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2024年7月15日 第676号


能登半島地震の被災実態と復旧・復興の課題
住まい連など4団体共催でシンポジウム
被災者は救われていない
復興・生活支援は国主導で


輪島市内の倒壊した7階建鉄筋ビル

 2024年1月1日に発生した「能登半島地震」の発災から5か月、6月15日、NPO法人建設政策研究所・国民の住まいを守る全国連絡会(住まい連)・日本住宅会議関東会議・住まいの貧困に取り組むネットワークの4団体共催により、東京都新宿区の建設プラザで会場とオンラインを結び、「能登半島地震の被災実態と復旧・復興の課題」をテーマに、シンポジウムを開催しました。
 日朝洋明氏(関西ブロック生活関連公共事業推進連絡会議事務局長)は、公共事業に働く労働組合として災害派遣に駆け付け、「生活基盤、インフラの被災状況と復旧の課題、見通し」について、被災地の写真を示し「イタリアでは、人権を守る避難所、いのちを守る「TKB」の政策がとられ、発災から48時間以内でトイレ、キッチン、ベッドを用意し、社会保障の考え方を基に被災者に寄りそった生活支援を行っている」ことが報告され、日本の災害対策の遅れを指摘、災害支援の重要性を強調しました。
 坂庭国晴氏(国民の住まいを守る全国連絡会代表幹事)は、「住宅被災、住居確保と住宅復興の課題」について、「被災者の住まいの確保で居住面積が狭く、300万円では到底足りず生活再建支援金600万円に倍化が必要。国に専門的機関がない。常設の復興省をつくること、災害救助法や生活再建支援法なども含めて抜本的、全面的な改正をめざしたい」と述べ、海外から日本の災害対策への懸念も紹介されました。

能登半島地震のシンポジウム(6月15日東京新宿区)
 市村昌利氏(法人建設政策研究所専務理事)は、「木造応急仮設住宅の建設状況」について、現況資料を示し、「整備戸数は本当に十分かどうか。被害の甚大性から仮設住宅の長期間使用が増え、長期間の使用に耐えられる住宅建設が必要。必要個数に対し仮設住宅の着工が遅れている。みなし仮設住宅を積極的に使いさらに整備していく必要があり、様々な課題が依然として多いと思いますので今後も調査を進めていきたい」。
 佐藤豊氏(東京土建一般労働組合副執行委員長)は「4月19日・20日能登半島被災地視察 概要報告」について、全建総連と支部の組合員で視察し、激励と支援金、ブルーシート400枚を届け、「困りごと相談」などの支援活動を報告。「被災者はいまだに救済されず、取り残され犠牲となっている。イタリアのように被災地の復興、生活支援は国主導でやるべきで“国がなんとかせい”と言いたい。先日学んだことは被災した方たちは絶望の淵に立たされている。絶望を希望に変えるということが国の役目であり、国が憲法に法って全ての国民に健康で文化的な生活を営む権利があり、そこに国がきちっと向き合う必要がある」と報告しました。
輪島朝市の火災跡
 「被災者共同センター」の黒梅明事務局長は、「被災地の現在と支援・求められる施策」について、発災から5か月を経た今も続く過酷な被災者の避難実態と政府、石川県のずさんな復興、復旧対策、被災者への生活再建支援策を厳しく批判しました。「発災から数週間も冷たいおにぎりと水で被災者が過ごした。支援センターは、米と水の支援、生活用品を支援してきました。本来国がやるべきこと。被災者は仮設住宅に住み始めていますが、鉄板の仮設住宅は狭く、生活用品もなく、全て自助努力、自分でやってくださいと言われ、新たなストレスと問題が生まれています。発災から5か月の今でも地域は崩壊し2月、3月の被災場所がそのまま残されています。被害の住宅申請も未だ調査が進まず、とてもとても被災者を支援しているとは言えない。住まいは単に寝るだけのものではない。住み続けられるということは基本的人権を守ること。大阪の万博は止め、能登の被災地にゼネコンを。国と自治体の責任で道路の復旧や被災地の復興を急ぐべきです。今の被災者は本当に救われていない。政治の実態がそこにあるということだと思います。どうかみなさん、被災地を訪ねて下さい。見て下さい。そして怒って下さい。この政治を、状態を変えなければいけないと思います。」と訴えました。
 全借連から参加した綾達子事務局次長は政府の定員管理による自治体職員削減と復興の遅れを批判し、仮設住宅2年など災害救助法の抜本的改正の必要性を述べ、日本共産党佐藤まさゆき県議会議員からのシンポジウムへのメッセージを代読、紹介しました。(2面掲載)被災地への緊急支援活動、調査から被災地の現状と課題、被災者の置かれている過酷な避難生活の実態が、5人の報告者により赤裸々に語られ、改めて国、県の復旧・復興の課題と責任が彫りにされました。シンポジウムには72人が参加し、最後に司会者より、「災害大国である日本で必ず来る南海・東南海地震など、みんなで日本の災害を考え一緒にがんばっていきましょう」と閉会の挨拶、3時間を超える熱気にあふれたシンポジウムを閉会しました。

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