発災から半年、被災地は損壊住宅の公費解体は始まりつつあるものの、発災当日と変わらぬ姿が広く残されたままです。「輪島朝市通りの消失現場を見るたび、心が折れそうになる」と、そこで暮らしていた人の言葉を忘れることができません。
「国・県は本腰が入っていない」との声が広がるのも当然です。
仮設住宅の入居が進んでいるものの、鍵一つ渡され、「電気、水道などの手続きも自分でやれ」「もはや救助の対象ではない」と食料支援なども打ち切られ、「買い物に行くにも車で30分かかる」などの悲痛の声が後を絶ちません。
この背景には、知事が3月12日の県災害対策本部員会議で「仮設住宅や公営住宅、アパートに入居したら、自立しなければならない」と、事実上自立を強要する発言をしたことにあると考えています。
被災地の実態を見ない暴論と言わなければなりません。
戦後、被災地能登地方は「猫の目農政」と言われる国家政策により、家族経営的な農業水産業が破壊されてきたもとでも、被災者は先祖代々の土地、文化や風土を守り続けてきました。
「住み慣れた土地に住み続けたい」との声は当然の思いです。
昨年2023年5月の珠洲における奥能登地震により、「悔しさと悲しさで涙を流しながら両親が築いた家を解体し故郷を離れた」高齢の方から手紙をもらいました。
「残してきた両親のお墓も地震の隆起で土台からひっくり返ったままです」「私の故郷は前が海で後ろが山という典型的な海岸線の集落。住みよいと移住者もあります」「復旧、復興に取り組んでおられる関係者の皆さんが、集落の皆さんとヒザを突き合わせて真剣に相談してくれることを望んでいます」と、小さくても住みよい集落づくり。集落内で避難できる頑丈な建物を」との内容でした。
甘かった地震被害想定を見直すとともに、住民負担を極力抑えた住宅耐震化も求められます。
被災者が主人公、全国の皆さんの知恵と力をどうかお貸しください。
石川県議会議員 佐藤正幸 |