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“借家法制と市場原理”
19世紀パリの住宅問題を解析 法改悪反対全国連が学習交流集会

基調講演する吉田克己早稲田大学大学院教授
基調講演する吉田克己早稲田大学大学院教授

 借地借家法の改悪と定期借家制度の普及拡大を許さない第3回全国学習交流集会は11月23日午後1時30分からUR竹ノ塚第1団地集会場において開催され73名が参加しました。

 佐藤富美男全借連副会長の司会で開会され、主催者を代表して田中祥晃会長が挨拶しました。基調講演は早稲田大学大学院法務研究科の吉田克己教授より「借家法制と市場原理〜定期借家権をめぐって」と題して講演が行われました。

 講演では、(1)市場原理が貫徹していた社会で人々が良好な住宅を確保することができていたのか。19世紀のフランスの状況を見る。(2)定期借家権推進の主張はどのようなものか。(3)近時の定期借家権推進論はどのような意味を持っているのか。(4)まとめ、住宅は市場で供給される商品だが、通常の商品とは異なる性質を持っている。その特殊性をまとめてみる。以上の内容でした。

 吉田教授は、市場原理が貫徹した下での19世紀のパリにおける住宅問題について分析し「契約自由のままでは貸主は何時でも解約申し入れが可能で、都市改造を契機に家賃の高騰に歯止めがきかなくなった。20世紀なってフランスでも公的介入による低廉住宅供給などの対処がされるようになった。日本の社会法制の特徴は公的介入による社会住宅供給(公団住宅、公営住宅など)が極めて弱く、反面借家法制の存続保護の点で、手厚い借家権保護を設け、安上がりの住宅政策が行われてきた。最近の借家権保護の緩和として定期借家権の活用が進められる一方で、他方で公的借家供給は強化されるどころか縮小の方向がとられ、この二つが同時進行ですすめられていることが特徴になっている」と強調しました。

 吉田教授は、さらに定期借家推進論の批判的な分析を行い、「最近の正当化の論理として建替え促進、不動産証券化の観点のみが強調され、制度創設時に強調された良質な賃貸住宅供給の拡大という観点は姿を消している」と批判しました。最後に、住宅は市場原理に依拠して人間の住宅需要は充足されないと指摘しました。

 基調講演の質疑の後、全借連・公住協・公社自治協・公団自治協の各団体の代表が報告。全借連会計の中村敬一氏は、借地借家法をめぐる状況、相談事例、家賃補助制度創設、民間賃貸住宅憲章の創設等についてこの間の全借連の運動について報告しました。最後に公団自治協の林守一代表幹事が閉会の挨拶を行い、集会は終了しました。

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