追い出し屋を登録制で法規制
国交省・民間賃貸住宅部会「最終とりまとめ」
定期借家は普及促進
借地借家法改悪反対が課題に
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JR蒲田駅西口の街頭宣伝に参加した東借連の組合員 |
民間賃貸住宅の紛争の未然防止、滞納・明渡し問題、民間賃貸住宅ストックの質の向上等について10回にわたって議論してきた国土交通省の社会資本整備審議会住宅宅地分科会民間賃貸住宅部会は、昨年12月14日に「最終とりまとめ(案)」を発表した。
この間、借家人の家賃の滞納で連帯保証人に代わる家賃保証会社が追い出し屋と呼ばれるように無法な家賃の取立てや鍵の交換・家財道具の処分などの悪質な行為が全国に拡大した。東借連と全借連も協力し、追い出し屋対策会議などの団体による運動の大きな盛り上がりによって、同部会でも家賃保証会社や管理会社に対する法律の規制が大きな争点となった。
最終とりまとめでは、家賃債務保証業務の行き過ぎた督促行為に対しては「貸金業法における取立て規制のような行為規制が必要」であるとして、家賃保証業を登録制にすることが提言された。
家賃滞納履歴DB化を容認
これを受けて政府は、来年春の通常国会に「追い出し規制法案(通称)」を提出し、家賃滞納者への深夜・未明の督促、無断での鍵の交換、家財撤去など強引な取立て・追い出し行為を禁じ、違反した場合には、管理業・サブリース業、家賃改修代行業などの業種を問わず、個人家主も含めて刑事罰を科し、被害救済に向け国交省と消費者庁が連携して取り組むことになった。
また、家賃債務保証業務等の適正化の方策と、滞納等が発生した場合の円滑な明渡しのための方策については、「分けて検討する必要がある」として、一部の家賃保証会社による賃借人の家賃滞納履歴のデーターベースの構築(ブラックリストづくり)については、「安易に保証を拒否することにつながりかねない」という意見がある一方、「民間事業者が取り組むこと自体禁止できない」との意見も出された。
今年の2月から家賃保証会社の団体は借主の滞納歴などの信用情報のデーターベースの稼動を始めており、借主の同意を求めるとしても、同意しなければ借貸住宅を借りられない恐れが出てきた。
定期借家がトラブル防止?
この他、「最終とりまとめ」では「契約解除事由の予測可能性の向上方策の検討」として、「契約解除の判断基準の客観化の立法措置」、「円滑な明渡しのために簡易に債務名義を得る仕組みの検討」、「定期借家制度の普及促進」等借主を簡単に追い出すことができる対策などが盛り込まれた。
とくに、定期借家制度については、「更新されることなく、確定的に賃貸借が終了することから、明渡しに関するトラブルの防止にも資する面がある」との提言が盛り込まれた。
これらの提言は、日本経団連や不動産業界の見解に沿った内容で、定期借家制度の廃止と正当事由の見直しなど借地借家法改悪反対の運動が今年の大きな運動の課題となってきた。
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