大阪府は、「大阪府財政構造改革《素案》」(以下《素案》)を8月5日発表し、府営住宅の管理戸数(約十三万八千戸)を半減し、住宅市場を活用するためバウチャー制度の創設を提案し、府民へ九月三日までにパブリックコメントを求めました。
発表された《素案》によると、住宅セーフティネットは、府営住宅に依拠することのみならず、民間住宅市場を有効活用するとして、住宅バウチャー制度(市場家賃と府営住宅家賃の差額補助)を創設するとしています。
府営住宅ストックの半減の具体的方向は、既存の府営住宅で応募が皆無である住宅を管理戸数から削除すること、耐震不足の住宅を除却すること、良質なストックを市町村へ移管することをあげています。
また、高度経済成長時代に供給された府営住宅ストック七万三千戸が平成五十四年度までに建替時期を迎え、その財源の確保が困難であることから、PFIによる民間事業者による建替を行い、住宅バウチャー制度の財源を確保するとしています。
《素案》で提案された府営住宅の半減案は、第一に府民の強い府営住宅への要求に相反する。第二に府営住宅居住者の居住の安定を保障しない。第三に、市町村への移管は、当該市町村の財政難と管理能力不足から事実上不可能である。第四に、これまで大阪府が蓄積して住宅行政が後退する。第五に、民間市場の活用によって住宅対策が市場原理に左右され、府民に対する住宅セーフティーネットとしての公的責任を放棄する。など負の要因に拍車を掛けることが懸念されます。
一方、府営住宅を市場化することによって民間デベロッパーなど不動産業界の新たな利潤追求の基盤づくりとなります。
大借連では、八月二十六日、《素案》に対する見解を発表し、大阪府へ意見書にまとめパブリックコメントとして提出しました。
そして、八月三十日には大阪の住宅要求関係団体へ呼び掛け懇談会を開き、「府営住宅削減に反対する連絡会」を結成し、「府営住宅管理戸数削減をやめ、府民の住宅貧困を解決するために府営住宅を増やすこと」を府議会へ請願するための団体請願署名運動に取り組むことを確認しました。
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