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役立つ裁判事例

店舗の無断改装工事が背信的で重大な義務違反に当たらないとされた事例

 店舗賃貸借契約の特約条項に違反して無断で改装工事をしたことが、背信的かつ重大な義務違反にはあたらず、解除が無効とされた事例(東京地裁平成5・9・27判決)
(事案)
 YはXから地下ショッピングセンター街の一部を賃借し{1}{2}{3}の三店舗を経営していたが、右賃貸借契約の特約条項(ショッピングセンター街の多数の賃借人を集団的に規律するための手続条項)に違反して無断で改装工事をしたため、Xは特約条項違反を理由に賃貸借契約を解除し店舗の明渡しを求めた。
 裁判所は、無断改装工事が特約条項に違反することは認めたが、右義務違反の内容・程度は背信的かつ重大なものとは言えないとしてXの請求を棄却した。
(判決)
 本判決は、まず、(1)賃借人が特約条項に違反したとして契約の解除を認めるためには、当該業務違反が背信的かつ重大なもので、地下街のショッピングセンターの店舗という特殊性を正当に考慮したうえで賃貸人と賃借人との信頼関係を破壊するものでなければならず、単なる集団的規律のための手続条項違反では直ちに契約を解除することはできないとし、さらに、(2)本件の賃料及び諸経費が高額で、解除に伴って生じる経済的効果も大きいから、解除原因となりうる義務違反の程度もそれ相応した重大なものでなければならないとしたうえで、本件について次のように判断した。(1){1}の店舗の内装工事はラーメン店を同一系列の飲食店である中華料理店としての内装にふさわしいものに変更したにすぎないこと、(2)右内装工事の着工後とはいえ、YはXの求めに応じて{1}{2}の店舗につき改装工事承認申請書を提出し、Xも条件付ながら一旦は承認しており、内装工事自体に承認を拒否する合理的理由はなかったと考えられること、(3)Yは右条件を履行していないが、条件を迫るXの態度は性急で強引であること、(4){3}の店舗の改装工事は美観その他の点で格別の問題は生ぜず、予め承認申請していればXが拒絶すべき合理的理由はないこと(5)その他の無届休業・「防火管理確認票」の提出懈怠・店長会議への欠席などは賃貸借契約にとっては必ずしも重大な義務違反とはいえないこと等に照らすと、Yの義務違反の内容・程度は、賃貸借契約の解除原因を構成する程度には背信的かつ重大なものとは言えない。
(寸評)
 建物賃貸借契約において無断改装などの契約違反があっても、それが背信行為にあたらない場合には契約解除は認められないとするのが確定した判例である。本判決はショッピングセンターの一賃貸借についても二つの法理が適用されることを確認するとともに、その背信性の存否についての詳細な認定は、通常の建物賃貸借における背信性の程度を判断するにあたって参考になるものである。

(弁護士 堀 敏明)

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