東借連第3回相談員養成学習会
借地借家法の借家編をテーマに
定借契約への切替えに注意
正当事由・修繕・原状回復等を学ぶ
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東借連第3回相談員養成学習会 (4月18日、豊島区) |
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講演する白石光征弁護士 |
東借連「第3回相談員養成学習会」は、4月18日午後1時30分から豊島区東部区民事務所において36名の参加で開催された。今回の学習会には、東借連加盟組合以外に千葉・埼玉・神奈川の各県連借組と自立生活サポートセンター・もやいの代表の参加もあった。
学習会は、野内副会長の司会ですすめられ、冒頭佐藤会長より「相談員養成学習会は今回で3回目だが、相談にのれる組合役員を養成するために今後も継続して実施していきたい。今日、職を失うと同時に住まいを失う人が増えている。借地借家法をしっかりと理解をして、住み続ける権利を守っていこう」と訴えた。
判例に基づき法律の解説が
講師の白石光征弁護士より、借家借家法の借家編をテーマに休憩をはさんで約2時間の講演が行われた。はじめに、民法に基づいた賃貸人と賃借人の基本的な権利義務が説明された。次に、「契約期間」、「更新後の期間」、「特殊な賃貸借として(1)定期建物賃貸借、(2)取壊予定建物賃貸借」、「一時使用目的建物賃貸借」、「敷金と原状回復義務」、「正当事由」、「家賃」、「借家の修繕」、「借家の譲渡・転貸」、「当事者の変更」について、法律の条文の解釈と裁判例に基づいて詳しい説明がされた。
定期借家契約の締結に当たっては、書面による契約と事前に書面を交付して説明する義務が定められ、説明をしないと普通借家契約になる。普通借家契約から定期借家契約への合意による切り替えについては、居住用の場合には平成12年3月1日以前の契約は法律の付則3条で禁止されている。それ以外でも、貸主から切り替えを要求されても、拒否すれば切り替えはできないこと等が指摘された。
また、通常損耗分の原状回復費用を賃借人に負担させる特約については、二つの判例が説明され、平成17年12月16日の最高裁の判決で通常損耗による修理費用は本来賃料の中に含まれており、よほど具体的な説明と明確な合意がない場合でなければ認められない。さらに、消費者契約法が施行された平成13年4月1日以降に契約(合意更新)した場合には、平成16年12月17日の大阪高裁判決で、賃借人に一方的に不利益な条項で消費者契約法10条により無効にすることができることが強調された。
質疑応答では、具体的な事例に基づき参加者相互に活発な意見交換が行われた。 |