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東京借地借家人新聞


2009年3月15日
第504号

東借連第31回定期総会開催
組織改革の新方針を採択

東借連が全借連に一括加盟
全国の借地借家人組合運動の牽引車に

都内各地から56名が参加した東借連第31回定期総会
都内各地から56名が参加した
東借連第31回定期総会
活発に討議する第1分散会
活発に討議する第1分散会

 東借連第31回定期総会が3月1日午前10時から中野区の東京都生協連会館3階ホールで開催され、都内各地の組合から選出された代議員・評議員56名が参加した。
 総会議長団に大田借組の菊池代議員、足立借組の大島代代議員が選出され、議事がすすめられた。はじめに主催者を代表して佐藤富美男会長が挨拶を行ない、「住まいをめぐる情勢が大きく変化する中で今年の総会が開かれようとしている。住まいは人権である立場で今こそ私たちの要求をかかげて運動することが大事になっている。今総会の任務として、東借連が運動方針にあるように全借連に一括加盟し、全国の牽引車の役割を果たすこと、同時に組合の民主的な運営を実現し、自覚を高める学習活動の強化と組合員が主人公になる組合の組織をめざし、今総会が東借連運動の歴史に残る総会となるよう成功させよう」と訴えた。
 来賓挨拶では、全借連の河岸会長、東借連常任弁護団の榎本弁護士、23区公団住宅自治会協議会の林会長、日本共産党東京都議会議員植木こうじ氏、東京都公営住宅協議会の斉藤会長、国民の住まいを守る全国連絡会の坂庭代表幹事以上六氏より激励と連帯の祝辞があり、千葉県借連の大森氏が紹介された。この他総会には10団体からメッセージが寄せられた。
 運動方針案が細谷専務理事より、決算・予算案が桜井会計、規約一部改正が野内副会長よりそれぞれ提案された。
 午後1時から同会場で2つの分散会に別れ運動方針等について熱心な討論が行なわれ、午後3時からの全体会議で運動方針・予算案・規約改正が満場一致で採択された。また、佐藤会長以下の新役員が選出され総会は終了した。




 

住宅生協
借地セミナー開催
更新料がトップの関心で70%

個別相談にのる東借連役員
個別相談にのる東借連役員

 生活協同組合・消費者住宅センター主催、東借連後援による「借地セミナー」が2月7日午後1時30分から中野区の東京都生協連会館において開催された。参加者は67名、相談者は22組だった。
 セミナーでは、借地の更新問題について東借連の細谷専務理事が、借地の改築問題は住宅センターの久保理事長がそれぞれ事例報告を行なった。質疑の後に、個別相談会が同会場で行なわれ、東借連の本部役員7名が相談に応じた。セミナーのアンケートでは、関心のある項目では更新料がトップの71%で、次に借地権の相続40%、地代値上げ39%、建替え・増改築39%と続いていた。「大変役に立つセミナーだった」等の感想が寄せられていた。




 

一千戸の空家活用を

UR花畑団地見学ツアー

花畑団地ツアー後の集会
花畑団地ツアー後の集会

 住まいの貧困に取組む準備会主催による「UR花畑団地見学ツワー」が2月11日の午後に開催され、住まいを失った路上生活者やネットカフェ生活している人、団地の居住者、労組・市民団体等から110人が参加した。
 足立区のUR花畑団地は1964年に入居が開始され2725戸の大規模団地で、10年前に建替え対象団地に指定され、空家の入居が全面的停止され、現在1千戸を越える空家が発生し、残っている入居者も高齢化が進み70歳以上が50%以上を超え都会の限界集落となっている。08年8月「花畑団地再生事業」の概要が発表され、住宅を残す継続ブロックと住宅を取壊す事業ブロックに二分され、841世帯が立ち退きとなり、継続ブロックにも移転できず他の団地への転居を迫られている。ツワー終了後の集会では、団地居住者から「花畑団地を取壊さないで空家に若い人が入居してもらいたい」、ネットカフェ生活者から「働きたくても住所がないと大した仕事が与えられない。空家を開放して住まわせてほしい」との切実な意見が出された。




更新料の調停で頑張る
豊島区上池袋の上島さん

“裁判になると大変”
調停委員が合意をするよう圧力

上島さんの借地がある豊島区上池袋附近
上島さんの借地がある豊島区上池袋附近

 豊島区上池袋で借地している上島さんは、今年20年の更新を迎えた。
 20年前に更新したときにはバブルが崩壊しはじめた直後でもあり、上島さんは、地主の言うとおりに地代の値上げや、借地契約にない地主の言うところの更新料(当方はそのような認識ではない旨主張)の支払いに応じてしまった。
 地主は、昨年夏に、更新料の支払い(200万円)と地代の一割以上の値上げを請求してきた。上島さんは、更新料については特段の約束もないものについては支払う義務がないという昭和52年最高裁の判決を示し、支払う意思のないこと、また地代についても固定資産税など公租公課の約5・5倍の地代であることから値上げも拒否することを通知した。その後、何回かの話合いを行ったが、双方の主張は平行線のままだった。
 今年に入り、地主は調停にかけてきた。上島さんは調停の場でも、地主の数字の間違いなどずさんな請求に対してきちんと資料を提供し説明した。調停委員もその資料のコピーを申出るなどしていたが、調停委員は、最終的にはいくらかでも更新料を支払った方が今後裁判なると大変だといって合意するよう圧力をかけてきた。しかし納得のいかない上島さんはあらためて最高裁の判決を提示してこの調停を不調に終わらせるように頑張ることにした。




【借地借家相談室】

借りている建物の一部が焼失したが
火事になると借家権はなくなるのか

(問)1階が店舗で2階が住まいになっている併用住宅を借りて豆腐の製造・販売をしている。
 先日、隣りの飲食店から火災が発生して私の家の一部が類焼した。被害は外壁と2階の天井、屋根の一部が焼けた。消火で水浸しになったが、営業や生活に差し支えない程度で済んだ。
 家主は「火事で焼けた建物は取壊して建替えるので、すぐに明渡してもらいたい」と言い、更に「借家は火事で焼けると借りる権利はなくなる」とも言っているが、本当に借りる権利がなくなるのか。

(答)建物賃貸借契約の消滅は、火災によって建物としての効用を失ったか、又は社会観念上これと同視する状態となったことが必要である。すなわち、借家が火災で全焼し、建物が滅失すると借家権は消滅する。借家契約の対象物である建物が無くなると契約も無くなる。借家人に建物を使用収益させる家主の債務は、履行不能となって消滅する。
 これは建物が滅失した場合の例である。一部焼失の場合は、その状態が滅失に当たるかが問題になる。
 類焼による滅失の認定の判断は「賃貸借の目的となっている主要な部分が焼失して賃貸借の趣旨が達成されない程度に達したか否かで判断し、その際、修復が通常の費用では不可能か否かをも斟酌して判断する」としている(最高裁昭和42年6月22日判決)。
 即ち、賃貸目的物の焼失による建物の滅失で、修繕が不可能という場合、或は、修復するより新築した方が経済的である場合は滅失と認定される。しかし、簡単な補修によって従前と殆ど変わらない効用を発揮できる状態であれば、借家契約は終了しない。
 相談者の場合は、比較的簡単に修繕できる状態であり、新築するよりは安上がりの費用で回復可能である。従って、滅失とは言えず、借家権は存続する。
 家主の建物の滅失を理由に明渡請求をされる前に、修繕をして建物としての効用を発揮させるようにしておかなければならない。
 家主は修繕をさせないと言っているようだが、借家権を確保するため、営業を続けるためにも、速やかに屋根と外壁の修繕を強行し、使用・収益の出来る状態にしなければならない。その際、修繕費用は自己負担で行うのが現実的である。




組合の催物とお知らせ

■城北借組「西武デパート相談会」
 4月15日(水)・16日(木)午前11時〜午後5時(午後1時〜2時昼食休憩)まで、西武デパート7階お客様相談室。
 「無料法律相談会」
 4月17日(金)午後2時から城北法律事務所。担当田見高秀弁護士。相談者は要予約。連絡・(3982)7654。
■大田借組「第43回定期総会」
 3月29日(日)午後1時半から大田区立消費者生活センター。連絡・(3735)8481。
■多摩借組「定例法律相談」
 4月4日(土)午後1時半から組合事務所。担当山口真美弁護士。連絡・042(526)1094まで。
■江東借組「法律相談」
 毎月第2水曜日午後6時から亀戸カメリアプラザ。連絡・(3640)4694。
■葛飾借組「定例相談」
 毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
 毎月第2日曜日午後1時から2時、組合事務所。
 「第39回定期総会」
 3月29日(日)午後1時から東京土建足立支部。連絡(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。
 「法律相談」
 毎月第3金曜日の午後7時から組合事務所。連絡・(3801)8697。相談者は要予約。
■世田谷借組「相談会」
 毎月25日午後2時〜7時まで組合事務所。連絡・(3428)0828。
■北借組「法律相談」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から赤羽会館。相談者は要予約。連絡・(3908)7270。
■東借連「相談員学習会」
 4月18日(土)午後1時半から豊島区東部区民事務所。定員50名。


毎月1回15日発行一部200円/昭和50年5月21日第三種郵便物認可

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