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2012年5月15日 第542号

民間低家賃住宅の実態報告

築後20年以上が大半で倒壊危険度高い
安定した雇用と住宅を
住まいの貧困ネットワーク3周年の集い

住まいの貧困に取り組むNW設立3周年の集い
住まいの貧困に取り組むNW設立3周年の集い

 住まいの貧困に取り組むネットワーク設立3周年「議論と交流の集い」が、4月15日午後1時15分から新宿区戸塚地域センターで50名の参加で開催された。
 同ネットワーク世話人の稲葉剛氏が開会あいさつで、「民主党政権に変わっても住宅政策は歩みが遅く、立ち止まっている状況にある。追い出し屋規制法案は廃案になり、派遣労働の規制も骨抜きにされている。ネットワークの3周年に当たり、あらためて首都圏における住まいの貧困の問題の解消に向けてどう運動をすすめていくか議論していきたい」と訴えた。

家賃5万5千円以下で分析

 基調講演では和洋女子大学大学院の岸岡のりこ氏が「東京23区の民間低家賃住宅の実態」と題して、民間賃貸住宅情報サイト「SUUMO」(リクルート社)の5万5千円以下の物件を町丁目別に分析した結果を公表した。間取りでは1ルーム・1Kが94%を占め、筑後年数は古い物件ほど安く、筑後20年以上が大半を占めている。昭和40年代に「木賃アパートベルト地帯」と指摘された範囲が23区の西側と東側に広がり、建物の倒壊危険度の高い地域とも重なっていること等が指摘された。
 各現場からの報告では、首都圏青年ユニオン書記長の河添誠氏は、若年ワーキングプアの住宅問題について「非正規雇用では安定して働くことが困難である。住宅政策の転換と同時に安定した雇用が必要である」と発言した。ワーカーズコープの山田育男氏は、住宅手当制度は認知度が低いと同時に使い勝手の悪い制度であると発言し、「借金が100万円以上あり、家賃滞納や借金が法的に整理されてないと利用できない」と指摘した。その他DV被害女性の住宅問題等で発言があった。


反響あった更新料!

首都圏連絡会議が街頭宣伝

大塚駅で行った街頭宣伝行動
大塚駅で行った街頭宣伝行動

 4月21日の午後、豊島区東部区民事務所で全借連定期総会後、初の首都圏連絡会議が東京・千葉・神奈川・埼玉の連合会・組合から14名が参加して開催された。
 会議では、第29回定期総会の総括・活動報告では民間賃貸住宅憲章の制定、尼崎借組の賛助会員、城北借組の女子会の取り組み等が話題になり意見交換がされた。また、固定資産税の据え置き特例の廃止に伴う税負担について細谷東借連事務局長から説明があり、縦覧期間中に各組合で調査し地主の便乗値上げに備えることを確認した。
 会議終了後、大塚駅北口に移動し「更新料をなくそう」とマイクで呼びかけ、「更新料は法律に規定がなく支払う必要がない」、「法定更新は借地借家法で認められている権利である」等を通行人に訴えた。宣伝を聞いて、組合役員に話しかける人もいて大きな反響があった。約1時間で3百枚のビラを配布した。


地代値上げで頑張ってる

荒川区荒川に住む大野さん
地代一挙に倍に増額
4階建に建替えた地代と同額に

 荒川区荒川3丁目で昭和31年頃から約40坪を父親の代から借地をしている大野さん(仮名)は、7年前に父親が他界し、大野さんが借地権を相続した。ところが3年前に月額坪650円だった地代を100円値上げし、現在750円で毎月3万円を支払っている。
 ところが今年2月末に地主から近隣の地代に合わせるといって4月から倍額の坪1500円に値上げし、月額6万円を支払うよう通告された。大野さんは、地主に対して「値上げの根拠を明らかにすること。周りの借地人で誰がいくら、平均いくら払っているのか資料を示してほしい」と要求し、「資料を示さなければ値上げは認められない」と回答した。地主は、一昨年秋に木造2階建から4階建のマンションに改築した借地人の地代が坪1500円だと主張し、領収書の写しを見せた。
 大野さんは、「木造から建固な建物に変わり、用途変更もされたのだから、その条件と同様に扱われるのはとんでもない」、「そんな無理な要求をするのならみんなに呼びかけますよ」と主張した。その後地主は「4月から税金が変わるからぜひ認めてほしい」と再度言ってきたが、物別れに終わった。大野さんは値上げには応じない決意である。


地代が税金の15・2倍
地代値下げの交渉開始

足立区

 足立区内で125坪の借地をしている鈴木さん(仮名)は6年前、母親からアパートの管理を任され、自分なりに工夫して常に満室状態にすることを心がけてきた。
 地代について都税事務所で借りている土地にかかる税金を調べてみると何と、税金の約15・2倍の地代を支払っていることが判明。鈴木さんはご近所の人から教えられた組合に地代の値下げについて相談した。
 父親が昭和39年に借地権付き建物を購入して土地賃貸借契約を結び、3年後に工場・事務所を建築し、昭和49年には旧建物を撤去し、地主の承諾を得てアパートを新築した。地代は昭和52年から平成12年までは毎年改定され、10万円を超えた。この間に、昭和59年と平成12年の更新時には更新料3百数十万円で合意更新した。両親はこれまで地主の言いなりできてしまった。
 組合役員からの地代の値下げは借地人の方から要求し、地主が合意すれば決まるが、合意しない場合は調停裁判にしなければならず、決着がつくまでは地代は現行額で支払わなければならない。調停で合意しなければ値下げは決まらず、最終的には裁判で決着することになり相当のエネルギーが必要と説明された。
 鈴木さんは組合に入会してまずは地主に会って値下げ交渉を始めることにした。


組合の催物とお知らせ

■城北借組「西武デパート相談会」
 6月13日(水)・14日(木)午前11時~午後5時(午後1時~2時昼食休憩)まで、西武デパート7階お客様相談室。
 「法律相談」
 6月15日(金)午後2時から組合事務所。連絡・(3982)7654。
■葛飾借組「定例相談」
 毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
 毎月第2日曜日午後1時から2時まで組合事務所。
 「役員会」
 毎月第2日曜日午後2時から組合事務所。連絡(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。
 「法律相談」
 毎月第3金曜日の午後7時から組合事務所。相談者は要予約。連絡・(3801)8697。
■北借組「法律相談」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から赤羽会館。相談者は要予約。連絡・(3908)7270。
■世田谷借組「相談会」
 毎月第1土曜日午後2時~7時まで組合事務所。連絡・(3428)0828。
■大田借組「常任理事会」
 5月26日(土)午後6時から組合事務所。連絡・(3735)8481。
■多摩借組「定例法律相談」
 6月2日(土)午後1時30分に組合事務所。
 「更新料・震災問題学習会」
 6月29日(金)午後6時30分から東京都八王子労政会館。連絡・042(526)1094。
■城東借組「総会と講演会」
 5月26日(土)午後1時から鈴木浩氏(福島大学名誉教授)の講演会。午後2時から定期総会。会場は浅草聖ヨハネ教会。都営地下鉄浅草線蔵前駅徒歩3分。会費1000円。連絡・(3837)7611