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2020年8月15日 第630号

コロナ禍の住宅問題「今 何が起きているのか」
住まい連代表幹事坂庭国晴氏に聞く
家賃が払えない!住む所がない!
「住居確保給付金」の申請が激増

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シンポジウムで報告する坂庭国晴住まい連代表幹事

コロナ禍での家賃滞納増加

 家賃滞納の状況を家賃債務保証会社の「代位弁済」(立替え払い)から見てみると(全国賃貸住宅新聞・7月20日付)。「ジェイリース」(保証件数55万件)は、3月の7・1%から、5月7・4%、6月7・1%に。単純に保証件数に%を掛けると、平時でも約4万件の滞納があり、5月は1,650件増加となった。6月は「住居確保給付金を申請する入居者が増えた」と同社は話す。
 保証件数54万件の「CaSa(カーサ)」は、3月10・9%から5月11・5%に。同平時の滞納5万9千件、5月は3,240件の増。これらに対し「滞納率は微増、そもそもの入居者属性が良いことなどが関係している」と同新聞は報道している。

住宅問題の相談の特徴とは

 「コロナ災害を乗り越えるいのちとくらしを守る何でも相談会」(住まいの貧困に取り組むネットワークなど参加)による住宅相談は。4月(18日、19日)実施では5,009件もの相談が寄せられた。(1)家賃が払えない―各層の人々から多数の訴え、(2)退去迫られ、住むところがない、(3)住宅ローンの支払いができない、(4)アパート経営者、家主からの相談、など借家人をはじめ住宅の各部面で被害と影響が出ていた。
 同電話相談会は6月(6日)にも行われ、相談件数は1,217件で住宅問題は計92件、家賃滞納に関する相談32件、住宅ローンに関する相談17件であった。4月より相談が減ったことについて、「各種相談窓口の整備により、既に相談につながっていることもある」(実行委員会)としている。「住まいに関する相談」もそれらの反映と言えるが、深刻な住宅問題が継続している現状にある。

「住居確保給付金」と「公営住宅の提供」

 前出の「住居確保給付金」の4月の動向では。全国で9,067件の申請、支給決定は2,861件(申請の32%)。東京都は申請2,261、支給690(同30%)、神奈川県は申請889、支給205(23%)、大阪府は申請970、支給184(20%)、との結果であった。2018年度の支給実績は4千件だったので、申請はこの倍以上となり、支給も1か月で3千件近い。これは5月、6月と続いている。
 また、「コロナ感染拡大による収入減少者向け(住宅喪失者等)の公営住宅の提供」は、全国の入居は288世帯(7月3日時点)、確保戸数約1,400戸、東京都は入居54戸、全国、東京とも極めて少ない。

リーマンショック時の住宅施策、政策転換の必要性

 以上のことは、住宅政策の貧困の表れである。また、前記の家賃滞納の実態は、平時でも滞納が多いこと、コロナ禍でさらに増加し、給付金の申請が激増していること、家賃保証会社は入居者を選別し、非正規労働者など住宅困窮者を排除していることを示している。
 12年前のリーマンショックの時は、(1)公営住宅等の空家(1・2万戸)の活用、(2)UR賃貸住宅の空家(2・3万戸)の活用、(3)民間賃貸入居者への家賃助成などが実施された。
 少なくともこうした施策が必要であると同時に、全国的な家賃補助制度、公的住宅重視への政策転換が必要であることを教えている。

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