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東京借地借家人新聞


2009年9月15日
第510号

定期借家制度に反対する全国学習交流集会

全借連など借家人団体が会場一杯の107名参加

継続保護こそ居住の命

民主党政権に対し定借廃止の運動を

会場を埋める参加者が集まった9・5全国学習交流集会(港勤労福祉会館)
会場を埋める参加者が集まった9・5全国学習交流集会(港勤労福祉会館)

 借地借家法改悪反対全国連絡会主催の「定期借家制度に反対する全国学習交流集会」が、9月5日午後1時30分から港勤労福祉会館において開催された。借地借家法改悪を推進する自公政権が退場するという総選挙直後の集会となり、全借連・公団自治協・公住協など3団体から会場一杯の107名が参加した。
 主催者を代表して河岸全借連会長が「総選挙の結果に対する国民の期待は大きいものがある。大いに学習し運動を強めていこう」と挨拶した。

住む権利奪う定期借家制度

 全国公団住宅自治会協議会の多和田代表幹事が基調報告を行い、「安心して住み続けられるためには継続保護こそ命であり、定期借家制度は借家人の生活とコミュニティを破壊するものである。国の責任を放棄し市場まかせにした小泉内閣が残した住宅政策の構造改革の(負の)遺産をなくしていくことが重要である」と強調した。
 続いて、自由法曹団の榎本弁護士が「政府・財界による借家制度改正の動向」について報告した。榎本弁護士は、財界の圧力を受けて政府は平成19年・20年と「規制改革推進3カ年計画」で定期借家制度の見直し、正当事由制度のあり方の見直しを発表し、定期借家制度普及促進や正当事由制度改悪を狙っていることを指摘した。民主党のマニフェストで住宅政策の転換を主張する一方で、「定期借家制度の普及推進」を掲げた問題について「定期借家制度は住む権利を奪うもので、定期借家制度の推進を止めるように民主党に働きかける必要がある」と強調した。
 各団体からの報告では、公団自治協の井上事務局長、全国公住協の小池田事務局長、全借連の船越副会長より各団体の活動が報告された。最後に「行動提起」と「共同アピール」が採択。川端全国公住協会長の閉会の挨拶で集会は終了した。




 

中間とりまとめ発表

借主の信用情報の入手等問題が一杯

民間賃貸住宅部会

 家賃保証会社や管理会社等による不当な滞納家賃の取立てや鍵交換・家財道具の処分等の被害の急増、賃貸住宅の原状回復や管理を巡るトラブルの増加を受けて、国土交通省は社会資本整備審議会の民間賃貸住宅部会は今年2月から審議を始め、7月31日の第6回目の審議で「中間とりまとめ」を発表した。

貸主側の論理が通る審議会

会場を埋める参加者が集まった9・5全国学習交流集会(港勤労福祉会館)
追い出し屋対策会議の集会

 民間賃貸住宅部会は、委員の大半は不動産業界や貸主側の代表が占め、追い出し屋の規制に対して「事柄の本質は滞納家賃の回収は法的リスクが大きく、時間と労力の費用も極めて高くつく」、「業者が強引な退去強制や違法な督促行為に走りがちとなるのは当然である」(福井秀夫政策研究大学教授)など、露骨な不動産業界擁護発言が目立つ。
中間のまとめでは、追い出し屋の規制はトーンダウンして業界団体の自主規制の案が浮上し、悪質滞納者の締め出しを口実に賃借人に関する信用情報の入手、滞納発生時の円滑な明渡しの方策の検討が打ち出されている。また、原状回復のガイドラインの見直し、通常損耗については保険・保証による損失・負担の防止する仕組みの検討まで言い出している。また、礼金など「各種一時金の考え方の整理」に言及し、法的な根拠のない一時金の容認の動きもある。とくに借家人の居住の安定を脅かす定期借家制度については、「制度の認知度が未だに低く、十分に活用されていない。……普及・促進に取り組んでいくことが必要」と全体にわたり「貸し手側の論理に埋めつくされている」(週間東洋経済8月15日号)とマスコミ関係者からも批判の声も上がっている。

年内の答申に向け運動強化

 民間賃貸住宅部会では、9月18日に消費者団体等からのヒアリングを行い、10月以降残された論点について議論を行い、年内に答申を行なう予定でいる。全国追い出し屋対策会議と住まいの貧困に取り組むネットワークでは9月13日に追い出し屋の法規制実現をめざして集会を開催するなど、今後も審議会に対する運動を強める予定でいる。




解約時の敷金全額戻る

組合の指導を受け無事に解決

荒川区

会場を埋める参加者が集まった9・5全国学習交流集会(港勤労福祉会館)
荒川区内でも不況で閉店する店舗が多い

 荒川区西尾久で約20年前から飲食業の支店を開設するため13・5坪の店舗を賃料月額20万円で借りた加藤和子(仮名)さんは、店舗を借りる際、保証金として300万円を預け入れた。開店から数年間は売上げも順調だったが、店の近くに同業者も増え日増しに売上げが減少してきたが、何とか営業を継続。そんな状況の中、平成11年12月の更新時に従来3年毎に支払ってきた保証金の内から償却費・賃料の3か月分の60万円の補充を組合の指導でストップさせた。以後は絶対認めないと主張し、敷金の240万円を預けておく念書を取り付け、更に別に支払ってきた更新料20万円は法定更新して支払を拒否した。その上で不況による売上げの減少を理由に賃料を月額4万円値下げさせた。
 しかし、今年8月に不況に勝てず閉店することにした。加藤さんは約束の通り1ヶ月前に解約の通告と敷金全額返還すること、その上で原状回復を加藤さんの責任で行なう旨を申し出た。家主の態度は二転三転し、難ぐせを付けて来たが組合と相談しながら対応し、8月に入って間もなく敷金240万円全額を返還してもらった。加藤さんは、約70万円をかけて原状回復し無事に全て解決した。現在も本店の店舗で営業を続けているけれど賃貸のことは何も分からず、組合に入っていて本当によかったといって、快く組合の宣伝ポスターをお店の入口に貼り出してくれた。




組合の催物とお知らせ

■城北借組「西武デパート相談会」
 10月14日(水)・15日(木)午前11時〜午後5時(午後1時〜2時昼食休憩)まで、西武デパート7階お客様相談室。
 「無料法律相談会」
 10月16日(金)午後2時から城北法律事務所。担当田見高秀弁護士。相談者は要予約。連絡・(3982)7654。
■多摩借組「定例法律相談会」
 10月3日(土)午後1時30分から組合事務所。担当は山口真美弁護士。相談者は要予約。連絡・042(526)1094。
■江東借組「法律相談」
 毎月第2水曜日午後6時から大島総合区民センター、担当西田穣弁護士。連絡・(3640)4694。
■葛飾借組「定例相談」
 毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
 毎月第2日曜日午後1時から2時、組合事務所。連絡(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。
 「法律相談」
 毎月第3金曜日の午後7時から組合事務所。連絡・(3801)8697。相談者は要予約。
■世田谷借組「相談会」
 毎月25日午後2時〜7時まで組合事務所。連絡・(3428)0828。
■北借組「法律相談」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から赤羽会館。相談者は要予約。連絡・(3908)7270。
■大田借組「借地借家問題講座・相談会」
 10月17日(土)大田区消費生活センター。10月24日(土)大田区文化の森、時間は午後6時30分から。連絡・(3735)8481。


毎月1回15日発行一部200円/昭和50年5月21日第三種郵便物認可

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