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辰巳孝太郎参院議員に請願署名を手渡す全借連役員 |
全借連は5月27日に参議院の会議室において、国土交通省と「家賃補助の創設・民間賃貸住宅への支援強化」の要請、3月の全借連総会で決議した「民間賃貸住宅憲章案」について意見交換を行いました。全借連からは田中会長他三役と常任理事、東借連の役員含め13名が出席しました。
国土交通省からは住宅局住宅政策課の武藤住宅投資推進官、不動産業課の矢吹不動産業政策調整官他が出席しました。
はじめに、国土交通省から事前に提出した14の要請項目について回答がありました。
「家賃補助制度の創設」
(回答)『民間賃貸住宅は住宅ストックの4割近くを占め、住宅政策の上で重要である。地方公共団体への支援を通じて取り組むことが基本である。住宅困窮者に対しては公営住宅など住宅ストックの活用が重要。家賃補助の実施については、財政負担が際限なく上昇する、市場家賃の上昇をまねく、大規模な事務処理体制が必要などの課題があり、現段階では実施は困難である』。
「良質な賃貸住宅への居住支援の強化」
(回答)『民間賃貸住宅の家賃は様々な住宅があり、東京都内でも1DK40平米〜50平米ぐらいでも約4万円以下の住宅はある。地方では数万円の低廉な戸建て住宅もある。空き家も多くストックの活用が重要であり、民間賃貸住宅を活用した住宅セーフティネット整備推進事業で改修工事費用の補助・支援を行っている』。
全借連の代表は、空家を活用した改修工事の補助事業は必要だが家賃が高額となり、実際には所得の高い高齢者しか入居できない。低所得の若者は「家賃が高くて支払えない。初期費用が支払えない。保証人が立てられない」など困難な事情で民間賃貸住宅に入居できず、劣悪な脱法ハウスしか入れない。建物の補助と同時に家賃補助を併用しないと低所得者への居住支援にならないのではないかと追及しました。
国交省側は、脱法ハウスは家賃が高く、もっと安い家賃の住宅もあるのではと回答。これには全借連の代表から「月額4万円以下の住宅があるとは何を根拠に説明しているのか。家賃が低額で老朽化した借家は現在耐震性がないとの理由で次々に壊され、明渡し問題が発生している。公営住宅は高倍率で入居できず、移転ができる賃貸住宅がないのが現実である」と主張しました。
国交省は民間賃貸住宅の家賃について統計調査のデーターと説明していましたが、実態の調査はしているわけではなく、いい加減な答弁に終始していました。
家賃補助制度について国交省は、財政負担が膨大になることを最大限の理由に上げるだけで、「欧米諸国で財政負担がかかっても家賃補助制度があるのになぜ日本にはないのか」等の質問にはまともに答えられませんでした。また、民間賃貸住宅憲章案については、まっとうな回答はなく、定期借家制度の廃止については「賃貸住宅の供給が促進され効果がある。居住ニーズがあり、廃止する考えはない」と貸主側のニーズのみが強調されました。
この後、同じ会議室で国会請願行動が行われ、日本共産党の辰巳孝太郎参院議員と穀田恵二衆院議員の秘書も参加し、全借連で集約した家賃補助創設の国会請願署名約7200筆分が提出されました。 |