過去のページ
東京借地借家人新聞


2009年4月15日
第505号

なくそうハウジングプア!
住まいの貧困に取組むネットワーク結成

住宅セーフティネットの実現求め運動
4月19日に追い出し屋被害で電話相談

新宿区大久保通りをデモ行進する集会参加者
新宿区大久保通りを
デモ行進する集会参加者
200名が参加したネットワーク設立集会
200名が参加したネットワーク設立集会

 「なくそうハウジングプア!安心できる住まいを!」と題して住まいの貧困に取り組むネットワークの設立集会が、3月14日午後2時から新宿区の大久保地域センターにおいて開催され、200名の市民が参加した。
 同ネットワークは、昨年10月の反貧困ネットワークの世直しイッキ大集会の中で住まいの分科会が開催され、集会の取り組みの中でネットワーク組織の設立を準備してきた。東借連と全借連では、準備段階から参加した。

住まい現場から悲痛な叫び

 集会では、第1部「住まいの貧困の現場から」では、スマイルサービスから鍵を交換され、荷物を全て撤去された借家人、派遣切りでアパートの家賃の支払いが困難になり家族が離れ離れに友人宅などに身を寄せている外国人労働者、日産ディーゼルで働き昨年12月に派遣会社から契約打ち切りを通告されたが労組を結成し解雇と寮からの退去に反対して闘う労組役員、ホームレスで野宿生活しているときにNPO団体の寮に住み込まされ15万円の生活保護費から8万7000円の寮費を天引きされ、寮生活でいじめを受けた三十代の男性などから切実で深刻な内容の発言が次々にされた。
 第2部では、「住まいの貧困にどう立ち向かうか」と題してパネルディスカッションが行なわれた。
 パネラーのNPO法人自立サポートセンターもやいの稲葉剛代表理事は「東京都は石原都政になって10年間都営住宅を一戸も増やしていない。若年ワーキングプアは申込む機会すら奪われている。住宅政策の規制緩和で民間では家賃保証会社など追い出し屋が野放しにされ、ハウジングプアを増大させた。保証金など大家がかかえるべきリスクを入居者が支払うのはおかしい。借家の公的な保証システムを確立させるべきである」と指摘した。

家賃保証会社に法的規制を

 次に、全国追い出し屋対策会議の司法書士の徳武聡子さんは、家賃保証会社など追い出し屋の手口と法的な問題点、対策会議の刑事告訴や民事責任の追及などの対応について報告した。「サラ金業者の規制が厳しくなった2年前から子会社を作り家賃保証会社に参入し、強引な家賃の取立てと不法行為を行なっている」とを指摘し、早期の法的規制の必要性を強調した。また、大阪市立大学の小玉徹教授より欧米と日本の居住政策について、資料使って詳しく説明がされた。
 最後にネットワークの世話人の藤本龍介さんより「住まいの貧困に取り組むネットワーク設立宣言」が読み上げられ全員で確認した。
 集会後、デモ行進に移り、「公共住宅をつくれ」、「保証人制度をなくせ」、「定期借家制度を廃止しろ」、「家賃を下げろ」等々のシュプレヒコールが新宿の街に響き渡った。




 

拡大推進部など専門部員を選出
4月18日に第3回相談員養成学習会を開催
東借連第1回理事会

 東借連第1回理事会は、3月18日午後6時30分から豊島区東部区民事務所において13名の参加で開催された。理事会は佐藤会長の開会挨拶に続いて生駒副会長の議長で議事がすすめられた。自己紹介に続いて細谷事務局長より総会後の活動報告、拡大集計と新規相談者調査結果が報告され、桜井会計より1月と2月の収支報告が行なわれた。
 討議事項では(1)東借連第31回定期総会の総括が行われ、総会代議員の参加も前回を大きく上回り成功したことを確認した。(2)全借連の登録数については、当面全組合員登録が原則だが、暫定的措置とし未加盟組合については4月21日までに登録数を自己申告することを確認した。
 次に、(3)専門部の選出では組織強化・拡大推進部、理論政策・学習部、新聞編集部、共闘部以上について部長と副部長及び部員を理事会の中で互選した。(4)第3回相談員養成学習会は、4月18日午後1時30分から開催し、50名の参加目標で参加者を動員することを確認した。その他追い出し屋被害ホットライン、評価替えと便乗値上げ対策、組合員拡大と全国拡大月間の取り組みを等を討議した。




契約更新で頑張ってる
中野区松ヶ丘の森山さん

和解調書で定めた期間が法定更新
地主代理人知らずに更新料等請求

森山さんが住む中野区松ヶ丘附近
森山さんが住む中野区松ヶ丘附近

 中野区の松ヶ丘に住む森山さんは親の代から借地していた。一昨年に親が死亡し、借地上の建物を相続した。それまでは年一回の地代の支払いで、昨年の7月に地主に「親の死亡と建物を相続したことを通知するとともに,今後は自分名義で地代を地主の銀行口座に振込むこと」を通知した。早速、地主は弁護士を代理人として契約の更新と更新料の支払い並びに地代の値上げを請求してきた。森山さんは親から聞いていた裁判所の和解調書を持って組合に相談した。その和解調書には、「契約期間を昭和77年までの20年間とし、賃料については公租公課の2・5倍を乗じた額を賃料とし、満3年毎に同様の方法によって賃料の改定を行う」と記載されている。契約はすでに平成14年に法定更新され、賃料についても公租公課の2・5倍となっていることを主張し、弁護士に更新料の支払い並びに地代の値上げ請求には応じられない旨を通知した。なお、都税事務所では、法定更新されている契約では土地課税台帳は閲覧できないと窓口で言われたが、裁判所の和解調書をみせると許可された。
 その後、地主の代理弁護士からはそのような和解調書が存在したことは知らず、改めて契約書を作成したいと回答があった。森山さんは法定更新のままでかまわない旨通知したが、相手から和解調書を基本とした覚書だけでも締結したいと言ってきている。




【借地借家相談室】

建物朽廃と同時に借地権は消滅すると
書き加えられた特約は有効なのか

(問)過去に合意で借地の更新を2回している。今回期間20年の借地の合意更新の際に、契約書に「建物の朽廃と同時に借地権は消滅する」という特約事項を新たに書き加えられたが、このような特約は有効なのか。

(答)「借地借家法」(平成4年8月1日施行)には「朽廃」に関する規定は置かれなかった。そのため建物が朽廃しても借地権は消滅しない(同法3条)。朽廃は「滅失」の場合として処理され、借地権の消滅原因ではなくなった。しかし「借地借家法」以前に設定された借地権に関しては、同法附則5条によって「借地法」の「朽廃」規定が適用される。
 朽廃は、一般的にいう建物に生じた自然的腐蝕状態によって建物の社会的・経済的効用を喪失した状態をいう。朽廃した時点で借地権は消滅する。火災・地震・台風・水害等外部からの力で倒壊した場合の「滅失」とは異なる概念である。建物が「滅失」しても勿論借地権は消滅しない。
 「朽廃」の規定が問題になるのは、借地権の存続期間が当事者の合意よるものではなく法律の定めによって確定したものの場合である。例えば、(1)継続使用による法定更新の場合、(2)更新請求による更新の場合)、(3)合意更新で更新後の期間を定めなかった場合、(4)期間を取決めたが法定期間よりも短い期間を定めた場合、以上(1)〜(4)の更新後の法定存続期間中に建物が「朽廃」すると借地権は消滅する。
 しかし「存続期間の約定のある借地権は、借地法2条1項により存続期間を法定された借地権とは違って、その存続中に借地上の建物が朽廃しても消滅しないのであり、約定の残存期間があれば、その間は存続する」(最高裁昭和37年7月19日判決)。即ち、借地契約で鉄骨建物等の堅固建物の存続期間を30年以上、木造建物等の非堅固建物の場合は20年以上と定めた場合は、建物が朽廃しても残存期間があれば、借地権は消滅しない。また建物の再築も可能である。
 結論、借地法2条2項では、契約で存続期間を定めた借地権は、その期間の満了によって消滅すると規定されている。これに違反する「朽廃」特約は、仮に当事者の合意で定めても「借地法11条」(強行規定)の「借地人に不利な特約は定めなかったものとして扱う」の規定により、無効とされる。




組合の催物とお知らせ

■城北借組「西武デパート相談会」
 5月13日(水)・14日(木)午前11時〜午後5時(午後1時〜2時昼食休憩)まで、西武デパート7階お客様相談室。
 「無料法律相談会」
 5月15日(金)午後2時から城北法律事務所。担当田見高秀弁護士。相談者は要予約。連絡・(3982)7654。
■大田借組「講座・相談会」
 4月25日(土)午後6時30分から大田区消費者生活センター。連絡・(3735)8481。
■多摩借組「第30回定期総会」
 6月7日(日)午後1時20分から国分寺労政会館。連絡・042(526)1094。
■江東借組「法律相談」
 毎月第2水曜日午後6時から大島総合区民センター、担当西田穣弁護士。連絡・(3640)4694。
■葛飾借組「定例相談」
 毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
 毎月第2日曜日午後1時から2時、組合事務所。連絡(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。
 「法律相談」
 毎月第3金曜日の午後7時から組合事務所。連絡・(3801)8697。相談者は要予約。
■世田谷借組「相談会」
 毎月25日午後2時〜7時まで組合事務所。連絡・(3428)0828。
■北借組「法律相談」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から赤羽会館。相談者は要予約。連絡・(3908)7270。
■住まいの貧困に取り組むネットワーク「追い出し屋被害ホットライン」 4月19日(日)10時から18時 フリーダイヤル0120―442―423。


毎月1回15日発行一部200円/昭和50年5月21日第三種郵便物認可

 ← インデックスへ