夏季研修会で回答・解説する3人の弁護士。左から長谷川弁護士、西田弁護士、瀬川弁護士 |
東借連2014年度夏季研修会は、9月7日午後1時半から豊島区勤労福祉会館で開催され、都内各地から組合員・組合役員43名が参加した。
生駒勝美副会長の司会で進行され、佐藤富美男会長が開会に当たり「今年も参加型の研修会として3名の弁護士さんが回答・解説を担当する。横暴な地主・家主に対抗できるよう大いに学習を強めよう」と挨拶した。
常任弁護団の長谷川正太郎弁護士と瀬川宏貴弁護士が、設問の正解と不正解の回答を行い、研修会参加者が両弁護士の回答の内どちらが正しいかをA・Bのボードを上げて回答した。参加者の回答を受け、西田穣弁護士が正しい回答と法律の解説を行った。
A・Bのボードを上げて回答する夏季研修会参加者 |
更新料の問題では法律上支払い義務はないが、地主との間で更新料の金額や支払い方法などについて明確な合意が成立していると口頭の合意でも有効となること等が指摘された。地代問題では地主からの地代の増額請求に対し、借地人が逆に地代の減額を請求する場合の手続きや地主が地代を受け取らない場合の供託金額等について学習した。
借家問題では、契約期間満了で更新のない定期借家契約と家賃の減額、マンション退去時のクリーニング費用特約について両弁護士の熱弁で回答がA・Bで半々に分かれるなど、大変レベルの高い研修会となった。
講演する平山洋介神戸大学教授 |
STOP!生活保護基準引き下げアクションと住まいの貧困に取り組むネットワーク主催による生活保護の住宅扶助基準と冬季加算の引き下げ問題をテーマとした集会が9月15日午後1時から120名の参加で東京駅前ビルのハロー貸会議室で開催された。
吉永純花園大学教授が基調講演を行い、「現在の住宅扶助制度は家賃額を保障するもので居住水準を問わない制度になっている。低きに合わせるのではなく、住まいは人権であり最低居住水準の確保を優先し、それに見合う家賃を保障すべきである。冬季加算引き下げは寒冷地の命綱を奪うものである」と指摘した。
平山洋介神戸大学教授は「住宅扶助基準引き下げに見る住宅政策の貧困」と題して基調講演を行い、「日本の住宅政策は中間層の家族のいる世帯が家を持つことに力を入れてきた。日本では公的賃貸住宅は6%と弱く、家賃補助制度もない国はOECDの先進国では珍しい。社会的再配分という住宅政策が非常に弱く、このままでは低所得高齢者が増大し、住宅貧困が拡大する危険がある」と警告した。宮城県の被災地からも発言があり「仙台では民間賃貸住宅の物件が皆無となり家賃が高騰し、生活保護を受けて借りられる物件が見つからない」と訴えていた。
板橋区仲宿付近 |
板橋区の仲宿に住む佐藤さん(仮名)は父親が住むこの借地上の建物を相続した。この借地は、父親が生存中はその権利を主張し、前回の更新時には更新料を支払わずに頑張ってきた。
今回、同様に相続が発生した地主の代理人の大手不動産会社から連絡が入った。その内容は「4年後に更新の時期が来るが前回の更新時に更新料を支払っていない。石神井川拡幅工事の際に堅固な建物に建て替えたのは無断増改築である」。地代の値上げ等を盛り込んだ更新契約書を送付するので証明捺印し、送り返すように求めてきた。
佐藤さんは知り合いの紹介で組合事務所に相談に来た。更新料の支払いは契約書に記載されていないので支払う必要がないこと、地代の値上げについてもその根拠がはっきりしないことなどを説明した。
「心配で睡眠不足でしたが少し安心しました」と佐藤さんは語った。
■城北借組「西武デパート相談会」
11月12日(水)・13日(木)午前11時~午後5時(午後1時~2時昼食休憩)まで、西武デパート7階お客様相談室。連絡・(3982)7654。
■多摩借組「定例法律相談会」
11月8日(土)午後1時30分から組合事務所。相談者は要予約。
「学習交流集会」
10月24日(金)午後6時半から立川市高松学習館。11月22日(土)午後1時半から八王子労政会館。連絡・042(526)1094。
■葛飾借組「定例相談」
毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
毎月第2日曜日午後1時から組合事務所。連絡(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。
「法律相談」
毎月第3金曜日の午後7時から組合事務所。相談者要予約。連絡・(3801)8697。
■大田借組「日帰りバスツアー」
11月30日(日)。栃木県大谷石採掘場跡地・秩父満願寺・桜山公園の冬桜を見学。連絡・(3735)8481。
■「定期借家制度の普及拡大を許さない全国学習交流集会」
11月15日(土)午後1時30分開会、北区王子5丁目団地集会所6号棟(地下鉄南北線王子神谷町下車)。講演「戦後の日本の住宅政策の歴史と課題」、講師日本居住福祉学会副会長・前東京経済大学教授の大本圭野氏。参加無料。連絡・(3982)7277。