全国借地借家人組合連合会 国民の住む権利を守る強い組織
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〈特別基調講演〉
ハウジングプアの拡大と住まいのセーフティネット

稲葉剛さん NPO法人自立生活サポートセンターもやい代表理事

 私は、バブル崩壊後の90年代に、日雇い労働者が仕事を失い、ホームレスになっていく中で路上生活者の支援を行なってきました。
 この2、3年若年層が派遣切りで仕事と住居を失い、住まいの貧困が拡大する中で、住まいの権利としての運動をつくれないかと考える中で、借地借家人組合や労働組合の皆さんにも呼びかけて住まいの貧困に取り組むネットワークを始めることになりました。
 派遣労働が拡大し、仕事が細切れになる中で家賃も払えなくなり、仕事も住居も不安定になっていきました。もやいの生活相談には、10代から70代、80代の方が住まいを失って相談に来ています。月に約150人が来所しています。
 政府が開始した失業者向けの住宅手当も使い勝手の悪さで4%程度しか使われていません。家主が失業者には家を貸したがらないのが原因で、このミスマッチを解消するには、行政が公的保証制度を作らないからです。家賃が払えなくなったり、高齢者が家で亡くなっても、行政が保証してあげれば問題は解決するのではないでしょうか。
 住宅政策の貧困の下で、居住系の貧困ビジネスが非常に広がっています。追い出し屋とよばれる保証会社や管理会社、サブリース会社と労働者を派遣する派遣会社も共通していることは人間と向き合わずに利潤を追求するシステムであることです。90年代からリスクマネジメントという考え方が流行ってきました。リスクをなくすため外部に仕事を委託するシステムです。大家さんにとって一番のリスクは家賃の滞納であり、家賃を払わないまま退去しない借家人で、追い出しという汚れ仕事をやるのが保証会社でありサブリース会社です。民間賃貸住宅市場全体がプロフェショナル化・ビジネス化すると、家賃が1ヶ月でも滞納しただけで問答無用で追い出してしまう。これは派遣会社が派遣切りで労働者を切るのと全く同じ構図です。民間賃貸住宅市場は貧困ビジネスの野放し状態になっています。公的な保証制度を創設させ、それを突破口にして市場に介入させることが重要です。反貧困をキーワードに多くの団体が連携し、全国から声を上げて国に居住権をしっかりと認めさせるために頑張っていきましょう。

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