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日本住宅会議第30回サマーセミナー
被災地岩手県の宮古市で開催
長期化する仮設住宅暮らし
被災者の生活再建と孤立防止の支援を


日本住宅会議第30回サマーセミナー
日本住宅会議第30回サマーセミナー

 日本住宅会議の「第30回サマーセミナー2014」は、被災地の岩手県宮古ホテル沢田で8月30日から9月1日まで開催され、72名が参加しました。塩崎賢明理事長が開会挨拶を行い、宮古市長代理より歓迎の挨拶がされました。
 記念講演として岩手大学の広田純一農学部教授が「震災後3年半を経過した津波被災地の復興の現状とこれから」、岩手大学の井上博夫経済学部教授より「東日本大震災政策〜見えてきた課題」以上について講演が行われました。
 広田教授は、震災後3年5カ月が経過し、津波被災地は本格的な復興段階の最中にあり、住宅再建に向けたハード事業(集団移転・土地区画整理・災害公営住宅)は工事費の高騰や人手不足、用地取得の停滞などの問題をかかえ、当初よりは遅れているが進捗しつつあると指摘しました。一方、被災者の生活再建や雇用の確保、産業の再建などソフトの面では取組みが低調であり、今後の復興に向けて人口維持対策やコミュニティの確保等様々な支援や街づくり等の提言が紹介されました。井上教授からは、仮設住宅がプレハブ協会に事前協定が締結されていた問題や全国一律で積雪寒冷などの特性等が考慮されていなかった問題、生活再建支援法の限界等が指摘されました。
 サマーセミナー第2日目は、午前中は「被災者のくらしと支援」についてシンポジウムが行われ、釜石市・大槌町・宮古市の被災者の暮らしの現状や課題、支援策などについて行政や学者・ボランティアの立場から報告がありました。

震災遺構で保存されるたろう観光ホテル
震災遺構で保存されるたろう観光ホテル

 3人の報告から、仮設住宅の長期化で被災者はストレスをかかえ、病気や孤立や生活の困難さが広がり、仮設住宅に取り残される人も出てきている。ハードな復興が進んだからといって心の復興は同時に進むわけではなく、被災者が生きる意欲をもって自立して生活するための支援が必要であること等が議論されました。
 午後からは「住宅復興の現状と課題について」、宮古市の復興推進課長など3人から復興まちづくりの課題や防潮堤問題など多面的な報告と討論がされました。宮古市では復興計画の作成に当って住民合意を重視し、住宅再建支援では市独自に最大600万円の支援を行っていること等が報告され、3日目の宮古市の復興事業の見学には市の職員が同行案内しました。

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