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2012年1月15日 第538号

組合の徹底した民主的運営を

東借連会長 佐藤富美男

写真 新年明けましておめでとうございます。
 昨年の3月に東日本を襲った地震と津波そして福島原発の事故は、社会や政治の在り方を根本的に問い直すきっかけとなりました。
 地震と津波で生命だけでなく、全財産をなくし、仮設住宅に住むことを余儀なくされた人々。「収束宣言」はだされたが、いまだに原発難民として県内外に住まわざるを得ない人々などの実態は、あらためて私たちにとって住み続けられる住まいがあることの幸せを痛感させています。
 原発ゼロをめざすとともに震災などが起きても、安心して住み続けられる公営住宅や社会住宅が拡充されていること。家賃補助制度の実現で自分の住みたい町に住めること。借地人が住まいの建て替えなどで低率で長期の住宅ローンを簡単に借りられるようにすることなどすべての人々が、安心して住み続けられる住まいをもつことが出来る社会の実現が求められています。
 借地借家人組合の果たす役割はますます重要になっています。今こそ、組合の旗を高く掲げ、借地借家人の住み続ける権利を守る相談活動を旺盛に行うことが重要になっています。このためには、組合員が自らの組合と組合活動を理解し、運動と組合の拡大強化のために奮闘することが求められています。その実現のためには組合長、事務局長を先頭にした組合活動の徹底した民主的運営が求められています。
 全借連が今年3月に行う定期総会はそのような組合活動が出来るように奮闘が求められています。東借連は昨年の3月の総会で、組合と名乗る限り、組合が実践する定期的な総会・役員会は最低限の条件であるとし、この間、理事会や組織拡大検討委員会でも議論し、その徹底のためにあらたなる実践もはじめています。この流れを大きくし、真に借地借家人の要求にこたえられる組合の実現をめざし頑張りましょう。
 最後に、今年一年が、私たち借地借家人と組合にとって良い年となりますように祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。


明渡しで頑張ってる

新宿区下落合の中村さんと田所さん
老朽化理由に更新拒絶
インターネットで組合検索し相談

中村さんたちが住む新宿区下落合の街
中村さんたちが住む新宿区下落合の街

 中村さん(仮名)と田所さん(仮名)は、新宿区下落合の木造アパートに10数年住んでいた。
 昨年の9月末に、家主から「来年の3月の更新だが、私自身高齢でアパート経営も出来ないし、建物も老朽化したから更新をしない。専門家に聞いたら6ヶ月前に通知すればよいと言われた」と言ってきた。二人とも長年住んでいて住環境や家賃の面でも十分満足していたので引越しする意思はなかったが、6ヶ月前に通知すれば無条件で退去しなければならないという家主の説明に納得せず、いろいろな所に相談した。しかしながら、様々な解答があって迷ってしまい、インターネットで検索して借地借家人組合のことを知って西武デパートの相談会に来た。
 「家主が借家の更新を拒絶したり、契約を解除するには6ヶ月前に通知しなければならず、その点では正しいのですが、更新を拒絶したり、契約を解除するには『正当な事由』がなければならないのです。この点で、家主の説明だけではアパート経営も出来ないとか建物の老朽化だけでは正当な事由が100%あると言えず、明渡しを拒絶することもできます。また、正当な事由が100%あるということが出来ないので、家主から立退きの補償をするという提案があれば、双方が条件を出し合って合意ができれば明渡しが成立します」という説明をしたところ、二人は納得して「今後、相談したいことも多々あると思いますので組合に入会していきたい」と答えた。


借地借家 豆知識

地代の増額請求と時効の成立

(問)30年前から地代の増額請求で話し合いがつかないまま地代を供託しています。地主が亡くなり、相続人となった長男の地主の代理人の弁護士から30年前からの地代の差額を支払えと請求されています。支払に応じないと裁判にかけるといわれています。どうしたらよいでしょうか。
(答)月払いの地代など賃料債権は民法169条の短期消滅時効により5年前の地代の増額は請求できません。地代の増額請求は、旧借地法12条により、地主と借地人との間で地代の増額について協議が成立しない場合は、借地人は相当と認める賃料の支払をもって、債務不履行として扱わないとしています。地主に相当額を提供し、受け取らない時は法務局に供託しておけばよいのです。地主がどうしても地代を値上げしたければ、調停を経て裁判を起こし、裁判で地代が確定し借地人が支払った相当額との差額が生じた場合には、年1割の利息をつけて支払わなければなりません。
 地主は、増額請求して5年間の間に地代増額請求の調停も裁判も起こさなかったわけですから、時効により地代の差額は請求できないことになります。
 時効とは、法律上の権利関係が長年決着がつかない状態にあると社会生活が安定しないことや、昔の出来事なので証拠がなくなっているということがあります。権利の行使を怠っていた債権者である地主は保護されなくても仕方がないということです。
 地主の代理人に対しては、30年間の差額は時効の成立で差額地代の請求には応じられない旨を内容証明郵便等で回答し、あらためて過去5年間の地代について固定資産税・都市計画税を調査し、相当額について協議に応じる意思がある旨を伝えましょう。内容証明郵便の書面の内容等については、組合や組合の顧問弁護士に相談して対応してください。


組合の催物とお知らせ

■城北借組「西武デパート相談会」
 2月15日(水)・16日(木)午前11時~午後5時(午後1時~2時昼食休憩)まで、西武デパート7階お客様相談室。
 「法律相談」
 2月17日(金)午後2時から組合事務所。
 「2012年新年会」
 1月30日(月)午後6時30分より豊島区立勤労福祉会館。会費2千円。連絡・(3982)7654。
■江東借組「法律相談」
 毎月第2水曜日午後6時から大島総合区民センター。連絡・(3640)4694。
■葛飾借組「定例相談」
 毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
 毎月第2日曜日午後1時から2時、組合事務所。
 「役員会と新年会」
 1月8日(日)午後2時から組合事務所。連絡・(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。
 「法律相談」
 毎月第3金曜日の午後7時から組合事務所。相談者は要予約。連絡・(3801)8697。
■北借組「法律相談」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から赤羽会館。相談者は要予約。連絡・(3908)7270。
■世田谷借組「相談会」
 毎月第1土曜日午後2時~7時まで組合事務所。連絡・(3428)0828。
■大田借組「新年会」
 1月21日(土)午後6時から大田区消費生活センター。連絡・(3735)8481。
■多摩借組「定例法律相談」
 2月3日(金)午後1時30分から組合事務所。
 「新年会」
 1月20日(金)午後6時から庄や立川南口店。連絡・042(526)1094。