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2020年4月15日 第626号

底地借家が突然不動産業者に売却
全国で「ブラック地主・家主」問題多発
不当な立ち退き応じる必要ない!
借地借家人の権利は法律で守られている

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隣家をブルドーザーで解体し更地に

 地代・家賃をまじめに払っているのに地主・家主が底地や建物を突然不動産業者に売却し、地主(家主)となった不動産業者は借地人に高額な価格で底地の買取りを迫ったり、僅かな立退料で立ち退きを迫る「ブラック地主・家主問題」が関東や関西地方で多発しています。各地域でどのような問題が発生しているのか、不動産業者の悪質な手口など事例を紹介します。
 また、2015年に法的根拠がなく借主に不当な要求をする「ブラック地主家主」に対応するため、東借連の常任弁護団が結成した「ブラック地主・家主対策弁護団」の西田穣弁護士(東京東部法律事務所)からコメントが寄せられています。

5軒長屋に対し強烈な嫌がらせ破壊攻撃

大 阪

 聖徳太子が建立した四天王寺から古市古墳群へつながる旧庚申(こうしん)街道に面した東住吉区西今川4丁目は、旧い家並で近所付き合いの文化が残る地域です。とりわけ、その一角の5世帯に突如「地上げ屋」が現れたのは2015年10月、バブル狂乱時期に各地で「地上げ事件」を起こしたG社グループ。
 旧家主が棚上げしていた旧い賃料を口実に、夜間訪問し『即刻払え』と怒鳴ること数日。見かねた隣の方が、警察呼ぶも「滞納」のお願いだと弁明。旧家主の抗議で解決している。次は隣の借家人が旧家主の好意で2軒賃借していたが、契約解除の訴訟に。2年後に和解。2019年(R1)6月名義をグループの本家・G社に移転登記。同年10月以降、G社の開発に障害となる2軒に対し、強烈な「嫌がらせ」や建物の破壊攻撃が繰り返されています。
 2020年1月20日借家人宅の玄関サッシに2本の鋲が打ち込まれ開けられなくなった。また留守時を狙ってこっそり屋根に登り、瓦を剥がすこと三度に亘っている。
 一番酷いのは、今年1月逝去された借家人の建物解体最終日、ショベルカー等で屋根を五分間位でずらしている。《すべて実行者は不詳》借家人は、東住吉区借地借家人組合に当初から入会し、借家人の権利学習や月2回以上の会議を開き、日常の困りごとも協力しあってきました。班名は「じゃりんこ長屋」と名付け、頑張っています。

明け渡しを拒否した借家人に家賃2倍増

京 都

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空き家を解体しブルーシートで覆われたままに

 2年前、京都北山の元町学区に50年以上住んでいるIさんの所に、これまでの家主さんから借家を買い取った不動産業者のT建物の社員が訪れ、「借家を立ち退いてほしい」と求めてきました。
 同じ借家の隣3軒に聞いてみると、同じくT建物から立ち退きを求められていました。Iさんは京都北借組に連絡しアドバイスを受け、T建物に対しキッパリと明渡しを拒否し、「住み続ける」旨を回答しました。
 どうしても立ち退かせたい業者は、3軒隣の空いた借家をリフォームしてバリアフリー化することを約束しました。しかしながら、借家移転の合意書を交わす直前になり、一方的に合意を取りやめ転売してしまいました。新たに家主になった業者は、Iさんに対し月額2万5千円の家賃を2倍に増額して「5万円」に値上げする請求書を送り付けてきました。Iさんは値上げをキッパリと拒否し、これまで通りの家賃を支払うと主張したところ、受取りを拒否され法務局に供託しました。
 その後、業者は賃料増額の調停を京都簡易裁判所に申し立て、Iさんは顧問のD法律事務所の弁護士に依頼をして、京都北借組とともに闘い続けています。

ソフトな態度で接し上手に売買を勧誘

東 京

 東京の底地買い業者の特徴として、最近は以前のような強硬な手段で借地権を売るか、底地を買うか迫らず、まずはお茶飲み話から始まり、信用させソフトな接し方をするようになったと言えます。ただ、内の会社では所有できるのは2年でこの期間内に底地を買い取らなければ他に売却とほのめかす業者もいます。
 しかし、関西系の底地買い業者については旧態依然、毎月地代の集金に来て嫌がらせをして追い出し行為をしてきます。
 ブラック地主家主対策弁護団に依頼した事例はほぼ解決には至っていますが、ソフトな態度で接してくれると、うまく話を勧められてしまうことが多くなったように感じます。また底地買い業者の契約社員を組合員にし、相談して事例やノウハウを活用するということも起きています。底地買い業者が新地主になったらすぐに組合に相談していただき、安易に口頭でのやり取りは避けることが最初のステップではないかと考えています。

長屋の空き家を解体補修もせずに放置

尼 崎

 大阪まで2駅の便利なJR尼崎駅より徒歩3分の所に土地約260平米の上に3棟長屋に9世帯の借家を旧家主より買い取った「地上げ屋」から突然立ち退いてほしいと威圧的に立退きを要求されました。借家人は拒否したところ、地上げ屋は、玄関前の植木鉢や洗濯の物干し場を撤去せよと暴力的に迫り、怖くなり、助けを求めて組合に相談し、7名の全世帯が組合に入会しました。
 地上げ屋は手を変え、家賃値上げの調停を行い、倍額要求の調停は不調になり、本裁判になりました。判決はわずかな賃料値上げと借家人が倉庫として借りている2戸分は明け渡すことになりました。空き家部分の2戸は強引に解体を強行。建物の耐震低下の指摘も無視し、長屋を切り取った壁面の補修や養生もせず、業者はブルーシートを覆ったままにしています。昨年7月には、地上げ屋から立退き裁判が提訴され残った組合員5人は弁護士を立て裁判闘争を闘い続けています。

 

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