全借連第二回理事会は、住宅貧困から民間賃貸住宅居住者の安心して住み続けられる権利を守る運動として「民間賃貸住宅居住者への家賃補助制度の創設」の国会請願運動に取り組むことを決め、すでに署名用紙が作成され取り組まれています。この署名運動を広げていくための資料として、連続して解説していきます。今回は、十月二十四日に開かれた「住まいの貧困の解決を!住宅研究交流集会」の第二分科会で船越全借連副会長が「民間借家の家賃問題」をテーマにして家賃補助制度について報告した内容に加筆修正して掲載します。
一、民間借家人は、生活の貧困が家賃不払いに直結し、居住不安に追い遣められています。
その結果、一日たりとも家賃を滞納すると、即日明け渡しを通知され、家賃保証会社から戸口の施錠を取り替え出入り不能にし、ひどい事例では家財道具まで持ち去られた事例もあります。時には、かつてのサラ金業者の取立て行為に類似して貼り紙から電話による督促などの威圧行為もありました。
二、このように追い出し屋の行為は、違法であることは裁判所の判例でも明らかでありますが、不安定雇用の中で生活苦に陥った借家人の居住を守る公的救済制度の創設が世論の声として高まってきています。
西欧諸国では、民間借家人への「家賃補助制度」は当たり前となっています。また、日本においても、生活保護制度の中で住宅扶助制度や特定目的の家賃補助制度があります。また、今年十月から未就労者への住宅手当制度が限定付で創設されました。(これらの制度の詳細は後述紹介していきます)
三、今回の全借連が提起した請願署名は、憲法第二十五条の生存権規定で公営住宅法(昭和二十六年)が制定され、公営住宅の入居有資格者でありながら公営住宅の供給戸数(現在約二百二十万戸)が絶対的不足のために申し込んでも抽選に当たらず、入居を心待ちしている国民(公営住宅入居有資格者)を対象に家賃の一部を補助することは公的責任であり、これらの国民の権利であるとの立場から呼びかけました。
公営住宅入居有資格者は、いわゆる公営住宅入居待機者は、全国で約二百七十万世帯と推計されています。
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