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借地借家法改悪反対・定期借家制度廃止の運動と日本の住宅政策転換を
第2回借地借家法改悪反対全国学習交流集会

 十一月十三日午後、借地借家法改悪反対全国連絡会が主催する、「借地借家法の改悪と定期借家契約の導入拡大を許さない! 第二回全国学習交流集会」が東京都江東区内で開かれ、四団体から八十名が参加して活動交流しました。

 当日、佐藤岩夫東京大学社会科学研究所教授が「住宅政策と借家法の基本的あり方を考える――借地借家法見直し、及び定期借家制度創設その後――」と題して基調講演を行ないました。

正当事由のある借家が原則

 佐藤教授は、講演の冒頭「別項」のとおり、基調報告の骨子を述べました。

 そして、第一に借家法の基本的枠組みと最近の政策動向に触れ、現行の法体系上は、あくまで正当事由のある借家(普通借家)が原則であり、一方で正当事由の機能領域を縮小ないし撤廃して「定期借家」をより一般化すべきであるという議論があると警鐘しました。

 佐藤教授は、最近の政策動向について定期借家推進論が頻繁に登場し、民間賃貸住宅市場はもとより、公営住宅供給の「適正化」を口実にして公営住宅の期限付入居制度の導入を全国各地へ広げようとしていることを指摘し、定期借家推進論側からの制度「見直し」の動きが強まっていることを具体的な事例を示して報告しました。

日本の借家政策は不存在

 さらに、佐藤教授は、定期借家推進論者への論拠を鋭い論理で批判しました。

 また、戦後の日本の住宅政策では、民間借家に対する積極的な建設助成策や家賃補助制度がなく、西欧諸国に比べて借家政策が不存在であったと指摘しました。

 最後に、佐藤教授は、住宅政策と借家法の今後をどう考えるべきかに関連して、戦後の伝統的な住宅政策や市場重視の住宅政策でもなく、借家に対する積極的な建設助成や普遍主義的な住宅手当なくして「良質な賃貸住宅等の供給の促進」は実現しないと提起し、借家規制は人々の生活を保障する福祉システムないし生活保障システムの基本的あり方の選択であることを指摘しました。

 基調講演のあと、十二名の参加者からワークショップ方式による質問が出され、佐藤教授から詳しく説明がされました。

借家人ブラックリスト反対

 その後、四団体の代表から借地借家法見直し問題の活動の現状などが報告されました。

 全借連を代表して細谷紫朗事務局次長が追い出し屋規制法案をめぐり報告し、規制緩和を求める業界側の動きが強まっており、同法案が可決されると業界側は借家人のブラックリストをつくり、新たな入居差別が生まれてくることを指摘しました。

次期国会へ請願署名を

 集会は、「全国連絡会」を代表して船越康亘全借連副会長がまとめの報告を行い、その中で「借地借家法見直し改悪反対の運動は、居住者の住み続けられる権利を確保するのみならず、住宅政策を国民本位の政策へ転換させていく展望を切り開く闘いであることをこの集会で確認できた」と述べ「唯一の住宅セフティーネットである公営住宅へ定期借家契約の導入を全国的に反対運動を強めていく」ことを提案しました。

 さらに、民主党政権下で、借地借家法改悪推進派は、改悪へ着実に強められていることを具体的資料を示して情勢を報告し、来年開かれる通常国会へ請願運動を強めていくことが確認されました。

 また、この集会で十名の参加者から、決意を込めた感想文が寄せられました。

佐藤東大教授の講演骨子

○借家法は、人々が住居を基盤として営んでいる生活や社会的交流(コミュニティ)の継続・発展を保障する制度である。
○良質の借家を増やすために必要なのは、定期借家ではなく、借家建設に対する公的な資金援助や住宅手当(家賃補助)などの積極的な住宅政策(借家政策)であり、そのような積極的な住宅政策と借家規制が住宅保障の両輪をなす。
○定期借家をめぐる問題で問われているのは、人々の生活を保障する福祉システムないし生活保障システムの基本的あり方の選択である。
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