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2024年1月15日 第671号


家賃補助制度の検討求める
田村智子参議院議員(日本共産党)が国会質疑


田村参議院議員

 昨年12月5日に行われた参議院国土交通委員会で、日本共産党田村智子参議院議員による家賃補助制度の創設についての質疑内容を紹介します。
田村議員 物価高騰が暮らしに襲いかかっています。食費や日用品などを節約している多くの国民にとって節約のやりようがないのが家賃です。
 まず、資料1ですけれども、国立社会保障・人口問題研究所が2021年に出版した日本の居住保障から取ったものです。住居費が可処分所得の4割を超える世帯の人数が総人口に占める割合、これを住居費過重負担率、住居費の負担が重過ぎる人の割合として算出をして国際比較をしています。日本は19・3%、民間賃貸住宅では35・5%、しかも所得が下位20%では、73・2%の人たちの住居費が重過ぎるということになるんですね。国際比較で全体として高い数値で、特に低所得者の過重負担率というのは突出して高くなっています。これは日本の住宅政策の貧困を表していると思いますが、大臣、どうでしょうか。

斉藤大臣 この住居費過重負担率については、OECDの2020年の調査によりますと、持家と賃貸の合計では日本は8%程度となっておりまして、北欧諸国やイギリスといった国々と大きく変わらず、フランスやドイツよりは高いもののアメリカより低い数値となっております。………
 住宅政策につきましては、戦後の絶対的な住宅の不足の中で、公営住宅の整備など、全世帯数を超える住宅供給を確保することから始まり、居住水準や住宅性能の向上を図るとともに住宅セーフティネット制度を充実してきたところであり、こうした施策を引き続き取り組んでまいりたいと思います。
田村議員 今イギリスの話がありました。しかし、イギリスというのはこの住居費過重負担率の中に家賃補助は考慮されてないんですよ。2019年3月時点で、イギリスの家賃補助は398万件、住居世帯率は14・6%、平均支給額は日本円で1世帯当たり月額約6万円ですね。資料2を見ていただくと、2015年、政府支出の住宅手当は、イギリス、GDP比で1・4%になるんですよ。フランスは2018年、住宅予算の4・3%が住宅手当です。一人親世帯の62%に住宅手当が支給されています。日本は非常に家賃が高いのに住宅手当がない、そういう国でもあります。持家については住宅ローン減税などの支援制度がある、だけれど賃貸の居住者に対して一般的な家賃補助制度がない。これ、なぜでしょうか。
政府参考人(石坂住宅局長) 賃貸住宅につきましては、全ての賃借人の家賃については消費税が非課税となってございます。加えて、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で住まいを賃貸する公営住宅の供給に加え、セーフティネット住宅の確保や家賃低廉化の支援を行ってきたところであります。ご指摘の一般的な家賃補助につきましては、市場家賃の上昇を招く懸念はないか、適正な運営のための事務処理体制が必要ではないか、住宅扶助を始めとする社会保障制度との関係を整理する必要があるのではないかという課題があり、慎重な検討が必要と考えてございます。
 先生ご指摘の資料2でございますけれども、日本の支出の割合は生活保護の住宅扶助、約6500億円程度でございますけれども、そういったものと家賃対策の補助の合計があるものと考えていますが、………こうした観点から、引き続きその福祉政策を所管する厚生労働省や地方自治体とも連携して取り組んでまいりたいと考えているところです。
田村議員 日本はその生活保護の住宅扶助ぐらいしかないんですよ。
 それで、国交省もいろんな家賃について調査をやっていますよね。資料3。30歳未満の勤労単身世帯1か月当たりの平均消費支出に占める住居費の割合、1969年4%台、89年10%台、2019年には男女とも25%を超えているんですね。………こういう家賃による生活困窮が日本では当たり前のようになっているということが異常だと思うんです。だから、家賃補助制度、日本でも検討が必要だと考えますし、是非、海外の事例とかも研究してみてはどうかと思います。
斉藤大臣 住まいは生活の基盤であり、住宅の確保に配慮が必要な方も含め、誰もが安心して暮らせる居住環境の整備が重要です。局長から答弁がありましたけれども、国土交通省においては、公営住宅の供給に加えて、セーフティネット住宅の確保や家賃低廉化支援を行ってきたところです。
田村議員 大臣言われたとおり、住まいというのは、就労、就学、そして社会保障を受けるときの基礎になるわけですね。住まいを失うとこれらが全部ガタガタと崩れていってしまうわけですよ。ですから、人間が社会の中で生きる土台というのが住まいであって、その住まいを保障するということを住宅政策の柱に据える必要がいよいよ出てきているというふうに思うわけです。
 もう1点、ジェンダーの視点からも見てみたいんです。資料4、横浜市の単身世帯の住まいの状況・ニーズ調査報告書から取りました。これ、横浜市男女共同参加局が、35歳から60歳で働いている単身の男女それぞれ250名を対象に調査を行った報告書です。賃貸住宅の居住者は、単身女性の65%が家賃6万円以上、これは単身男性よりも12%多いです。
 もう1つ調査を示したいんです。これは、わくわくシニアシングルズが、2022年中高年シングル女性の生活状況実態調査というのをやっています。40歳以上のシングル女性2345人が回答しています。民間住宅に居住している方が約4割、その4割近くが住居費7万円以上。全体の6割以上が住居費を払うと生活に余裕がないと答えているんですね。書き込まれた意見も、50代正規職員、家賃の負担非常に重い、失職、年金生活になった場合、現在の家賃が払えない。家賃が安い部屋に引っ越そうとしても単身高齢女性は容易に部屋を借りることができない、政府には家賃補助金や単身女性が公営住宅に住む権利を要求したい。………単身者への家賃支援、あるいわ女性の住まいの権利、こういうこともやっぱり住宅政策の中で検討が必要になってくると思うんです。いかがでしょうか。
斉藤大臣 単身者や女性の中にも住宅の確保に困難や不安を感じている方がいらっしゃる、このいように認識しております。このような方々も含め、誰もが安心して暮らせる居住環境の整備を行っていかなくてはなりません。このため、国土交通省では、低額所得者や一人親世帯など住宅の確保に配慮が必要な方に対して、公営住宅の供給に加えて、セーフティネット登録住宅の確保や居住支援を推進しています。
 また、現在、国土交通省、厚生労働省、法務省の三省合同で設置した有識者検討会におきまして、住宅セーフティネットの機能の強化に向けて住宅政策と福祉政策が一体となった居住支援の在り方などの検討が行われているところです。引き続き、単身者や女性の住まいの課題や現状を踏まえ、支援の充実に取り組んでまいりたいと思います。
田村議員 本当に公営住宅の入居の条件が非常に狭過ぎるすぎるんですね、日本の場合、単身者の女性は入れないですよ。物凄い不安を今シングルの女性たちが抱えている。ここに応える政策の検討、是非行ってほしいんです。
 今まで答弁の中で住宅セーフティネットのことが何度も言われてきたんですね。2017年。この住宅セーフティネット法改正時、最大月額4万円の家賃低廉化を国交省は宣伝しました。しかし、予算は僅か3億円なんですよ。しかし、昨年度の実績を見ると全国で家賃低廉化した住宅と言われているのは452戸しかない。国の支出は7200万円弱にとどまっているんですよ。これ、だから設計が駄目だと思うんです。貸し手側に手を挙げてくださいというのでは全く普及しないということが既に明らかになっているんじゃないでしょうか。この住宅セーフティネット法、5年の見直しが先送りされています。
 今、是非検討していただきたいのは、家賃負担によって生活が苦しいという広範な人を対象にした家賃補助制度を検討することが必要になっていると思うんですよ。抜本的な改革が必要になっています。ここは思い切った検討に踏み切っていただきたいと思います。いかがでしょうか。
斉藤大臣 三省合同の検討会が取りまとめた中間とりまとめ素案では、今後の住宅困窮者に対する居住支援の在り方として、入居時のみならず様々なニーズに応じた入居中のサポートの充実や地域の支援体制整備の推進など幅広くご検討いただいているところです。
田村議員 やっぱり公営住宅の再構築、UR賃貸住宅も家賃減額制度を機能させる、これぐらいはすぐにできることだと思うんですね。是非、欧州などの住宅政策を調査研究して、人を尊重した住宅政策への転換を求めて質問を終わります。


自由記述コメント…住まいについて
■家賃の負担が非常に大きい。失職、年金生活になった場合に現在の家賃が払えない。家賃の安い部屋に引っ越そうとしても、単身高齢女性は容易に部屋を借りることができない。政府には、家賃補助金や単身女性が公営住宅に住む権利を要求したい。(50代・独身 正規職員)
■住宅購入の場合にのみ税控除があるのはおかしいです。家賃補助制度を作ってほしいです。生涯にわたって住宅を所有しない人を念頭に置いた住宅政策を求めます。(40代 独身 自営・フリーランス)
■収入が大幅に減ったときに、家賃が払えるかどうかが将来の不安の中で1番大きな割合を占めている。住居がなければ何もできない。単身者への住宅支援をしてほしい。(40代 独身 非正規職員)
■年金生活者でも暮らせる単身者向けの公的住宅の拡充を希望します。(50代 離婚 正規職員)
■高齢単身女性に安心できる住居の確保を。生活費における住居費の負担がかなり大きい。(60代 独身 自営・フリーランス)
■高齢の一人暮らしに困らないよう、公営住宅を今後増やしてほしい。(40代 離婚 非正規職員)
■高齢になる前の40代の今でも、保証人がいなくて部屋が借りられないことに、更新の度に強い不安にさらされています。保証人がいなかった場合、保証会社を通すのが当たり前になっています。連帯保証人絶対必要、という物件がほとんどです。(40代 独身 正規職員)(わくわくシニアシングルズ調査)

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