現代の居住貧困と住宅政策の再構築をテーマに討論
家賃補助制度の導入等当面の対策が
八月七日・八日の両日、日本住宅会議第二十六回サマーセミナーが、大阪市内で全国から住宅問題に関心をもつ研究者、学生、自治体職員、市民など八十九名が参加して開かれました。
今回は、「現代の居住貧困と住宅政策の再構築」をメインテーマに、第一日目は、塩崎賢明日本住宅会議理事長が「居住貧困と住宅政策の責務」をテーマに基調報告が行われました。
塩崎理事長は、基調報告の中で、(1)野宿(ホームレスが一万三千百二十四人)(2)屋根はあるが家がない者(ネットカフェなど約五千人)(3)不安定居住者(生活保護世帯百三十万世帯)(4)人間らしい住まいの欠如(最低居住水準未満世帯三百三十一万世帯)と全国で居住貧困の階層が広がっている実態を指摘し、その原因として、(1)戦後住宅政策の基本的欠如(2)規制緩和・市場原理主義の横行(3)労働・雇用法制の改悪が重なりあい具体的な事例を指摘しながら報告しました。
そして、当面の対策として、住宅政策の転換には、(1)総合的な住宅政策の実施体制(2)家賃補助制度の導入(3)セーフティネットとしての公的賃貸住宅の拡充などを提起しました。
その後、「今日の居住貧困とその対策」をテーマにしたパネルディスカッションを行いました。
第二日目は、「家賃補助と社会住宅の展望」をテーマにしてシンポジウムが開かれました。
第一報告としてイギリス・オランダの住宅政策(堀田祐三子和歌山大学准教授・角橋徹也都市計画家)、第二報告として家賃補助政策の提言(斎藤輝二住宅福祉研究所主宰)日本型社会住宅の展望(増永理彦神戸松陰女子学院大学教授)が、それぞれの課題で報告し、参加者から活発な討論が行われました。
当日午後からは、現地見学会(オプション)「釜ヶ崎まち歩き」を行い、現地でサポーティブハウス「陽だまり」を経営する宮地泰子さんと地域の西成市民舘館長の河崎洋光さんから路上生活者の社会復帰への献身的な地域活動を具体的実例を交えて感動的な報告を受け、その後、路上生活者の大阪市の施設セェルターなど釜ヶ崎地域を視察しました。
このサマーセミナーには、全借連関係者一四名が参加しました。
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