法務省と国土交通省は、罹災都市借地借家臨時処理法(罹災法)について、今回の東日本大震災の災害地区を政令適用しないことを9月30日に発表しました。
国土交通省が、建物全壊被害があった被災市町村に罹災法の適用の意向を確認したところ、いずれの市町村も「法の適用を希望しない」、「法を適用しないこととして差し支えない」との回答が得られたとのことで、法を共管する両省は協議の上、東日本大震災には「法が適用される災害及び地区として政令による指定をしないことになりました。
平岡法務大臣の閣議後の会見では、同法の見送りに関して「同法の規定が借主に与える権利が強すぎるなどの指摘もあることから、法改正に向けた検討を指示した。
法改正が必要と判断した場合は、2年後をめどに法案を提出する」と発表しました。
罹災法は阪神淡路大震災や中越地震にも適用されましたが、同法が戦後復興を目的に1946年に制定され、借りていた建物がなくなった場合に借主がその土地を優先的に借りられる「優先借地権」などを定めているため、日本弁護士会は東日本震災の前から法の見直しを要望していました。
罹災法は、震災で建物が滅失した借地人には契約の残存期間の延長など、借地人を保護する規定もあります。
今後法律の見直しに当っては、罹災法が罹災した借地借家人の権利を保護するために効果のある法律になるように、全借連としても政府に対して意見を出していきたいと思います。
|