(問)私は、平成十一年四月に住宅を借りて住んでいますが、当初から二年毎に契約書を書換えて更新してきました。今年三月に家主の代理人と称する不動産業者から、今回から契約は定期借家契約にするので、契約書の他に書面を持ってきて署名捺印を求めてきました。定期借家契約の意味がわかりませんので、どのように対応したらよいのか悩んでいます。
(大阪市 吉田保)
(答)平成十一年十二月十五日に交付された「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」によって借地借家法が「改正」され、平成十二年三月から定期借家制度が施行されました。この制度は、契約で定めた契約期間が終了すると、「正当事由」がなくとも、借家契約が終了されることになります。従って、家主と借家人の双方で合意がなければ再契約はできなくなります。
定期借家契約は、事業用借家居住用借家を問わず、当事者の合意によって結ぶことができます。
しかし、平成十二年三月一日以前に結ばれている居住用借家契約は、当事者間の合意があったとしても定期借家制度は適用しません。
定期借家契約を締結する場合、賃貸借契約のほかに「定期借家制度が適用され更新の無い契約であることを説明した公正証書などの書面による説明」をして当事者間で合意しなければなりません。
さらに、家主は、契約解約する場合は期間満了前の一年前から六ヶ月前の間に「賃貸借期間の終了」を借家人へ通知する義務があります。
ご相談の方の事例は、居住用借家であり平成十二年三月以前の賃貸借契約ですので、たとえ合意したとしても定期借家契約にはなりません。
(回答者船越康亘)
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