政府は5月25日、新型コロナウイルスの感染拡大防止の「緊急事態宣言」を全国で解除しました。コロナ禍と呼ばれる戦後最悪の経済危機は、非正規や多くの労働者の職を奪い、家賃が支払えなくなり、住まいを失う人が続出しています。全借連では4月28日に国交省と厚労省の大臣宛に家賃の支払い猶予と家賃補助の要望書を提出しました。(以下要旨)
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コロナ危機の中で頑張っている商店街(尼ヶ崎市内の中央商店街) |
新型コロナウイルスの感染拡大は、様々な業種に甚大な影響を与え、雇用の喪失や賃金のカット、営業の自粛による休業等によって、賃貸住宅の入居者と飲食店などを営む小規模事業者にとって毎月の家賃の支払いが困難になっています。全国各地の借地借家人組合には、「このままでは家賃が支払えない」、「これ以上休業が続けば、店や事業所の契約を解約するしかない」等々の切迫した相談や悲鳴が上がっています。
(略)そこで、以下の事項について対策を要望いたします。
(1)新型コロナウイルスの感染が終息する当面の間、家賃の滞納を理由とする賃貸人の明け渡し請求を禁止する。
(2)家賃債務保証会社による賃貸人への滞納家賃の立替払い及び賃借人に対する求償権の行使を禁止する。
(3)政府の緊急事態宣言が出された以降、家賃の支払いに困窮する賃借人やテナントに対して本年4月分から6か月間家賃の支払いを猶予する。
(4)家賃の減額や支払いの猶予を行う賃貸人に対し、税制上の優遇措置や住宅ローンの支払いの延長等に対する支援を行う。
(5)家賃の支払いに困窮する賃借人・テナントに対して、コロナウイルスが終息するまでの間、家賃補助や家賃助成措置を実施する。
(6)経済的に困窮し、家賃が支払えない人に対する「住居確保給付金」制度が支給要件が緩和された。生活に困窮した世帯の支援に役立つよう政府や自治体は積極的に広報してほしい。また、原則3か月の支給要件はコロナウイルス感染の長期化に伴い、柔軟に延長すること。
(7)ネットカフェなどに寝泊まりしている不安定就労の人達やホームレスなどに対して、安定した住まいを保障する。公営住宅や公共住宅や民間賃貸住宅の空家やセーフティネット住宅への無償提供など入居を最大限支援する。
(8)シェアハウスは、ドミトリー型は感染予防上禁止し、すべて個室にする。家賃が支払えない居住者には家賃補助を実施する。
(9)UR賃貸住宅(都市再生機構)は新型コロナ感染拡大の影響で家賃の支払いが困難になった居住者への家賃の支払い猶予や減免の処置を取ること。
大都市では民間賃貸住宅の家賃が高額で収入の3割を超える人も多く、経済危機が起きると家賃が支払えなくなる実態がある。平時より、賃借人の居住の安定と高家賃負担を軽減し、良質な賃貸住宅に安定して居住できる住宅政策が必要である。民間賃貸住宅に恒久的な家賃補助の創設を早急に検討すること。以上
2020年4月28日
全借連会長 田中祥晃 |