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2009年1月15日
第502号 |
住まい連が緊急申入れ
寮・社宅問題と住宅セーフティネットで
国民の住まいを守る全国連絡会(坂庭国晴代表幹事)は、製造業を中心とした派遣労働者等に対する違法・無法な「雇い止め」・解雇が行なわれ、職を失うと同時に社員寮からの退去を迫られる深刻な事態に対する問題で、12月18日に厚生省・国土交通省に対し「寮・社宅問題と住宅セーフティネットに関する緊急申入れ」を行なった。
申入れでは、ILOが1961年に「労働者住宅に関する勧告」を行い、「特殊な環境を除いて、使用者が労働者に直接に住宅を供給することは望ましくない」としているように、寮や社宅は企業の介入を受ける極めて不安定な居住形態であることを指摘し、「寮・社宅」問題について改めて政府として検討するよう求めている。また、実効ある住宅セーフティネットの即時実施として(1)雇用促進住宅の全面的活用と廃止方針の撤回、(2)都市再生機構(UR)住宅の空家の活用、(3)公営住宅の「目的外使用」での入居等公営住宅の確保と拡大を行なうよう求めている。
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3月1日に東借連31回総会
東京都生協連会館で
東借連は、3月1日に第31回定期総会を中野区の東京都生協連会館で開催する。
総会議案を作成する議案書起草委員会では11月から討議を開始し、1月24日の第19回理事会で議案を決定する。今総会では、「居住の貧困をなくす運動」を新しい運動課題とし、組合員が主人公となる組織づくり等組織改革が重要なテーマになっている。
■日時 3月1日(日)午前9時半開場、10時開会
■会場 東京都生協連会館3階(JR中野駅徒歩6分)
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底地買いで頑張ってる
更新料拒否で底地売却 交渉で買取り価格70%以下に
豊島区千早町に住む池田さんは、12坪の土地を借りて住んでいた。昨年、更新の時期を迎えた借地人数人が、多額の更新料請求にびっくりして借地借家人組合に入会した。池田さんもそのうちの一人だった。「更新料支払い特約のない契約なので、支払う必要のないこと」を地主に通知した。地主は、更新料支払いに応じなかった借地人の地代の受領も拒否したので供託して対抗した。この事態に地主は更新料をもらえない借地を業者に売買してしまった。買取った業者はただちに底地を買取るよう求めてきた。組合に入会していなかった借地人は2年前に坪当り10数万円を更新料として支払っていた。そのことを買取り業者に言って残りの更新料を返却すること求めたが、返ってきた回答は前の地主に言ってくださいだった。
売買の話では、借地人の知り合いに不動産屋がいて買取った業者の提示額は安いといって何人かの借地人は言いなりで買取ってしまった。組合員の池田さんはあくまで組合を通して売買交渉を行った結果、当初、買取業者が提案した価格より70%以下の価格で買取ることが出来た。池田さん「組合を通して交渉したことが一番いい結果をもたらしてくれた」と語った。 |
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買うか売るか
地上げ屋が借地人を恫喝
荒川区
荒川区西尾久1丁目で昭和33年から37坪を借地している福本さんは、12月に地主より「今度土地を売ったので地代もそちらに払ってほしい」と通告があった。その後、地上げ会社の開発部長が来て「所有権は当社に移転したので土地を買うか売るか、契約残存期間は9年あるが切れたら借地権は消滅する。万一、更新を認めたとしても多額な更新料が必要だ。それに福本さんは家屋に抵当権が付いている。このような物件は早く処分した方がよい」と主張。福本さんは「余計なお世話だ。今後も借地を続けていく」と断った。ところが地上げ屋は「借地は絶対認めない。売るか買うか腹を決めろ」と脅かした。組合より「借地人を恫喝する気か」と一喝すると、「また話に来ます」と引き上げていった。福本さんは組合立会いでならと念を押した。
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格安借地権付マンションの落し穴
地主が借地権の無断譲渡 理由に譲渡承諾料を請求
台東区
杉本さんは家を買いたいと思って、手頃な家を物色していた。不動産屋へも足繁く通った。そんな折、知人からマンションを格安で売りに出している人がいるとの情報を得て、その人を紹介してもらった。そのマンションは借地権付ではあったが、2千万円と格安で部屋数の多い掘出し物であった。
杉本さんは即決で買うことにした。不動産業者が介在していないので仲介手数料(66万円)も支払わなくて済むと思うと安い買物である。
杉本さんはマンションの登記も済ませ、そのマンションに引越した。ところが、マンションの土地所有者から、借地権の無断譲渡であるというクレームがついた。土地所有者は「部屋の前所有者は、私(土地所有者)から借地権の譲渡承諾を受けずに、売ったので、その譲渡承諾料を支払え」と言い、「支払わなければ、賃貸借契約を解除する」と杉本さんを脅したのである。
杉本さんは困って、組合に相談してきた。組合は杉本さんに、「土地所有者の言っている通り部屋の前所有者が譲渡承諾料を支払っていないことが事実であれば、借地権付きマンションであるから敷地利用権が賃借権であり、その無断譲渡ということで、民法612条2項の規定から賃貸借契約を解除されることは当然あり得ることである」と回答した。
敷地利用権に対して予め一定の金銭を支払って包括的に賃借権の譲渡承諾を土地所有者から受けている場合は、自由に譲渡が出来る(譲渡権利付賃借権)。しかし、そうではないとすると、譲渡の度毎に土地所有者の承諾を得なければならない。その場合の譲渡承諾料は一般的には各室の敷地利用権価額の10%程度であるが、売買代金の10%位の支払いで認める場合が多い。
杉本さんの場合、45万円支払えば承諾すると言っているのであるから取敢えず支払って、後日、売主に損害賠償請求をして、その代金を取返すことを提案した。
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【借地借家相談室】
無断譲渡であっても違法性が低い場合には 契約解除することが出来ない
(問)3年前に母が亡くなり、その後、父は40坪の借地上の建物に一人で暮らしていた。その父が先日、胃癌が原因で手術の甲斐もなく亡くなった。兄は別に家を持っているので、弟の私が借地権と建物を引継ぐことになった。その場合、名義書替料等を支払う必要があるのか。
(答)相続人は、相続の開始の時から、相続財産に属した一切の権利と義務を承継する。相続財産は相続人が複数人いる場合、相続人全員が共同で相続する。その場合、法定相続分に応じて共有する。
今回の場合、建物と借地権を兄弟二人が共同で2分の1ずつ共有することになる。このままの状態で借地上の建物を共有して使用する場合は、地主の承諾は不要である。しかし、分割協議の結果、相続人の一人が単独で所有する場合は、兄の相続持分が弟に譲渡されたことになる。従って地主の承諾が必要という結果になる。
民法612条は、賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲渡し、または賃借物を転貸することが出来ないとしている。それに違反した場合は、契約の解除をすることが出来ると規定している。
しかし、判例は、「共同相続された後に、地主の承諾を得ないで相続人の間で持分の譲渡があっても、無断譲渡を理由とする契約解除は出来ない。この場合、民法612条の無断譲渡・転貸には当たらない」(最高裁昭和29年10月7日判決)。
「所有建物を同居する子との共有とし、これに伴い敷地の賃借権の持分を譲渡した場合には、賃借地の利用及び賃料支払い等の実質関係に前後に変わりがなければ、賃借権の持分の譲渡は、これについて貸主の承諾がなくても、民法612条2項による解除の事由とはならない」(最高裁昭和39年1月16日判決)。
結論、判例に従えば、相談者が借地権と建物の所有権を単独で相続しても、無断譲渡に該当しないので、譲渡承諾料・名義書替料を支払う必要はない。
しかし、このような遺産分割による特定の相続人に帰属するのが当然のこととされる相続の事前処理的な違法性の程度が低い内容でない場合は、借地借家法19条の地主の承諾に代わる裁判所の代諾許可の制度を選択した方が安全である。 |
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組合の催物とお知らせ
■城北借組 「西武デパート相談会」
2月18日(水)・19日(木)午前11時〜午後5時(午後1時〜2時昼食休憩)まで、西武デパート7階お客様相談室。
「無料法律相談会」
2月20日(金)午後2時から城北法律事務所。担当田見高秀弁護士。相談者は要予約。連絡・(3982)7654。
■大田借組 「第43回定期総会」
3月29日(土)午後1時半から大田区立消費者生活センター。連絡・(3735)8481。
■多摩借組「定例法律相談」
2月14日(土)午後1時半から組合事務所。担当山口真美弁護士。相談者は電話で必ず要予約。
「第4回理事会」
2月21日(土)午後6時半から組合事務所。連絡・042(526)1094。
■江東借組「法律相談」
毎月第2水曜日午後6時から亀戸カメリアプラザ。連絡・(3640)4694。
■葛飾借組「定例相談」
毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
毎月第2日曜日午後1時から2時、組合事務所。要事前連絡。連絡・(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。
「法律相談」
毎月第3金曜日の午後7時から組合事務所。連絡・(3801)8697。相談者は要予約。
■世田谷借組「相談会」
毎月25日午後2時〜7時まで組合事務所。連絡・(3428)0828。
■北借組「法律相談」
2月4日(水)・18日(水)午後7時から赤羽会館。相談者は要予約。連絡・(3908)7270。
■東借連「第19回理事会」
1月24日(土)午後1時から東京芸術劇場小会議室。連絡・03(3982)7277。
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