日本住宅会議・住まいの貧困に取り組むネットワーク・国民の住まいを守る全国連絡会の3団体は、東日本大震災の被災者の救済と当面する住宅・居住支援について3月25日に政府に対し、緊急要請書を提出しました。国土交通省より4月25日・26日に以下の要旨の回答がありましたので2回に分けて掲載します。
1、仮設住宅の建設と居住施策について
(1)応急仮設住宅の建設とコミュニティの継続について
災害救助法による応急仮設住宅の建設地は、できる限り従前居住地に近い安全な場所とするとともに、集落ごとのなど従前の人間関係とコミュニティが保持され、復興が継続的に行われるよう十分配慮した建設と供給を行うこと。
(2)甚大かつ広範な被災に対応した仮住居の提供について
避難所に代わる避難住宅(仮設住宅入居以前)の用意も必要である。そうした場合でも居住の安定を図り、必ず集落・コミュニティ単位でまとまった居住などの配慮を徹底すべきである。
(3)「ケア付き仮設住宅」の建設・供給の重視と居住条件
仮設住宅の建設にあたっては、多くの高齢者、障害者、病弱者に対する「ケア付き仮設住宅」の供給を何よりも重視して行うこと。
(4)自力仮設住宅建設への支援
(回答)(1)及び(2)は、当然の要望でそのように対応したいが、従前居住地に近い場所に建設することは難しい状況もある。こうした要望を意識して建設地を当たっている。「集落、コミュニティ単位」についてもそのように考えるが、ある程度供給数がまとまった建設地、地区で具体化することになる。まずは、要望にある高齢者や障害者、病弱者の入居を優先している。コミュニティ単位の入居などについては、入居者の調整を行うよう地方自治体に要請している。こうした業務は地方公共団体の健康・福祉部局が行うので、情報提供などを含め対応することになる。(3)については、過去にも行われた事例もあり、厚生労働省が補助対象にしていくことを既に決定しているので、今後進んでいくのではないか。
(4)は、応急仮設住宅を適用するのか、生活再建支援法を適用するのかの整理が必要ではないか。阪神大震災の事例などを考え、どう対応するのか(建築制限もあり)検討する必要があると考えられる。
2、民間賃貸住宅等の活用と継続居住について
民間賃貸住宅の空家の活用は重要な取組みであり、入居可能な空家を被災者に直ちに提供すること。その際、応急仮設住宅として借り上げることと共に、継続居住のできる住宅として、応急仮設住宅建設の予算も投入し、必要なリフォームや耐震改修などを行い、民間賃貸住宅の継続居住を可能とする家賃補助制度の導入を検討し、実施すること。なお、持家住宅の空家の活用についての検討を行い、応急仮設住宅として使用可能なところから進めること。
(回答)要望にあるように、民間賃貸住宅の空家の提供について、厚生労働省とともに行っている。応急仮設住宅として借り上げ可能な住宅の情報提供を受け、取り組んでいる。被災3県では約2万5千戸の空家を把握している。全国では45万戸という規模になる。要望にある「持家の空家」も借り上げの対象に入っている。なお、「家賃補助」の問題は応急仮設住宅として借り上げる場合は事実上、家賃補助をしていることになる。その後のことは別の問題であると考える。
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