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貧困現場の生々しい実態について対談する稲葉剛さんと雨宮処凛さん |
コロナ禍の下で、年齢・職種・性別を超えて幅広い層の人達が生活に困窮しています。国民の住まいを守る全国連絡会(住まい連)、日本住宅会議、住まいの貧困に取り組むネットワーク(住まいの貧困ネット)は緊急事態宣言中の5月19日12時から衆議院第2議員会館で「住まいの貧困をなくす〜家賃補助の実現、公共住宅重視へ転換を」をテーマにした院内集会を開催し、60名が参加しました。
院内集会は、全借連の綾事務局次長が総合司会を行いました。
住まい連代表幹事の坂庭国晴氏が開会あいさつを行い、「新たな時代の住宅政策とは」と題して、3月に閣議決定された「住生活基本計画」について発言し、「同計画変更案に111の個人・団体から447件の意見が提出され、都道府県から100件の意見が出た。しかし決定された全国計画にはほとんど意見が反映されていないなど重大な欠陥がある」と批判。また、コロナ禍で住宅施策として公営住宅の抜本的拡充、家賃補助の創設、居住支援活動への補助と支援強化など3点の対策を指摘しました。
次に、住まいの貧困ネット世話人の稲葉剛さんと作家で活動家の雨宮処凛さんが「コロナ禍の生活苦と住まいの貧困」と題して対談しました。対談では、5月3日と5日に行われた「大人食堂」に2日間で延べ660人もの人が参加し、これまでの食糧支援の現場に来られる方は、ほとんどが中高年の単身男性でしたが、今では10代、20代の若者、女性、お子さん連れ、外国籍の方など様々な方が支援を求めて集まってきていることについて、稲葉さんは「私は27年間、生活困窮者支援の活動を続けてきたが、バブル崩壊、リーマンショックを含めて過去に見たことない状況である」と発言しました。
雨宮さんは年末の年越し相談村に多くの女性が相談に来る中で、「相談者の3割に住まいがない。42%が収入ゼロ」という深刻な実態を指摘し、「女性が失業してホームレスになる事態は過去にもなかった」と発言。また、ご自身も作家という不安定な仕事で、父親が保証人になれず賃貸住宅を借りるのに苦労した話を紹介し、毎月保証会社に7千円の保証料を支払っており、正社員でないとアパートも借りられないなど居住差別が横行していると訴えました。
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挨拶する日本共産党高橋千鶴子衆院議員 |
集会には、立憲民主党から小川淳也衆院議員、尾辻たか子衆院議員、小宮山泰子衆院議員、川田龍平参院議員、日本共産党から高橋千鶴子衆院議員が参加し、その他国会議員秘書を含め13名が参加しました。高橋議員は「国会では三世代同居する長期優良住宅に補助金を出すことを議論して、なんで家賃補助が出せないのか」と政府の政策を批判しました。
会場から和洋女子大名誉教授の中島明子氏が「新型コロナ災害を教訓に家を失わないための居住政策をどのようにつくるのか」と題して発言し、国の対応について、「社会保障としての居住保障の側面が最も弱い」と指摘しました。各団体からリレートークでは5名の代表が発言し、東借連の細谷紫朗会長が家賃補助創設署名の協力を訴えました。
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