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2009年11月15日
第512号 |
来年3月東京で全国総会
11月から組織強化拡大月間設定
定期借家制度 廃止の運動等で論議
東借連第1回評議員会を開催
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開会の挨拶をする佐藤東借連会長 |
東借連第1回評議員会は、10月15日午後6時半から豊島区勤労福祉会館において理事・評議員19名の参加で開催された。
佐藤会長が開会に当って「総会から7ヶ月が経過し、政治の流れも大きく変わった。住まいの問題に対するマスコミの取材も変化している。来年3月には全借連総会を地元東京で開催する。組織を大きく伸ばし、全国の仲間を歓迎し、総会を成功させよう」と挨拶した。
生駒副会長の司会で議事はすすめられ、細谷事務局長が「総会以降の主な活動」を報告し、桜井会計が総会以降の財政状況を報告した。
討議事項では、(1)借地借家人をとりまく最近の情勢、(2)定期借家制度を廃止し、借地借家法改悪を阻止する運動、(3)更新料を根絶する運動と消費者契約法の学習強化、(4)公営住宅の建設と家賃補助制度創設の運動、(5)全借連第28回定期総会と組織拡大強化月間の取組み、(6)住まいの貧困の解決をー住宅研究交流集会、(7)西部・品川両借組の処分、(8)東京住宅連対東京都2010年度予算要求提出以上の議題を討議した。
東借連では、来年3月の全借連総会に向けて、11月から2月を「組織強化拡大月間」に設定し、組合員の拡大強化と定期総会を未開催の組合は必ず総会を開催することを確認した。また、家賃補助制度創設の署名と組合の宣伝を強化するために、11月から都内4箇所で街頭宣伝行動を実施することが決まった。
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消費者契約法を学習
“消費者契約法を学び活用へ”
相談員養成学習会
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第4回相談員養成学習会で講演する榎本弁護士 |
借地借家問題と消費者契約法をテーマとした「東借連第4回相談員養成学習会」は、10月31日午後1時30分から豊島区東部区民事務所で開催された。学習会には、東借連加盟組合以外に近県の組合や東京都消費生活センター、住まいの貧困ネットワークなどから40名が参加した。
講師の榎本弁護士は、まず消費者契約法とは「消費者と事業者との間で締結される契約」であり、借主は純粋な個人のみに適用されるものであり、事業をやっている場合には適用されない。また、情報力や交渉力が劣る個人を保護するために、不当な勧誘行為で結んだ契約の取消し、事業者に有利で消費者の利益を一方的に害する契約を無効にすることができるという特徴が詳細に説明された。
組合の果たすべき役割として、借地借家人という消費者を組織する団体として消費者契約法を学び活用する必要があることが強調された。また、消費者契約法の差し止め訴訟制度が2007年から施行され、差し止め請求ができる適格消費者団体の設立と連携を強める必要性が指摘された。
消費者契約法の活用ついて、契約に際して「不実告知」・「不利益事実の不告知」・「不退去の」の事実があった場合の取消しや不当な契約条項の無効について具体的な事例に基づき説明がされた。
この間の消費者契約法関係判例として、賃貸マンションの原状回復特約、敷引特約、更新料支払特約などが消費者契約法10条に基づき無効とされた判決が紹介された。更新料については裁判所の判決は分かれているため、近いうちに最高裁で優先的に審議され判決が下されるので十分に関心を持ち、また有利な判決を積極的活用し普及していくことが強調された。 |
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ゲストハウスの“定借契約”
1部屋に2段ベット4つ、契約途中に家賃値上げ
文京区
文京区春日に住む中村さんは、ルームシェアー・ゲストハウスなどと言われている居住形態でマンションに住んでいる。
中村さんが居住しているゲストハウスは、一部屋に二段ベットが4つあり、シャワーや洗濯などの使用は百円から二百円かかるなどの条件で住んでいる。個人がプライバシーを守れるのは、ベットをカーテンでしきっている中だけという状況であった。
今年の3月に4月までの2ヶ月の定期借家契約で契約し、その後、再契約し11ヶ月の定期借家契約で住み始めたところ、10月に家賃と管理費の値上げを通知してきた。30から40%近い値上げで納得がいかないという相談で、賃料の値上げは双方の合意が原則で、一方的な値上げは認められないという通知をすることをすすめた。しかし、そのような通知をすれば、今後、再契約を拒否される可能性が高いことを理解したうえで回答することをすすめた。
中村さんは、早速、値上げは認められないという通知をしたところ、貸主からは再契約拒否の回答があった。
定期借家契約はこのように貸主の賃料の値上げに対しても、受け入れない借主には再契約拒否という点で賃借人には極めて不利な契約で、この物件でもほとんどの人が再契約希望の場合は値上げを認めざるを得ないということになった。
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組合の催物とお知らせ
■城北借組「西武デパート相談会」
12月16日(水)・17日(木)午前11時〜午後5時(午後1時〜2時昼食休憩)まで、西武デパート7階お客様相談室。
「無料法律相談会」
12月18日(金)午後2時から城北法律事務所。相談者は要予約。連絡・(3982)7654。
■多摩借組「定例法律相談会」
12月5日(土)午後1時30分から組合事務所。担当は山口真美弁護士。相談者は要予約。連絡・042(526)1094。
■江東借組「法律相談」
毎月第2水曜日午後6時から大島総合区民センター、担当西田穣弁護士。
■葛飾借組「定例相談」
毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
毎月第2日曜日午後1時から2時、組合事務所。連絡(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。
「法律相談」
毎月第3金曜日の午後7時から組合事務所。連絡・(3801)8697。相談者は要予約。
■世田谷借組「相談会」
毎月25日午後2時〜7時まで組合事務所。連絡・(3428)0828。
■北借組「法律相談」
毎月第1・第3水曜日午後7時から赤羽会館。相談者は要予約。連絡・(3908)7270。
■大田借組「理事会」
12月12日(土)午後6時半から大田区消費者生活センター。
「常任理事会・年忘れ会」
12月19日(土)午後6時から組合事務所。連絡・(3735)8481。
■東借連「街頭宣伝」
11月22日(日)午後1時〜2時、荒川区の都電荒川線町屋駅前付近。
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【判例紹介】
借家契約に付けられた更新料支払特約は消費者契約法10条に違反し無効
大阪高等裁判所判例―借家契約に付けられた更新料支払特約は消費者契約法一〇条に違反し無効として、過去四回の更新で支払った合計四〇万円を返還することを賃貸人に命じた画期的事例(平成二一・八・二七)
(事案の概要)
A(賃借人)は、平成一二年八月、四階建共同住宅の一部屋を、B(賃貸人)から、月家賃四万五千円で、借りて居住を始めた。契約書には、契約期間一年間、更新料一〇万円と記載され「更新の場合、契約書記載の更新料を支払わなくてはならない」と明記された更新料支払特約があった。
以後一年毎に更新(左記)。
(1)平成一三年八月一〇万円
(2)同一四年九月 一〇万円
(3)同一五年八月 一〇万円
(4)同一六年八月 一〇万円
(5)同一七年八月 一〇万円
合計五〇万円
Aは、平成一八年には契約を解約して明け渡し、支払った更新料五〇万円の返還請求の訴訟を京都地裁に起こした。京都地裁はA敗訴。大阪高裁は地裁判決を取消し、Bに(2)(3)(4)(5)の更新時既払更新料四〇万円全額返還を命じ、A逆転勝訴。
(1)は消費者契約法施行(平成13年四月一日)前にされた平成一二年の当初契約によって支払われたものだとして認められなかった。
(裁判の争点)
Aが訴えたこの裁判の争点は、AB間の更新料支払特約が、消費者契約法一〇条(「民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則(信義則)に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする」によって無効か否かである。
(大阪高裁判決の要旨)
大阪高裁は、「消費者契約法が立法された下で見直してみると・・(中略)・・、この約定は、賃借人に無視できないかなり大きな経済的負担が生じるのに、本件更新料約定は、賃借人が負う金銭的対価に見合う経済的根拠は見いだせず、むしろ一見低い月額賃料額を明示して賃借人を誘引する効果があること、賃貸人と賃借人との間においては情報収集力に大きな格差があったのに、本件更新料約定は、客観的には情報収集力に乏しい賃借人から借地借家法の強行規定の存在から目を逸らさせる役割を果たしており、この点で、賃借人は実質的に対等にまたは自由に取引条件を検討できないまま本件賃貸借契約を締結させられた」「本件更新料約定は、民法第一条第二項に規定する原則(信義則)に反して消費者の利益を一方的に害するもので無効である」と判断した。無効な更新料約定によりAが支払わされた四〇万円の既払更新料は、賃貸人(B)の不当利得であるから、賃借人(B)に返還せよという判決である。
(本判決の評価)
賃貸借契約における更新料特約に消費者契約法一〇条を適用した初めての高裁判決であり、本件のような内容の更新料特約を消費者の利益を一方的に害し無効とした画期的なもの。なお、本年になり、七月二三日、九月二五日に、同様に消費者の勝訴とした京都地裁の判決が出ている。(弁護士 田見高秀)
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