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資料 追い出し屋の業界へ行政指導 国土交通省

 平成二十一年二月十六日、国土交通省住宅局は、財団法人日本賃貸住宅管理協会に対して、「家賃債務保証業務の適正な実施の確保について」を通知し、社会問題となっている賃貸マンションの無断のカギ交換や住居侵入家財道具の処分などについて違法性が高いとの見解を示し、居住者の権利を保護することを指導しました。
 この指導は、全借連が昨年十二月十二日国土交通省へ具体的事実を示して業界の指導を行なうよう申し入れたことによって実現したものです。
 通知文書の抜粋を掲載します。

平成21年2月16日
 財団法人 日本賃貸住宅管理協会
  会長 北澤 艶子 殿
                国土交通省住宅局総合整備課長
   家賃債務保証業務の適正な実施の確保について(抜粋)

 貴団体におかれては、賃貸保証制度協議会会員企業の家賃債務保証に係る契約書の見直しの検討を含めて業務の適正な実施の確保に向けて取り組んでいただきたくお願いいたします。その際、各会員企業において、相談窓口を設置するなど契約者からの相談・苦情等に対応する体制を整えること、家賃債務保証契約の締結に当たって契約内容を十分に消費者に対して説明すること、家賃債務保証業務の実施に当たって各種法令を遵守することを従業員一人ひとりまで徹底すること等に努めていただきたくお願いいたします。

1 督促の方法について

・滞納が生じた場合等に家賃債務保証会社が文書の掲示等の手段により督促することを賃借人が承諾する旨の条項がある場合であっても、文書の内容や掲示の状況等によっては、名誉毀損罪にあたる可能性や、民事上も不法行為に該当する可能性があると考えられます。

2 物件への立入りについて

・一定の事由が発生した場合に家賃債務保証会社が物件に立ち入ることを賃借人が予め承諾する旨の条項がある場合であっても、当該立入りが、賃借人の意思に反する場合には、住居侵入罪等にあたる可能性や、民事上も不法行為に該当する可能性があると考えられます。
・また、このような条項は、どのような場合に立ち入ることとなっているかという点にもよりますが、公序良俗に反するとして無効となる可能性もあると考えられます。

3 物件の使用の阻害について

・一定の事由が発生した場合に、物件の開錠を阻害する権限を貸借人が家賃債務保証会社に付与する条項や、家賃債務保証会社が物件の使用を禁止することが できる条項がある場合であっても、賃借人の意思に反して開錠を阻害するなどの行為は、民事上の不法行為に該当する可能性があると考えられます。
・また、このような条項は、どのような場合に権限を付与することとなっているかという点にもよりますが、消費者契約法第10条により無効とされる可能性もあると考えられます。

4 家賃債務保証会社による賃貸借契約の解除(解約の申入れ)について

・一定の事由が 発生した場合に賃貸借契約を解除する(貸貸借契約の解約の申入れをする)権限を賃借人が保証会社に付与する条項がある場合であっても、実際の権限の行使が賃借人の意思に反する場合には、権限の行使の効果が否定される可能性や、不法行為に該当する可能性があると考えられます。

5 物件内の動産の搬出、処分等について

・賃借人の明け渡しが完了しない場合に、物件内の動産の搬出や処分をする権限を家賃債務保証会社に付与する条項や、賃借人が物件内の動産の所有権を放棄する条項がある場合であっても、賃借人の意思に反して物件内に立ち入って動産を搬出・処分等することは、住居侵入罪等にあたる可能性や、民事上も不法行為に該当する可能性があると考えられます。

6 動産の保管に関する責任について

・家賃債務保証会社が適法に保管できる場合であっても、家賃債務保証会社が保管する動産について紛失、毀損等が生じても家賃債務保証会社は一切の責任を負わない旨の条項は、消費者契約法第8条により無効とされる可能性があると考えられます。

7 損害賠償額等について

・求償権の行使に当たって遅延損害金の額を定めている条項がありますが、消費者契約法第9条により、損害遅延金の額の限度は、年14・6%であり、それを超える部分は、同条により無効となります。

8 事前求償について

・家賃債務保証会社が事前に求償権を行使できる旨の条項は、行使できる要件が緩やかな場合や、事前の求償権の範囲が過大かつ広範な場合には、消費者契約法第10条や民法第90条等により無効とされる可能性があると考えられます。

9 その他

・代位弁済等の手続きの費用として弁済額の一定割合に相当する金額を賃借人が支払う旨の条項は、手続きに要する実費の額や、賃借人が支払う額などにもよりますが、消費者契約法第10条等により無効とされる可能性があると考えられます。
・家賃債務保証会社に賃貸人の訴訟代理権を与える旨の条項は、弁護士法第72条に違反する可能性があると考えられます。

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