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南相馬市からの報告 原町借組 小武海三郎(全文を掲載しました)

 「憲法をいかし、安心して住み続けられる地域、日本を」テーマの9月29日、30日、第11回地方自治研究全国集会in埼玉(地方自治研究全国集会実行委員会主催)へ全借連から参加しました。
 2日目の第4分科会(東日本大震災からみえる住まいとまちづくり)で発言した内容を報告します。
 テーマは、南相馬市からの報告です。

□     ■

 私は、福島県南相馬市に居住し、全国借地借家人組合連合会加盟の原町借地借家人組合員として活動しております。
 南相馬市原町区、つまり旧緊急時避難準備区域の現状について報告します。
 私の居住地付近の空間放射線量は年間換算で地上1cm、7.09ミリSv、1mでは4.29ミリSvです。年間制限線量1ミリSvの7倍超となっています。そのため9月6日現在、市外への避難は1万9千34人。そのうち福島県外は1万1千689人です。昨年3月11日の人口7万1千561人が、4万5千185人となっています。
 南相馬市復興計画の柱に環境未来都市計画があります。
大規模太陽光発電10万kW規模でスマートコミュニティ構想です。すでに東芝と6月30日協定の締結をしています。
 さらに、津波被害地における総合産業経営体の設立事業としてEDEN計画を立て、植物工場と陸上型カキ養殖工場の建設を目指してします。
 これらの計画の中にまちづくり株式会社の設立、復興まちづくり推進協議会設立が組み込まれています。
 私が懸念するところは、第1次産業の将来見通しが無いこと。そして、まちづくり最大の課題に浮上してきたのが、小高区、浪江町、双葉町に現在だれも居住できず、商業圏人口が激減し、復興見通しがたたない状態になっていることです。
 南相馬市原町区に必要な施策とは何かと問われれば、それは弱者対策だと思います。
 この一年半の顕著な出来事を見ると、中心市街地で元「はきもの屋」親子の孤立死、そこから100メートル範囲で半年も経たないうちに美容院経営者が孤立死をしています。
 南相馬市は、生活保護者が義援金を受け取ったことで保護打ち切りをした自治体です。打ち切られた受給者が、訴えた裁判の判決で取り消すということを行っています。
 セーフティネットを確立し、市民に寄り添う行政が、いま必要になっているのです。
 つぎにコミュニティの実態報告です。 私の体験ですが、昨年は4月恒例の隣組による花見が出来ませんでした。9月にようやく落ち着いたところで開かれましたが、子どもとお母さんは避難したままでした。その時に言われたのが原発事故直後、なぜ避難するよういわなかったのかということです。
 当時、避難の手段、行き先やいつ離れるかなど個人判断で動けるような状態ではなかったのです。北は宮城県で震災と津波被害が大きく避難先とは思えませんでした。東は海、南は原発です。唯一西だけが頼りです。中通への道路は一本道で、すぐに渋滞、数珠繋ぎです。避難先が決まっていない中で避難をさせるのは無責任です。
 後で聞いた話ですが、西の飯舘では高線量で、ガソリンは無いし、食事も思うようにとれないため、結局は原町へ戻った人が少なからずいたということです。
 今、課題となっていることは、除染が進まないことです。
 行政区ごとに仮置き場が必要です。場所を決めることができないのです。コミュニティがこんなにまとまりの悪い状態になっているとは思いもしないことになっています。
 将来に対する不安がストレスになっているのです。高齢化率28.2%、限界集落が確実に近づいているのです。
 つまり、子どもや孫と暮らせないことから起きているのです。
 つぎに私たち原町借地借家人組合の震災と原発事故に対する市民要望にどう対応してきたのか、活動の一端を報告したいと思います。
 昨年8月25日付けの市長への要望書で、罹災都市借地借家臨時処理法の政令指定の場合、沿岸部住宅建築禁止条例が上位法として借地権優先条項を認めるのかとの質問に、「罹災法は上位法です」と答えています。さらに、住環境を整備して、のちに子どもの帰還を促すべきだったのではないかとの質問に、市長は9月30日付けで「国は区域を解除しましたが、市は現段階では安全であるとの判断はしていません。帰還するかどうかは市民それぞれにご判断いただかざるを得ないと考えます」と回答し、避難する権利を認めております。
 今年の7月21日には、原発事故・借地借家問題を学ぶ会を元日本弁護士連合会副会長の新里宏二先生を講師に開催しました。
 原発事故被害者援護特別立法と避難指示区域の見直しに伴う賠償の検討状況について講演、総勢25名参加で有意義な催しとして評価されています。
 市は土地所有者だけに平成23年度の固定資産税を免税、24、25、26年度分は2分の一に減免。政府からは原発事故前価格よりも実勢価格が3割程度下がったとして、土地所有者に対し損害賠償すると報道されています。しかも借地人から地代を通常通り受け取っている状況から財物賠償するなら借地権割合を認めるよう要望したいと思います。
 最後に、市役所のアンケート結果を報告し結びにしたいと思います。
 現在の市民意識について、平成24年8月17日現在の市民意向調査が発表されています。日常生活での不安や心配についての設問に「放射線による人体への影響に不安がある」が最も多く、続いて日常生活での改善に向けて必要な施策に対する答えでは、「放射線の詳細な情報や知識の周知」が最も多くなっています。
施策の優先度については、「インフラ整備などの緊急的対応」が最も多く、次に「原子力災害の克服を望む」声が多くなっています。
 このような結果から、市民の望んでいることは、原発事故の本当の収束が待たれており、健康障害への影響は大丈夫なのかと言っていると思います。
 東京電力福島原発事故による被曝者への支援が重要となっていることを強調して報告にしたいと思います。

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