2011年住宅研究・交流集会「大震災の住宅復興・居住支援と首都圏の備え」が、10月29日午前10時半から新宿区大久保地域センターで100名の参加で開催されました。
午前中の全体会では、仙台市在住フランス人女性の証言がインターネットテレビで再上映されました。次に、塩崎賢明神戸大学教授(日本住宅会議理事長)より基調講演「大震災の住宅復興・まちづくりの提言にふれて」と題して、提言案の内容、その背景について講演がされました。
塩崎氏は、震災復興の理念にふれ「創造的復興」や「日本経済の再生なくして被災地の真の復興はない」との政府の主張は、被災者の生活再建や被災地の再興は横に置いて別のことをやろうとしていると批判しました。阪神・淡路大震災では復興の過程で多くの孤独死を招いた経験を指摘し、あらたな復興災害を起こしてはならないと強調しました。また、被災者が憲法13条や25条に基づいて住まいを含めて住民の権利の実現を図ることの重要性が指摘されました。
続いて鈴木浩福島大学名誉教授より「福島原発問題と住宅まちづくりの課題」と題して特別講演がされ、「7ヵ月半が過ぎ6万人近い福島県民が県外に避難し、この人々は流民化し、政策の不在によって棄民化されようとしている」と指摘し、「原発災害の経験を通じて日本全体で原発を阻止していくことの認識を高めていく必要がある」と強調しました。
午後から3つの分科会に分かれ、第1分散会では全借連の佐藤富美男副会長が「借地借家相談から見えてくる大震災の住宅問題」について報告しました。3月11日以降震災にからんだ明け渡し問題が多発している実態を報告し、今回の東日本大震災に適用されなかった罹災法については実効性のある制度に直していくことや、民間賃貸住宅の借上げ公営住宅の増設等が必要である事などについて発言しました。
分科会終了後、3人の助言者より各分科会の報告がされました。最後に住まい連の坂庭代表幹事より「今回の提言に基づいた要求書を11月に政府に提出し回答を受けて、それぞれの課題の実現に向けて3団体が協力して運動していきたい」と挨拶し、集会は閉会しました。
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