更新料問題学習会開催
東借連と住まいの貧困ネットが共催
契約書に明確な規定がなければ 更新料支払義務なし
規定が消費者契約法違反なら無効
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更新料問題学習会で講演する西田 穣弁護士 |
東京借地借家人組合連合会と住まいの貧困に取り組むネットワーク共催による「借地・借家問題学習会」が5月29日午後1時30分から豊島区東部区民事務所において63名の参加で開催された。
東借連の佐藤富美男会長より開会の挨拶があり、「更新料問題は借地借家人にとって大変関心の高い問題であり、大いに学習し更新料をなくしていこう」と訴えた。
学習会は、東借連常任弁護団の西田穣弁護士より「借地・借家の更新料をめぐる裁判例」と題して約1時間にわたり講演が行なわれた。今回初めてプロジェクターを使って講演内容をスクリーンに映しながら説明がされた。
原則的に支払い義務はなし
講演では、更新料について原則的には支払い義務はない。その根拠として(1)そもそも法律上の根拠がない。(2)法律上、法定更新があり、法定更新を選択した場合には、更新料支払義務を認めることは、借地借家人にとって不利なもので法の趣旨になじまない。(3)特に借地の場合、契約書に記載がなく、記載があってもその基準・金額等は明示がない場合が多く、多額の更新料を支払うことによって得られる借地人のメリットはない。
一方、裁判では更新料の有効性が認められた裁判例の特徴として、賃貸借期間が短く、明確な規定のある建物賃貸借事例が多いこと、更新料不払い以外に信頼関係に問題と思われる事情がある場合が多く、賃貸人からの連絡も無視しないようにと指摘された。
次に、契約書で更新料を支払う明確な規定があっても消費者契約法第10条に違反して無効となるかどうか、有効とした京都地裁平成20年1月30日判決と無効とした大阪高裁平成21年8月27日判決の違いが説明された。
契約書明記があれば慎重に
今後の取組みについて、西田弁護士は、契約書に更新料支払義務が明記され、家賃の1ヶ月〜2ヶ月程度の場合には最高裁が無効と判断するかどうか流動的であり、単なる更新料の請求だけであれば争ってみる必要があるが、債務不履行に基づく明渡し請求になる場合であれば本人の生活状況などを考慮して慎重に決定することが必要であると指摘。また、契約書に更新料支払義務の金額・基準等の明示がなければ更新料の支払義務がないので法定更新を主張することが強調された。
次に、更新料問題の事例報告では、城北借組の浅川史教さんより法定更新中に借地権の相続で更新料を請求され、粘り強く交渉し撤回させた経験が報告された。この他、荒川借組の生駒事務局長と城北借組の佐藤事務局長より、賃貸マンション等の事例が報告された。質疑応答の後、住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人の稲葉剛さんの閉会の挨拶で終了した。 |