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2020年10月15日 第632号

住居確保給付金の拡充改善を
住まいの貧困ネットが厚労省に緊急要請
給付期間最長9ケ月の延長を
公営住宅の入居収入基準まで引上げ等

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住居確保給付金問題で緊急に行われた厚労省の要請行動(右が厚労省生活困窮者自立支援室のM島章室長補佐)

 新型コロナウイルスの影響で、会社の倒産・休業で仕事を失ったり、賃金が激減する人が急増する中で、住居を失う恐れのある人の家賃を補助する「住居確保給付金」の制度が4月から緩和され、前年度の21倍に当たる8万2千件超に支給決定が激増しました。コロナの影響が長期化する中で年末には給付金を打ち切られる恐れもあり、最長9ヶ月の支給期間の延長や支給額の見直し等を求めて、住まいの貧困に取り組むネットワークは9月25日に厚生労働省に緊急申し入れを行いました。

 要請行動には、ネットワークの世話人の稲葉剛氏、坂庭国晴氏、ネットワークのメンバーの全借連の細谷紫朗事務局長他が参加しました。国会議員の日本共産党の宮本徹衆院議員も同席しました。
 要請内容は、(1)支給期間が最大9ヵ月であるため、収入が回復しないまま支給期限を迎え、家賃が支払えなくなる。支給期間を少なくとも1年間に延長すること。また、公営住宅やセーフティネット住宅への転居を支援する。(2)収入要件が生活保護水準であるため制度対象外になる人が多く、申請すら受け付けてもらえていない。収入要件の現行基準を改め、公営住宅入居収入基準などに引き上げる。(3)支給額の上限額を見直し、支払い家賃額に見合った支給額に引き上げる。(4)この制度の実施主体の窓口になっている「生活困窮者自立相談支援機関」の人員の大幅増と支援を行い、負担軽減と迅速な受付、支給が行われるように改善する。(5)住居確保給付金の予算を大幅に増額し、財源を確保すること。また、給付金利用者の実態を全国的に調査し、制度の拡充・改善を行い、全国的な「家賃補助制度」の実現につながるよう検討すること以上。
 厚生労働省社会・援護局地域福祉課の担当者は、給付金の急増を受けて、第2次補正予算の予備費で219億円を追加していると指摘しましたが、給付期間の延長や制度の見直しについては明確な回答がありませんでした。同制度が失業等によって生活が困窮し、家賃が支払えなくなった人を生活保護に至る前に、就労により自立を促す制度であると強調していました。稲葉氏は「コロナ以前に作られた制度であり、現状に合っていない。コロナは何時終息するか分からない中で、この制度が最後の頼みの綱という方が多く、それが打ち切られると寒い冬の時期に路頭に迷う人が出かねない」と訴えました。

給付金打ち切られたら自殺も考えるように

 住まいの貧困に取りくむネットワークには住居確保給付金問題で以下の様な相談メールが寄せられ、厚労省の緊急申し入れ当日紹介されました。
 「私もコロナで収入が減り、6月〜7月の収入でなんとか食べるだけ生活しており、住居確保給付金を5月から受けて今は延長しました。コロナ前もダブルワークで生計を立てていましたが、1つの仕事がダメになり、この先の仕事の見通しはまだありません。月に6万〜7万円では本当に生活できません。住居確保給付金を9ヵ月でなく、もっと長くしてもらえるように政府に働きかけて下さい。私は一人暮らし50歳の女性です。このままでは自殺を考えるようになっている日々です」。
 このような声は全国各地で起きています。現制度では、もはや限界であり、コロナ禍では対応できません。全借連では、家賃に困窮する人達が住まいを失わないよう、住居確保給付金制度の抜本的な改善、恒久的な「家賃補助制度」の創設等をめざして、国会請願署名運動を開始します。

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