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2023年7月15日 第665号


ジェンダーと女性の住まい
住まいは人権デーで住宅団体がシンポジウム
家賃払うと家計に余裕ない
家賃補助・公営住宅は切実な要求

ジェンダーと女性の住まいの状況シンポ(6月18日、中野サンプラザ)

 住まいの貧困ネット、住まい連、住宅会議の3団体の主催による2023年住まいは人権デー・シンポジウム「ジェンダーと女性の住まいの状況〜多様な住要求と支援」が6月18日、中野サンプラザで開催され、会場参加54名、オンライン参加26名、総勢80名が参加しました。
 開会挨拶は住まいの貧困ネット世話人の坂庭国晴氏が行い、住まいは人権デーは1996年6月の第2回国連人間居住会議(ハビタットII)で「居住の権利は人権である」と宣言され、毎年6月にこの宣言の実行と住宅政策の転換を求めて住宅関係団体で集会等を行ってきた。ハビタット宣言の中で「女性の安全かつ健康な住環境の保障することはとくに重要である」ことを強調しました。
 シンポジウムは5人の女性から女性の住まいの状況と実態について明らかにされました。わくわくシニアシングルズ代表の大矢さよ子氏から2022年の40歳以上の中高年シングル女性2345人の実態調査の内容とくに住宅の実態が報告されました。民間賃貸住宅に居住するシングル女性は家賃7万円以上支払っている人が38%を占め、負担が重く住居費支払後の家計に余裕がない人が63%を占め、また高齢期に民間賃貸住宅が借りられなくなる、保証人を立てられなくなる等の不安をかかえている人が多いことが指摘されました。
 横浜市男女共同参画推進協会課長の植野ルナ氏は、単身女性の住まいの調査の結果について、居住面積の狭さ、高い住居負担率(平均37%)、防犯上の不備、居住環境の不満、住まいの転居を希望するも(初期費用を準備できない、保証人を頼める人がいない)等のハードルが高い、単身者への公的な支援がない等の声が上がっていました。
 フリーライターの和田静香氏は、単身の女性でフリーライターであることで家探しの困難な実体験を報告し、家賃補助、60歳以下の単身者でも公営住宅に入れるよう制度の改善を訴えました。
 ウイズタイムハウス代表の加藤木桜子氏は、自らシェアハウスを運営し、困難な事情をかかえる女性のサポートと居住支援について報告しました。
 最後に、全借連事務局次長の綾達子氏が、女性賃借人の困難な実態について詳細に報告しました。

シングル女性に支援策を

全借連事務局次長 綾 達子

 6月18日の「ジェンダーと女性の住まいの状況―多様な住要求と支援」のシンポジウムで、全借連事務局次長としてシンポジストに依頼され、「女性賃借人の状況と家賃保証業者の実態、女性の暮らしを支える住宅保障を」をテーマに20分の報告をしました。
 シングルマザー、高齢シングル女性、単身女性、家賃保証会社からの悪質な家賃取り立てを受けている青年など、5人の方たちの相談事例を紹介しました。
 特に5年間にわたり支援を続けてきた母子家庭の女性とその子供たちが、困難な生活の中で必死に生きる希望を探し求め、一歩一歩自立への道を歩き出している姿を紹介しました。「家賃が払えない」ことの背景に、4人の子供を連れて夫のDVから逃れ、重労働と低賃金の非正規で働き、生活に困窮する現実がありました。
 非正規労働は男性28%に対し女性は54%、低賃金が生活困窮を生み、誰にも相談できないまま自らの命を絶つ女性たちが、特にコロナ禍で急増し、G7の7カ国中、日本の女性の自殺率が最も高いことが、2022年の厚生労働省の「自殺対策白書」で明らかになり、背景には「非正規労働が多い女性が依然として失業や収入減に悩んでいる」との見解を発表しました。
 「低賃金で家賃も払えず困窮する女性たち」が、コロナ感染拡大以降いっそう深刻な状況となっていることが明らかになりました。
 改めて国、地方自治体など行政がシングル女性に対する、相談窓口を設置するなど、具体的な支援策が緊急に求められています。
 報告の最後に、(1)住居確保給付金から恒久的家賃補助制度の創設を。(2)男女同一賃金、女性の地位向上とジェンダー平等。(3)非正規労働の抜本的改革。(4)公営住宅の保証人なしを明記する事。(5)家賃保証会社への法的規制強化、(6)生活保護、住宅扶助費の引き上げ。(7)行政に住宅相談窓口を。(8)「女性支援法」を真に実効性あるものに。など10項目を提言しました。
 全借連の存在意義を再認識した貴重な発言の機会となりました。

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