3月11日に発生した東日本大震災で、東京でも2区・2市で7名が死亡し、全壊・全焼が北区・荒川区・足立区で合計6棟、半壊・半焼が10区60棟の被害が出た。
各地の組合には、建物被害の報告や相談が数多く寄せられている。足立区では建物が古いために、地震で外壁にひび割れが生じたところ、地主から管理を任されている不動産業者から「建物に手をつけるな」と言われ、借地の等価交換を要求された。浦安市ではアパートの水道が止まった途端、賃貸借契約の解除を求められた等の相談もあった。
95年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の時は、翌月の2月6日に罹災都市借地借家臨時処理法(罹災法)が政令適用され、兵庫県の10市、11町、大阪市の12市が対象地域になった。
阪神大震災直後から、罹災法をめぐる紛争は激増した。申立事項は、借地権の成否、借地権の賃料、借地権譲渡の成否、優先借地権の申し出、優先借家権の成否等々、罹災法関係の非訟手続きの申立事件が神戸地裁で155件、罹災調停事件は神戸簡裁で、宅地建物調停が1316件があった。
首都圏大地震に備え、阪神大震災の経験を学び、罹災法について「罹災と借地借家問題」をテーマに東借連では7月に夏季研修会を開催する。
日時 7月23日(土)午後1時30分~4時30分。
会場 ラパスホール(下図)
講師 東借連常任弁護団西田穣弁護士、尼崎借組田中祥章組合長(全借連理事)
原町借組小武海さん(左) |
5月20日現在全借連へ、東日本大震災への義援金が、3連合会と6組合、1個人から合計31万6931円寄せられている。
5月6日佐藤富美男東借連会長に同行し、群馬県片品村に避難している福島県原町借組の小武海三郎全借連理事を訪問し、義援金の一部を渡し激励した。小武海氏は、避難生活中インターネットで南相馬市などのホームページを閲覧し、震災や原発情報を確認。南相馬市長の政府への苦言などもユーチューブで見ていたそうだ。避難生活は7月15日までになるが、その後復興事業に元気に取り組めるよう健康には留意しているとのこと。今後の活躍を期待したい。
斎藤さんが住む豊島区南池袋附近 |
豊島区の南池袋に住む斎藤さん(仮名)は、池袋から数分のこの場所で長い間、居住しながら1階部分で商売をしていた。今から、10年位前にあまりにも地代(坪あたり約5千円)が高く、商売していくことさえ困難と考え、入会していた民主商工会に相談したところ、借地借家人組合を紹介された。
組合では斎藤さんと相談の結果、近隣の相場や同じような駅前に近い場所の相場などから現行地代の半分位の減額請求をすることにし、組合に入会したことも含め地主に通知を出した。
当時、地主は組合に対抗するために税理士を代理人として交渉に臨み、最終賃料合意後の物価指数を根拠に二割の減額を提案してきた。斎藤さんは組合と相談し、不服として調停の道もあるが月額約二万円の減額で合意することにした。
そして、今回、更新を迎えて、地主は斎藤さんが組合に入会しているためか、更新料の請求は一切せずに、合意更新して契約書の作成を提案してきた。斎藤さんは、これを機会にあらためて地代減額を請求することにし、組合事務所に相談に来た。組合ではあらためて近隣などから月額三万円の減額請求をし、窓口として組合がなることを再度通知した。
地主は、通知書に示された月額三万円の減額請求に対して、月額二万円の減額を示し、そのうえで、更新時期の一年前にさかのぼって減額をすることを提案してきた。
斎藤さん「合意することにしました。組合に入会し、何回かの減額や様々な問題でお世話になって助かりました」と語った。
最近、若い人からの相談で、「更新を拒絶され、再契約できないと言われた。引越しして二年しかたっていないので、あと一回くらい更新をしたいのだが、どうしてもだめですか」という中身で同じような電話相談を何件か受けました。
よくよく話を聞いてみると、普通借家契約ではなく定期借家契約であることが判明しましたが、本人たちは普通借家契約と定期借家契約の違いもわからず、契約時のどのような書類に署名捺印したかも忘れていました。最近は非正規で働く人が増加しているために、このような若者向けに定期借家契約の物件が増えてきているという話です。
あらためて定期借家契約について知っておきたい豆知識を紹介いたします。
その一、通常の借家契約と異なり、更新がなく契約終了と同時に退去しなければいけないということです。(借地借家法第38条1項)期間が満了すれば、再契約もできますという不動産会社の口頭の説明をうのみにしてはいけません。あとでどのようにでも言い訳できます。
その二、定期借家契約は定期借家契約であるという説明した文書を交付した上で説明が必要です。(同38条2項)定期借家契約書だけでは、定期借契約は成立致しませんので注意が必要です。何年か前の相談ではこのような文章がなかった事例もありますので注意しましょう。
その三、契約期間が一年以上の場合は、期間満了の一年前から6ヶ月前までの間に通知をしなければいけないことになっています。(同38条4項)その通知がない場合は、あらためて通知が来てから6ヶ月後に契約は終了となります。最後に、このように定期借家契約は借主にとって極めて不利な契約ですのでこのような契約物件は避けるべきです。
■城北借組「西武デパート相談会」
7月13日(水)・14日(木)午前11時~午後5時(午後1時~2時昼食休憩)まで、西武デパート7階お客様相談室。
「法律相談」
7月15日(土)午後2時から組合事務所。連絡・(3982)7654。
■多摩借組「定例法律相談」
7月2日(土)午後1時30分から組合事務所。相談者は要予約。
「更新料問題学習会」
6月25日(土)午後6時半から武蔵野公会堂。7月9日(土)午後1時半から八王子労政会館。連絡・042(526)1094。
■江東借組「法律相談」
毎月第2水曜日午後6時から大島総合区民センター。連絡・(3640)4694。
■葛飾借組「定例相談」
毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
毎月第2日曜日午後1時から2時、組合事務所。連絡・(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。
「法律相談」
毎月第3金曜日の午後7時から組合事務所。相談者は要予約。連絡・(3801)8697。
■北借組「法律相談」
毎月第1・第3水曜日午後7時から赤羽会館。相談者は要予約。連絡・(3908)7270。
■世田谷借組「相談会」
毎月第1土曜日午後2時~7時まで組合事務所。連絡・(3428)0828。
■大田借組「役員研修会」
7月16日(土)・17日(日)の1泊2日、福島県沼尻高原ロッジ(登山家田部井淳子氏経営)。連絡・(3735)8481。
■東借連「常任弁護団会議」
6月16日(木)午後6時30分城北法律事務所。連絡・(3982)7277。