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2022年6月15日 第652号


家賃補助制度実現求め院内集会
住まい連・住宅会議・住まいの貧困ネットが共催
家賃補助実施の政治決断を
7月の参議院選挙の争点に

 新型コロナ感染症の拡大が始まって3年目を迎え、未だ感染が治まる見通しもなく、感染の拡大が長期化しています。コロナ以前から日本では住まいの貧困が深刻化していましたが、コロナ感染拡大で家賃が支払えなくなり、住居を喪失する人が様々な階層に広がっています。コロナ禍で始まった緊急支援としての住居確保給付金制度を一時的ではなく恒久的な家賃補助制度にすることを求めて住まい連など3団体は5月17日に参議院議員会館で院内集会を開催しました。家賃補助制度の実現は「今こそ政治の決断である」との声が強く上がりました。

 「家賃補助制度の実現へ〜住居確保給付金を基礎に〜参議院選挙と各党の住宅政策」とのテーマで住まい連、日本住宅会議、住まいの貧困ネットの3団体は、5月17日に参議院議員会館において院内集会を開催しました。

立憲・共産・社民が挨拶

 主催者を代表して稲葉剛氏(立教大学大学院客員教授)が挨拶しました。
 稲葉氏は「厚労省の生活困窮者自立支援のあり方等に関する検討会でも住宅手当といった家賃補助的施策も含め、普遍的な社会保障施策を検討する必要があるとの議論が行われ、住宅手当の実現の外堀は埋まってきている。実施に向けて後は政治の決断にかかっている」と発言しました。院内集会には日本共産党、立憲民主党、社会民主党の各党から多数の議員、秘書が参加し、連帯の挨拶がありました。

母子世帯苦しめる家賃負担

 報告1では、「コロナ禍の居住福祉、シングルマザーの視点から」と題して葛西リサ氏(追手門大学准教授)がビデオ動画で報告しました。母子世帯の居住貧困の実態とコロナ禍アンケートの結果について詳細な報告がありました。コロナ禍で収入減が約5割を占め、家賃の支払いが苦しいという回答が56・8%を占め、「貯蓄を切り崩して生活している。家賃を滞納している」との回答がありました。東京では約半数の人が家賃を支払うと手元に残るお金が5万円未満という深刻な数字も出ています。家賃を支払うために食事回数を減らしているとの回答も。
 葛西氏は、緊急的対策として「コロナ禍の住まい喪失を避けるために、現金給付等早急な対応、住居確保給付金の所得制限緩和や期間の延長」等を提案。長期的には「今ある一人親の居住貧困は、コロナがもたらしたものではなく、平時の居住貧困が露呈されたものであり、緊急時の対処療法的でない安定的な住宅政策(家賃補助)が求められる」と訴えました。

家賃補助まったなしの課題

 報告2は「住居確保給付金の現状と論点、諸外国の家賃補助について」、坂庭国晴氏(日本住宅会議常任理事)が報告しました。
 冒頭、内閣府の全世代型社会保障構築会議で「住宅手当といった家賃補助的な施策も含めて、普遍的な社会保障政策として検討する必要がある」などの政府内の議論を紹介し、「家賃補助制度は、いよいよ待ったなしの課題になった。政治の決断が今求められている。当面の参議院選挙でも争点にすることが重要である」と発言しました。
 住居確保給付金の制度の概要とコロナ禍の対応について報告し、同給付金の利用者は単身者が6割強を占め、年齢構成は30歳未満から対象外だった65歳以上まで幅広い年齢に支給され、公営住宅・セーフティネット住宅も住宅支援不十分であったが、唯一住宅の支援として機能したことが指摘されました。
 なお、住居確保給付金の支援の対象は公営住宅入居資格者で、支給される家賃額も生活保護の住宅扶助額と低く、支給される家賃額では東京で住むことは困難であり、抜本的に改善が必要である。また、欧米6か国の最近の住宅手当についての最近の状況が報告されました。
 報告3は「参議院選挙と各党の住宅政策、家賃補助制度の課題と展望」について佐藤和宏氏(高崎経済大学講師)が報告。昨年の衆議院選挙の各党の選挙公約を紹介し、立憲・共産・社民・れいわ新選組、公明党が住宅手当を公約に明記していることが指摘されました。

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