民の安全保障を考えるのであれば、自衛隊の海外活動拡大法である安全保障法制の整備ではなく、食料や社会住宅の確保など総合的安全保障を政策化すべきであると指摘した。
 祐成保志・東京大学准教授は、「戦争と住宅」と題して講演し、戦争と住宅施策との関りなどについて講演した。


土地明渡しで勝訴
更新料請求権は消滅時効に

大田区鵜の木2丁目周辺
足立区西新井大師の環七附近

約束の更新料払ってないと提訴
判決6日後に再度更新料請求
足立区

 昨年本紙6月号でも報告した足立区西新井大師近くで借地をしている西山さん(仮名)は、12月3日に東京地裁の建物収去土地明渡し裁判で勝訴判決を得た。地主側は、西山さんが平成4年に約束の更新料を支払っていないと契約解除・土地明渡しと不払い更新料を要求し争った。
 西山さんの代理人の組合顧問弁護士は、更新料は父親が支払い、領収書も存在すると主張。地主側は領収書を贋物と反論。顧問弁護士は支払期限が平成16年7月末日で債務は時効消滅し、更新料支払いの義務は負わない。不払いを理由とする契約解除は効力がないと主張。判決では更新料は平成16年7月末日の経過をもって消滅時効期間が満了する。地主側の解除権の行使の前提となる領収書等を提示することが債務となっていることを認めるに足りる証拠はないと判断した。
 判決6日後、地主の代理人弁護士は3年前法定更新した更新料を再び請求してきた。地主代理人の職権乱用に呆れるばかりだ。